人生の目的は音楽だ!toraのブログ

クラシック・コンサートを聴いた感想、映画を観た感想、お薦め本等について毎日、その翌日朝に書き綴っています。

新日本フィル「室内楽シリーズ 第155回 打楽器のある室内楽作品の魅力 ~ 山内創一朗プロデュース編」を聴く~1曲も知らないコンサート:果たして吉と出るか凶と出るか?

2023年01月17日 07時01分32秒 | 日記

17日(火)。わが家に来てから今日で2927日目を迎え、ウクライナのゼレンスキー大統領は15日、中部ドニプロの集合住宅に対するロシア軍の前日のミサイル攻撃による死者が30人に達したと明らかにし、「ロシア人はこうしたテロ行為に『臆病に沈黙している』」と非難した  というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

     ロシアのテレビが プーチン政権の都合の良い情報だけを流しているのが根本問題だ

 

         

 

昨日、夕食に「麻婆茄子」「生野菜とヒジキのサラダ」「エノキダケの味噌汁」を作りました 野菜を多く摂るようにしています

 

     

 

         

 

昨夜、すみだトリフォニーホール(小)で新日本フィル「室内楽シリーズ  第155回 打楽器のある室内楽作品の魅力 ~ 山内創一朗プロデュース編」を聴きました プログラムは①アレクサンドル・チェレプニン「ソナチネ」、②ケーシー・カンジェローン「カプリス」、③ロバート・ショルラム「モザイク」、④ジョルジュ・ドルリュー「協奏的対話」、⑤エティエンヌ・ペルション「ドゴリアンの5つのダンス」です 演奏はピッコロ=野津雄太、オーボエ=神農広樹、トランペット=山川永太郎、トロンボーン=梅澤駿佑(客演)、チェロ=飯島哲蔵、ティンパニ/パーカッション=山内創一朗、ピアノ=渡辺啓介(客演)です

正直言って、このコンサートのチケットを取るにあたり相当躊躇しました だいいち プログラムに掲げられた曲を1つも知らないし、演奏者だって初めて演奏する曲ばかりの可能性もある その意味ではリスクが非常に高いコンサートと言わざるを得ない、と しかし、11月1日に開催された室内楽シリーズ「スリー・ダンス・エピソード ~ 佐藤和彦(チューバ)プロデュース編」が、半分以上知らない曲だったのに十二分に楽しめたので、今回は打楽器中心とはいえ、ひょっとして面白いかもしれない」と思い直してチケットを取ったのです さて、その判断は吉と出るか凶と出るか

 

     

 

自席は6列16番、右通路側です

開演にあたり、仕掛け人の山内氏による「プレトーク」がありましたが、たったの2分で切り上げました プレトークの最短新記録かもしれません しかし、演奏が始まってから、彼がなぜ多くを語らなかったのかが解りました 山内氏は演奏の合間に共演者へのインタビューを挟み、本番までのエピソードなどを紹介したので、そういう”おいしい話”をプレトークで話すわけにはいかなかったのです 越後屋、おぬしもワルよのう

1曲目はロシアの作曲家アレクサンドル・チェレプニン(1899-1977)が1939年に作曲した「ソナチネ」です 彼は「ゴジラ」でお馴染みの伊福部昭らに作曲技法を指導したことで有名です 4楽章形式の作品で、ティンパニの山内創一朗とピアノの渡辺啓介によって演奏されます 渡辺のピアノの打鍵が強く、山内のティンパニに負けていなかったのが印象に残りました

2曲目はケーシー・カンジェローン(1982~)が2017年に作曲した「カプリス」です この曲はフルート奏者の野津雄太がピッコロを吹き、山内創一朗のシロフォンと協演します 少ない音素材の反復で音楽を組み立てていく「ミニマル・ミュージック」の一種で、極めて速いテンポでピッコロとシロフォンが競い合います 野津はかつて札幌交響楽団の副主席フルート奏者を務めていた時ピッコロも吹いていたので、山内から出演オファーがあった時は「ああ、いいよ」と快く引き受けたそうです その経験が存分に生かされ、山内との素晴らしいコンビネーションを聴かせてくれました

3曲目はオーストリア出身のロバート・ショルラム(1913-1987)が1967年から68年にかけて作曲した「モザイク」です 演奏はオーボエ=神農広樹、ピアノ=渡辺啓介、パーカッション=山内創一朗です 神農氏へのインタビューによると、この曲は譜面しかなく、レコードやCD等の音源も資料もなかったので、譜面だけを頼りにリハーサルを重ねるしかなかったそうです やっと仕上がったあたりのタイミングでLPレコードが出ていることが判明し、ドキドキしながら聴いたら、自分たちの演奏と同じだったので安心したとのことです 4つの楽章から成りますが、第1楽章はピアノ中心、第2楽章はパーカッション中心、第3楽章はオーボエ中心、第4楽章は3楽器によるフーガという内容になっています この曲で感心したのは神農の技巧的なオーボエ、渡辺の鋭いピアノ、そしてパーカッションで八面六臂の活躍を見せた山内のパフォーマンスです まさにゼロからのスタートでここまで仕上げてくるとは驚きました

 

     

 

休憩後の1曲目はフランス出身のジョルジュ・ドルリュー(1925-1992)が1973年に作曲した「協奏的対話」です 彼はゴダールやトリュフォーら名監督と製作した映画で多くのヒットを生み、ハリウッドに移って「シネマのモーツアルト」と称されたとのこと まるでコルンゴルトのようです 3楽章から成りますが、演奏はトランペット=山川永太郎、トロンボーン=梅澤駿佑、ティンパニ=山内創一朗、ピアノ=渡辺啓介です

この曲も音源もデータもないところからリハーサルを始めたそうですが、メインは金管の2人です とくにトロンボーンの独奏から始まる第2楽章が印象に残りました トランペットとトロンボーンの重奏も素晴らしかった

最後の曲はフランス生まれのエティエンヌ・ペルション(1958-2019)が2005年に作曲した「ドゴリアンの5つのダンス」です 山内はベルリン・フィルの打楽器奏者がYouTubeでこの曲を演奏するのを観て、「カッコいいなあ、いつかやってみたいな~」と思っていたそうで、やっと夢が実現することになったそうです 5楽章から成りますが、演奏はチェロ=飯島哲蔵、ティンパニ&木魚=山内創一朗です

山内は大きさの異なるティンパニ5台と、木魚3台を自由自在に操り、マレットを途中でひっくり返し木の部分で叩いたりして千手観音像のごとき活躍を見せ、一方の飯島もチェロをよく歌わせ、ティンパニとの丁々発止のやり取りで聴衆を魅了し、満場の拍手を浴びました

 

     

 

すべての演奏が終わり、出演者全員があらためて勢ぞろいしました 一人一人の顔を見ながらこの日の演奏を振り返りました 「1曲も知らないプログラムだったけれど、凄く楽しく聴くことが出来た。聴きにきて良かった」というのが結論です 出演者全員の演奏が素晴らしかったのはもちろんのこと、何より、誰も知らない隠れた名曲を発掘し、仲間を説得して出演を依頼し、自分の長年の夢を実現しようとした山内創一朗のチャレンジ精神が素晴らしい そして、楽員の自主性を尊重する「セルフ・プロデュース公演」を長年にわたりシリーズで展開している新日本フィルの懐の深さを感じます 本当に素晴らしいコンサートでした

新日本フィルの公演もスマホによる撮影がOKなので、記念に1枚撮りました

 

     

コメント
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