8日(月)。テイト・コーポレーションからのメール配信によると、5月20日と24日にすみだトリフォニーホールで開催が予定されていた「エリーナ・ガランチャ リサイタル」が2022年6月28日と29日に再延期されました もともとこの公演は2020年5月に開催が予定されていましたが、コロナ禍のため中止、1年延期されていたものです
私は1年先のことは分からないので払い戻しを受けていました
エリーナ・ガランチャは2月16日付toraブログでご紹介したMETライブビューイング「カルメン」(2010年ライブ収録)でタイトルロールを歌ったメゾソプラノです 彼女が来日したら是非ライブで聴きたいと思っていました
来年、改めてチケットを取りたいと思います
ということで、わが家に来てから今日で2249日目を迎え、中国の習近平国家主席は5日、全国人民代表大会の内モンゴル自治区代表団が開いた会議で「国家共通言語の普及を推し進めよ」と述べ、固有の言語を持つ少数民族への標準中国語教育を徹底し中華民族としての意識を強化するよう求めた というニュースを見て感想を述べるモコタロです
香港への締め付けといい モンゴル自治区への干渉といい 独裁主義むき出しの中国
昨日、新国立劇場中劇場で 同劇場オペラ研修所修了公演「悩める劇場支配人」(チマローザ作曲)を聴きました 3月5日、7日と6日のダブルキャストで、昨日の出演者は次の通りでした
フィオルディスピーナ=井口侑奏、メルリーナ=和田悠花、ドラルバ=杉山沙織、ドン・ぺリツォニオ=仲田尋一、ドン・クリソーボロ=井上大聞、ジェリンド=増田貴寛、ストラビーニオ=森翔悟。管弦楽=新国立アカデミーアンサンブル、指揮=辻博之、演出=久恒秀典
昨年の研修所修了公演「フィガロの結婚」はコロナ禍のため中止となり、私のチケット払い戻し第1号になりました プログラム冊子に掲載の新国立劇場オペラ研修所長・永井和子さんによる「巻頭言」によると、「この1年間、常に感染防止対策と対峙し、この公演に向けて登場人物を最小限にするため、合唱の入らない作品選びから始まった
そうして選ばれたのがチマローザの『悩める劇場支配人』だった
この作品は、今回の公演が日本初演となる
」とのことです
このオペラはドメ二コ・チマローザ(1749‐1801)が1786年にナポリで初演した全1幕(11景)からなる歌劇(ブッファ)です 三省堂「クラシック音楽作品名辞典」によると、チマローザはナポリ楽派のオペラ・ブッファの代表的作曲家で、ナポリやローマを中心とするヨーロッパ各地のほか、ロシアやオーストリアでも活躍し、生涯に全76曲の歌劇をはじめ、交響曲やチェンバロ曲、教会音楽も残しました
モーツアルト(1756‐1791)とほぼ同時期に活躍しました
そういえば、「フィオルディスピーナ」はモーツアルトの歌劇「コジ・ファン・トゥッテ」の「フィオルディリージ」と「デスピーナ」を合体した名前みたいだし、「ドラルバ」は「ドラベッラ」に似ています しかし、「悩める劇場支配人」の台本作者はジュゼッペ・マリーア・ディオダーティであるのに対し、「コジ・ファン・トゥッテ」の方はご存知の通り、ロレンツォ・ダ・ポンテです
どこにでもある、ありふれた名前だったのかもしれませんね
劇場支配人クリソーボロは、新作上演のために招いた3人のプリマ・ドンナ(フィオルディスピーナ、メルリーナ、ドラルバ)から次々と理不尽な要求を突き付けられ、日夜悩まされている 作曲家のジェリンドは、女性歌手たちの要求を無条件にのんでいると痛い目にあうと忠告する。リハーサルが始まっても、歌手は遅刻し、その上『プリマ・ドンナは私よ
』と張り合って、支離滅裂で収拾がつかない
困り果てた劇場支配人は詩人の台本作家、ペリツォニオに助言を求めるが、詩人は劇場支配人の持つべき資質は『策略、嘘、厚い面の皮』だと進言する
それを聞いた支配人は劇場を捨てて逃げ出してしまう
皆が困っていると、ドラルバのファンであるストラビーニオが『大金を相続したので 新たな興行主になる』と告げる
一同は複雑な思いを抱くが、『ペテン師の支配人クリソーボロが逃げ出したのはむしろ幸いだった
』と言い合って満足げに帰途につく
フィオルディスピーナ(プリマ・ブッファ)を歌った井口侑奏(ゆかな)は愛知県立芸術大学・大学院修了のソプラノですが、美しく伸びのあるコロラトゥーラが印象に残りました
メルリーナ(プリマ・ジョコーザ)を歌った和田悠花は京都市立芸術大学・大学院修了のソプラノですが、美しい歌声とともにブッファの演技力が光りました
ドラルバ(プリマ・セリア)を歌った杉山沙織は昭和音楽大学・大学院修了のメゾソプラノで、今回の出場者の中で唯一の第23期生(他の人は21期・22期)ですが、声質が魅力的で歌唱力も十分でした 将来が楽しみです
ドン・ぺリツォニオ(詩人)を歌った仲田尋一は大阪音楽大学・大学院修了のバリトンですが、良く通る声で演技力もありました
ドン・クリソーボロ(劇場支配人)を歌った井上大聞(たもん)は東京藝術大学・大学院修了のバリトンですが、出演者の中では一番 声が出ており、演技に存在感がありました
ジェリンド(作曲家)を歌った増田貴寛(たかひろ)は鹿児島国際大学短期大学部卒・同専攻科修了、洗足学園音楽大学大学院修了のテノールですが、声がよく通り、ブッファの細かな演技力に優れていました
ストラビーニオ(ドラルバのファン)を歌った森翔悟は東京藝術大学・大学院修了のバリトンですが、どちらかというと明るい声質で、歌唱力も十分でした
ステージは大きな門のようなオブジェが3つ(天井から吊るされている)と回転舞台によるシンプルなものでしたが、中劇場では必要にして十分な舞台作りです 辻博之 指揮 新国立アカデミーアンサンブル(実態は不明)の演奏は、軽快な序曲から歌手のフォローまで、楽しいオペラ・ブッファの魅力を伝える上で十二分に役割を果たしました
オーボエの演奏が素晴らしかったです
どこのどなただったのでしょうか
今回のような珍しい演目は、研修所公演でなければ取り上げられない”マイナー”な作品です それだけに日本初演(上演時間:休憩なしの約1時間50分)に立ち会えてラッキーでした