人生の目的は音楽だ!toraのブログ

クラシック・コンサートを聴いた感想、映画を観た感想、お薦め本等について毎日、その翌日朝に書き綴っています。

クレベール・メンドンサ・フィリオ監督「バクラウ 地図から消えた村」 & アグニェシカ・ホランド監督「赤い闇 スターリンの冷たい大地で」を観る:新文芸坐

2021年03月17日 07時16分48秒 | 日記

17日(水)。わが家に来てから今日で2258日目を迎え、中国政府は香港英字紙サウスチャイナ・モーニング・ポストを保有する同国ネット大手のアリババ集団に対し、メディア関連の資産を処分するように要求した  というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

     自由なメディアを抹殺するのは全体主義国家の常套手段 中国は覇権主義で邁進する

 

         

 

昨日、夕食に「メカジキのソテー」「生野菜とアボカドのサラダ」「舞茸の味噌汁」を作りました あとは「真鯛の刺身」です。メカジキのソテーは、弱火でじっくり焼いたので柔らかく美味しく出来ました

 

     

 

         

 

昨日、新文芸坐で「バクラウ 地図から消えた村」と「赤い闇 スターリンの冷たい大地で」の2本立てを観ました

「バクラウ 地図から消えた村」はクレベール・メンドンサ・フィリオ監督による2019年製作ブラジル・フランス合作映画(131分)です

村の長老の老婆カルメリータが亡くなったことをきっかけに、テレサ(バルバラ・コーレン)は故郷のバクラウに戻ってきた 村は外部から支給される物資に依存し、定期的にトニーJr.という男がトラックでやってくるが、来るたびにけたたましい選挙運動をするので村人から嫌われていた テレサが戻ったその日から、村で不可解な出来事が次々と発生する インターネットの地図上から村が突然姿を消し、村の上空には正体不明の飛行物体が現れる さらに、村の生命線ともいえる給水車のタンクに何者かが銃を撃ち込み、村はずれでは血まみれの死体が発見されれる 【以下、ネタバレ注意】 アジトには武器を使いこなし、UFOのようなドローンを操り村の様子を偵察する犯罪集団がいた 彼らは何者かに雇われ、バクラウの村人たちを襲う計画を立てていたのだった 彼らの動きを察知した村人たちは建物に隠れ、彼らが村に入ってくると一人一人を銃殺していく 返り討ちに成功した村人たちの前にトニーJr.がやってくるが、そこに犯罪者集団のリーダー、マイケル(ウド・キア)が引き立てられてくると、トニーJr.に「報酬をよこせ」と叫ぶ 村人たちは事件の黒幕がトニーJr.だったことを知り、彼を深い穴に閉じ込める

 

     

 

最初に空飛ぶ円盤(UFO)の形をした飛行物体を見た時は、「えっ、そういう映画なの?」と、SF映画かと思いましたが、今はやりのドローンだったことが分かると、リアリティーを感じるようになりました 村人たちが家に隠れ、犯罪者たちを一人一人やっつけていくというストーリーは黒澤明監督の「七人の侍」を思い起こします 一連の事件の黒幕はトニーJr.だったことが判明しますが、専門家集団を雇って村人を脅すことと トニーJr.の選挙運動との関連性がイマイチよく分かりません 村人が死んでしまったら投票者が減るわけで、選挙に出るトニーJr.にとっては何のメリットもないように思うのですが、どうなんでしょうか

 

         

 

「赤い闇 スターリンの冷たい大地で」はアグニェシカ・ホランド監督による2019年製作ポーランド・イギリス・ウクライナ合作映画(118分)です

1933年、ヒトラーへの取材経験を持つ若き英国人記者ガレス・ジョーンズ(ジェームズ・ノートン)は、世界中で恐慌の嵐が吹き荒れる中、ソビエト連邦だけがなぜ繁栄を続けているのか疑問を抱いていた ジョーンズはその謎を解くため、単身モスクワを訪れ、外国人記者を監視する当局の目をかいくぐり、疑問の答えが隠されているウクライナ行きの汽車に乗り込む しかし、凍てつくウクライナの地でジョーンズが目にしたのは、想像を超える悪夢としか形容できない光景だった 【以下、ネタバレ注意】 ジョーンズは目の当たりにした事実を公表しようとするが、ソ連当局から、書けば捕らわれている英国の技術者たちが犠牲になると言われ、またニューヨーク・タイムズのモスクワ支局長ウォルター・デュランティ(ピーター・サースガード)にも止められ、書くことを諦める しかし、技術者たちが解放された後、彼は英国の新聞王ハーストに直訴し、公表に踏み切る

 

     

 

この映画は、スターリン体制のソ連という大国に独り立ち向かった英国人ジャーナリストの実話をもとに描いた歴史ドラマです

ジョーンズにとって一番辛かったのは、ソ連当局から「事実を書くな」と脅されたことよりも、同じジャーナリスト仲間であるはずのニューヨークタイムズのワシントン支局長から「ソ連に飢餓はないと認め、見たことは書くな」と体制迎合的な言葉を言われたことです 戦時下における真実の報道の難しさを感じざるを得ません 映画のラストでスクリーンに「ニューヨークタイムズ・モスクワ支局長ウォルター・デュランティに与えられた『ピューリッツァ賞』は現在なお取り消されていない」という言葉が表示されますが、アグニェシカ・ホランド監督の「報道の役割と責任」に対する思想がここに表れています

翻って現代に目を転じると、いま香港で何が起こっているか、ミャンマーで何が起きているのか、シリアの情勢はどうなっているのかなど、誰かが取材し発信しなければ、世界の人々は事実を知ることが出来ないし、現地の国民は不当な権力の犠牲になったまま不自由な一生を過ごすことになりかねないのです その意味では、この映画が主張するテーマは普遍的だと思います

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