人生の目的は音楽だ!toraのブログ

クラシック・コンサートを聴いた感想、映画を観た感想、お薦め本等について毎日、その翌日朝に書き綴っています。

ルキノ・ヴィスコンティ監督「揺れる大地」&「郵便配達は二度ベルを鳴らす」を観る 〜 流れるのはショパン「別れの曲」、ビゼー「カルメン」、ヴェルディ「椿姫」:新文芸坐

2021年03月06日 07時18分51秒 | 日記

6日(土)。わが家に来てから今日で2247日目を迎え、政府は5日、文化庁の宮田亮平長官の後任に、作曲家で日本音楽著作権協会特別顧問の都倉俊一さんをあてる人事を閣議で決定した  というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

     「UFO」到来みたいなニュースだ! この流れは「どうにもとまらない」とくらぁ

 

         

 

昨日、夕食に「チキンステーキ」を作りました ヘルシーで美味しいです。お酒はもちろんワインですね

 

     

 

         

 

昨日、新文芸坐で「揺れる大地」と「郵便配達は二度ベルを鳴らす」の2本立てを観ました

「揺れる大地」はルキノ・ヴィスコンティ監督による1948年製作イタリア映画(モノクロ・160分)です

イタリアのシチリアの漁村アーチ・トレッツァで、ヴァラストロ一家は代々漁師を営んできた 漁に出たまま帰らない父に代わり一家を支える長男のウント―二は、一日中漁を行っても仲買人に搾取され、貧しい生活は改善しないことに疑問を抱き、漁獲を自ら競りに出すことを思い付くが、仲買人と喧嘩して逮捕されてしまう 彼は釈放された後、仲買人からの独立を決意し、家を抵当に入れ借金をして、鰯の塩漬け加工を始めるが、鰯の塩漬けは結局 仲買人に安値で買いたたかれ、家は銀行に差し押さえられてしまう さらに恋人にも捨てられ、弟コーラは密輸商人の仲間入りし、祖父は入院し、一家はあばら家に住むことになる ウント―二は酒に溺れるようになる。仲買人の新しい船の進水式の日に、かつて自分のものだった船を見に行ったウント―二は、そこで出会った少女ローザに励まされて、遂にプライドを捨て 弟たちとともに仲買人の船に乗せてもらうように頼みに行くのだった

 

     

 

この映画は、シチリア島出身作家ジョバンニ・ヴェルガの長編小説「マラヴォリア家の人々」をベースに描いた物語ですが、プロの俳優を一切起用せず、シチリア島の漁師たちを出演させ、台詞のすべてシチリア方言を使用してドキュメンタリータッチで撮影した異色の作品です イタリア・ネオレアリズモの代表作品として知られています 助監督を、オペラの華麗な演出で知られるフランコ・ゼフィレッリが務めています

映画の開始早々に映し出されるヴァラストロ一家の中の様子を見て驚くのは、彼らが裸足で生活していることです 男たちが漁に出る時だけは長靴を履きますが、室内だろうが屋外だろうが彼らは裸足です このシーンからすでにリアリズムを感じます 長男ウント―二役のアントニオ・アルチディアコノをはじめ出演者の演技が素人とは思えないほど自然で、驚きを禁じ得ません そして、主人公の顔のアップや、荒れた海の様子などではモノクロ映像ならではの「映像の力」を感じます

酒の溺れるようになったウント―二が夜、仲間たちとたむろしているシーンで、一人の若者がハーモニカでショパンのエチュード作品10-3「別れの曲」を吹きます ヴィスコンティ監督がどういう考えでこの曲を使ったのか不明ですが、酒に溺れる生活も長くは続かないということを暗示したのかな、と勘繰ったりしました

 

         

 

「郵便配達は二度ベルを鳴らす」はルキノ・ビスコンティ監督による1942年製作イタリア映画(モノクロ・126分)です

北イタリアのポー川の食堂に放浪者のジーノ(マッシモ・ジロッティ)が現れる 店主ブラガーナ(ファン・デ・ランダ)の歳の離れた美しい妻ジョヴァンナ(クララ・カラマイ)とジーノはすぐに互いに惹かれ合い、ブラガーナが留守中に肉体関係を結ぶ。2人は駆け落ちしようとするが、ジョヴァンナは途中で罪悪感に襲われて引き返してしまう ジーノは放浪を続け、ジョヴァンナを忘れようとするが、旅先の港町でブラガーナ夫妻と再会し、再び店に戻ってくる 愛し合う2人はブラガーナの殺人を計画し、自動車事故を装って殺害する しかし、新しい生活を始めた2人の間には終始気まずい雰囲気が流れ、ジーノは別の女のところに入り浸るようになる 一方、警察は目撃証言からブラガーナが殺害されたことを確信し、2人を指名手配する ジーノはジョヴァンナが密告したのではないかと疑うが、彼女の一途な愛と、彼の子を身ごもっているという事実を知って2人で再出発することを決意する しかし、車で旅立とうとする矢先、トラックと接触して車が転落しジョヴァンナは死んでしまう

 

     

 

この映画は、アメリカの作家ジェームズ・M・ケインの同名小説をもとに、原作の舞台を北イタリアに移して男女の策略と悲哀を描いた作品で、ビスコンティ監督の記念すべきデビュー作です 1940~50年代にかけたイタリア・ネオレアリズモの先駆け的な作品と言われています

映画の原題「OSSESSIONE」というのは「妄執」という意味です この映画では実際に郵便配達が2度ベルを鳴らすわけではありません

旅先の港町で再開したブラガーナ夫妻とジーノがレストランに行き、ブラガーナが店の「のど自慢大会」に出演して歌うことになりますが、最初の出場者の女性はビゼー「カルメン」第1幕のアリア「恋は野の鳥(ハバネラ)」を歌っていました これはジョヴァンナの奔放な性格を象徴したのだろうか また、ブラガーナはヴェルディ「椿姫」第2幕のジェルモンのアリア「プロヴァンスの海と土地」を歌いました このアリアはジェルモンが息子アルフレードに「高級娼婦のヴィオレッタを諦めて生まれ故郷のプロヴァンスに戻っておいで」という内容ですが、冷えた関係にあるジョヴァンナに戻ってほしいというブラガーナの心情を託したのだろうか、と思ったりしました この後、観客からのブラボーのかけ声に気を良くしたブラガーナは観客にたかられて飲めや食えやで散財することになります それにしても、さすがはイタリアですね。「のど自慢大会」というとオペラのアリアですから 日本の「NHKのど自慢」の定番「〇〇追分」や、デュエットの定番「恋のフーガ」とはわけが違います

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