7日(日)。わが家に来てから今日で2248日目を迎え、米国務省のプライス報道官は5日の記者会見で、中国が全国人民代表大会で示した香港の選挙制度見直し案について「政治参加を制限したり、代表を減らしたりするのは香港市民の意思に沿わない。香港の自治、自由、民主のプロセスへの直接攻撃だ」と指摘した というニュースを見て感想を述べるモコタロです
習近平政権は「一国二制度」をないがしろにして「一国一制度」にしようとしてる
昨日、ミューザ川崎シンフォニーホールで東京交響楽団の「第44回モーツアルト・マチネ」を聴きました プログラムは①ベートーヴェン「ピアノ協奏曲 第0番 変ホ長調 WoO4」、②モーツアルト「ピアノ協奏曲 第23番 イ長調 K.488」です 指揮とピアノ独奏は小菅優です
自席は1階C9列13番、センターブロック左通路側です 会場を見渡すと、ステージに近い2LA、2RA、2P席は空席となっていますが、1階席は1列目から客を入れています ミューザはステージの床が低く、おそらく国内の大ホールの中では演奏者と1階の客席が一番近いと思われます 感染対策上はむしろ1階1列目と2列目を空席とすべきではないかと思いますが、主催者側としてはチケットを売り切っている(市松模様ではない通常配置)こと、ステージの手前端からオケの位置まで それなりの距離が保たれていることなどを考慮して、当初の予定通りの座席配置で開催することにしたのでしょう
オケは、ピアノを中央にして、左サイドが第1ヴァイオリン、ヴィオラ、右サイドがチェロ、第2ヴァイオリン、コントラバスという対向配置をとりますが、総勢30人弱の小編成です コンマスは 今や東響の顔としてお馴染みになった感のある水谷晃です
1曲目はベートーヴェン「ピアノ協奏曲 第0番 変ホ長調 WoO4」です この曲はルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェン(1770‐1827)が1784年に作曲した作品で、「クラヴサンまたはピアノフォルテのための協奏曲」というタイトルがつけられています この曲の楽譜は散逸してしまいましたが、ベートーヴェンの死後60年経った1888年に独奏パート譜などが発見され、1934年から43年にかけてオーケストラ・パートの失われた部分が補筆完成されました 第1楽章「アレグロ・モデラート」、第2楽章「ラルゲット」、第3楽章「ロンド」の3楽章から成ります
小菅優がオレンジ系の衣装で登場、聴衆に背を向ける形でピアノに対峙します 座ったままの小菅の指揮で第1楽章に入ります。管楽器を中心とする明るいアンサンブルに続いて小菅のピアノが入ってきますが、演奏は極めて軽やかです ほとんどベートーヴェンを感じさせない曲想で、どちらかというとモーツアルトの音楽に近いものがあります 第2楽章ではフルートが独奏ピアノに華を添えます 出演者名簿によると宮崎由美香という客演奏者ですが、素晴らしい演奏でした 第3楽章は独奏ピアノの速いパッセージから入りますが、愉悦感に満ちた曲想はモーツアルトを連想させます 小菅の躍動感あふれる演奏に水谷率いる東響の面々が呼応して華やかな演奏を展開しました ピアノ協奏曲第1番よりも前、ベートーヴェンが弱冠14歳の時の作品が、小菅 ✕ 東響の溌剌とした演奏により蘇りました
2曲目はモーツアルト「ピアノ協奏曲 第23番 イ長調 K.488」です この曲はウォルフガング・アマデウス・モーツァルト(1756‐1791)が1786年に作曲、同年ウィーンで開いた「予約演奏会」で初演されました 第1楽章「アレグロ」、第2楽章「アダージョ」、第3楽章「アレグロ・アッサイ」の3楽章から成ります
管楽器が増員され、小菅の指揮で第1楽章に入ります 水谷率いる弦楽器群が軽快に主題を演奏し、管楽器が受け継ぎます そしてオーケストラ全体により演奏が繰り広げられ、「待ってました」とばかりに小菅の独奏ピアノが華やかに入ってきます この曲でも小菅の演奏は軽やかです ピアノ演奏がない時には両手でオーケストラを指揮し、間合いを取ります 終盤のカデンツァは鮮やかでした 第1楽章が終わり第2楽章に入る前に、小菅はしばらく時間を取り 集中しました。これから「アダージョ」を演奏するに当たって覚悟を決めているかのように見えました おもむろに開始された独奏ピアノによる弱音のメロディーが会場に浸み渡ります この音楽は西ドイツ映画「マリア・ブラウンの結婚」でも、大原麗子がマドンナを演じた「男はつらいよ」でも使われていました 物思いに沈んだような曲想が強く印象に残る曲です 第3楽章は一転、独奏ピアノの速いパッセージで開始されます。まるで第2楽章の沈んだような雰囲気を一掃するかのような明るく力強い音楽です 「予約演奏会」で客受けするには、最後は明るい音楽で締めくくらなければならないという”お約束”を守らないと次の予約が取れないという事情もあったのかもしれません 小菅 ✕ 東響は躍動感あふれる演奏で聴衆を魅了しました
小菅優というと、逞しい二の腕から打ち下ろされる力強い演奏を連想しがちですが、この日の初期のベートーヴェンと壮年期のモーツアルトの演奏からは、別な側面を見たように思います これからも弾き振りによるモーツアルトのピアノ協奏曲の演奏を続けてほしいと思います