人生の目的は音楽だ!toraのブログ

クラシック・コンサートを聴いた感想、映画を観た感想、お薦め本等について毎日、その翌日朝に書き綴っています。

高関健 ✕ 小林愛実 ✕ 東京シティ・フィルでベートーヴェン「ピアノ協奏曲第3番」、R.シュトラウス「英雄の生涯」他を聴く ~ シティ・フィル第357回定期演奏会

2023年01月29日 07時04分29秒 | 日記

29日(日)。わが家に来てから今日で2939日目を迎え、世界保険機関(WHO)のテドロス事務局長は27日、新型コロナウイルスを原因とした死亡例が急増しており、直近では世界全体の死者数の半分以上が中国からの報告だったと明らかにした  というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

     ゼロコロナ政策は反発を招くわ 解除すれば死者が激増するわ 独裁政権もお手上げ

 

         

 

昨日、東京オペラシティコンサートホールで東京シティ・フィル「第357回定期演奏会」を聴きました プログラムは①ベートーヴェン「献堂式」序曲 作品124,②同「ピアノ協奏曲第3番 ハ短調 作品37」、③リヒャルト・シュトラウス:交響詩「英雄の生涯」作品40です 演奏は②のピアノ独奏=小林愛実、指揮=高関健です

この日は本来、新国立オペラ「タンホイザー」を観る予定でしたが、本公演と時間がダブったためオペラを31日(火)に振り替えました

 

     

 

小林愛実人気でしょうか。1階席はもちろん、2階席、3階席まで多数のお客さんで埋まっています それにしても良く入りました

拍手に迎えられて楽員が配置に着きます オケは14型で、左から第1ヴァイオリン、ヴィオラ、チェロ、第2ヴァイオリン、その後ろにコントラバスという対抗配置。コンマスは戸澤哲夫です

1曲目はベートーヴェン「献堂式」序曲 作品124です この曲はルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェン(1770-1827)がウィーンに新築されたヨーゼフシュタット劇場のこけら落とし用の祝祭劇「献堂式」のために1822年に作曲、同年ウィーンで初演されました

滅多に演奏されない作品で、高関氏のプレトークによると、1度しか演奏したことがなく、1度しか聴いたことがないとのことです 曲は第1部と第2部から成りますが、堂々たる祝祭感に満ちた音楽で、冒頭の5つの和音の強奏がベートーヴェンらしいと思いました

2曲目はベートーヴェン「ピアノ協奏曲第3番 ハ短調 作品37」です この曲は1796年頃に構想されて以来、ほぼ7年かけて作曲、1803年にアン・デア・ウィーン劇場で初演されました ベートーヴェンの全協奏曲中で唯一の短調作品、しかも第5交響曲”運命”と同じハ短調で書かれているのが大きな特徴です 第1楽章「アレグロ・コン・ブリオ」、第2楽章「ラルゴ」、第3楽章「ロンド:アレグロ」の3楽章から成ります

ピアノ独奏の小林愛実は7歳でオーケストラと共演、2015年10月の第17回ショパン国際ピアノコンクールでファイナリストとなり、2021年の同コンクールで第4位入賞を果たしています 現在フィラデルフィアのカーティス音楽院でマンチェ・リュウ教授に師事し研鑽を積んでいます

満場の拍手の中、赤の勝負衣装に身を包まれた小林愛実が高関とともに登場、ピアノに対しします 高関の指揮で第1楽章の長い序奏の演奏に入ります 次いで小林のソロが入ってきますが、彼女の演奏は力強くも美しくデモーニッシュに響きます カデンツァは鮮やかでした 第2楽章は小林のソロで開始されますが、かなりゆったりしたテンポで祈るように音楽が進みます 小林の繊細で慈愛に満ちたな演奏が静かに沁み込んできます 第3楽章は一転、活気に満ちたアレグロが展開します 高関 ✕ 東京シティ・フィルの軽快な演奏と相まって、輝かしいフィナーレを飾りました

満場の拍手でカーテンコールが繰り返されますが、アンコールはありません お腹に第1子を宿している彼女に、本番以上の負担をかけるのは酷と言うものです 演奏者には賞賛の拍手とアンコール期待の拍手は区別がつきません 演奏者(特に女性)の立場を考えて、しつこい拍手は控えるできです 小林愛実さんにはゆっくり身体を休めてほしいと思います

 

     

 

プログラム後半はR.シュトラウス:交響詩「英雄の生涯」作品40です この曲はリヒャルト・シュトラウス(1864-1949)が1897年から98年にかけて作曲、1899年3月にフランクフルトで作曲者の指揮で初演されました ベートーヴェンの交響曲第3番”英雄”を意識して作曲された作品ですが、第5部「英雄の実績」に作曲者の過去の作品が複数登場することから、「英雄」はシュトラウス自身を指すと解釈されてきました しかし、彼は作曲当時まだ34歳で、その後50年以上生きながらえることになります

曲は単一楽章から成る交響詩で6部から構成されています 第1部「英雄」、第2部「英雄の敵」、第3部「英雄の伴侶」、第4部「英雄の戦場」、第5部「英雄の業績」、第6部「英雄の引退と完成」です

高関の指揮で第1部「英雄」が、低弦とホルン(8)等により雄大なスケールで開始されます これで一気にリヒャルト・シュトラウスの世界に引き込みました 第2部「英雄の敵」はフルートはじめ木管楽器が英雄を嘲笑するようなフレーズを奏でますが、まるで音楽評論家がシュトラウスの作品について、あーでもないこーでもないとペチャクチャ喋っているかのように聴こえます 第3部「英雄の伴侶」では独奏ヴァイオリンが伴侶(作曲者の妻=パウリーネ)の性格を表わしますが、戸澤コンマスの演奏が素晴らしい 第4部「英雄の戦場」について、高関氏はプレトークで「この場面はベートーヴェンの『ウェリントンの勝利』を参考にしたと思う 今回は会場の関係で14型で演奏するが、この会場にとっては大き過ぎる音が数分続くと思う。その間は我慢してほしい」旨 語っていました。その言葉通り、トランペットの「戦闘開始」のファンファーレを合図に、金管楽器が咆哮し、弦楽器が激しくキザみ、打楽器が炸裂します やがて戦場で勝利を収めると第5部「英雄の業績」で作曲者の過去の作品(「ドン・ファン」「ティル・オイレンシュピーゲルの愉快ないたずら」「ドン・キホーテ」など)が引用され、実績を誇示します 私がリヒャルト・シュトラウスを好きでないのはこういうところです 次いで第6部「英雄の引退と完成」では英雄と伴侶が安らかな余生を送る穏やかな音楽が奏でられますが、フィナーレのトロンボーンが何とも言えない余韻を残して曲を閉じ、深い感銘を受けました

高関氏がプレトークで語ったところによると、「『指揮者になって一番指揮したい曲は何か?』と聞かれて『リヒャルトシュトラウス『英雄の生涯』だ』と答える指揮者が多く、かくいう自分もそうだった。カラヤン指揮によるレコードを買ってよく聴いた」とのことです

高関氏は明確な指示を出し、東京シティ・フィルの面々はその意を十分に汲み、熱意をもってアグレッシブな演奏を展開しました

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