25日(金)。昨夕、池袋の東京芸術劇場で新日本フィルのコンサートが小泉和裕指揮により予定通り挙行された。演奏曲目は①ベートーベン「エグモント序曲」②グリーグ「ピアノ協奏曲イ短調」③ショスタコービィチ「交響曲第5番ニ短調」の3曲。ピアノは今川映美子。
開演に先立って(社)日本演奏連名の伊藤京子代表が「現在のような大震災の影響下でコンサートなど開くのは不謹慎だとの批判もあるが、私たち音楽家に出来ることは音楽しかない。被災者のご冥福を祈りつつ、演奏会を開くこととした。ロビーに義援金の募金箱を置くのでご協力願いたい」と挨拶。オーケストラ楽団員、観客全員で地震災害死亡者に黙祷を捧げた。そして、小泉のタクトが振り下ろされた。
ベートーベンの付随音楽「エグモント」序曲というと、戦争直後、建物の廃墟前でチェルビダッケがベルリン・フィルを振った狂気迫る映像を想い出す。短い曲だがベートーベンらしい力強い推進力を感じさせる音楽だ。
ところで、いつもは1階席後方で聴くのが常だが、今回は2階右翼席で下を見下ろす形で観て聴いたため、初めての発見があった。それは小泉和裕の指揮法の特徴だ。彼は足を固定して指揮をする。足に根が生えたように床に密着させ、膝から上で指揮をする。その代わり両腕の振りは雄弁だ。団員には指示が分かり易いのではないか。
グリーグのピアノ協奏曲は生で何度か聴いたことがあるが、ピアニストの今川映美子はやや優等生的な感じがする。ピアノに集中するのはいいが、ずっと下を向いたままで、いわゆる”華”がない。もっとアピールしてもいいのではないか。ただ、第2楽章「アダージョ」は聴かせた。
休憩後はメインのショスタコービィチだが、指揮台で小泉和裕がマイクを取り、「今回の地震で被災し死亡された方々のご冥福を祈る。この第5番はベートーベンの第5番”運命”と同じように”苦悩から歓喜へ”というテーマが表されている。この会場から被災地に音楽は届かないかも知れないが、心を込めて被災地に届けるつもりで精一杯演奏したい」と語り、会場の喝采を浴び、オケに対峙して第1楽章に入った。入魂の演奏といったらいいのか。
小泉和裕の指揮ぶりはカラヤンの指揮を想像させる。彼が第3回カラヤン国際指揮者コンクールに第1位入賞したことと無関係ではないような気がする。もちろんカラヤンは目を瞑ってゆったりと構え、包み込むような指揮をするのに対し、小泉はキレはあるが大振りであるので、違うと言えば違うのだが、一瞬一瞬の構えがカラヤンそっくりなのだ。
帰りがけにロビーに設置された募金箱に、ささやかながら募金をさせてもらった。今日の演奏家たちの想いが、それを聴くために会場に集った観客の想いが被災地に届けばいい、と思う。
開演に先立って(社)日本演奏連名の伊藤京子代表が「現在のような大震災の影響下でコンサートなど開くのは不謹慎だとの批判もあるが、私たち音楽家に出来ることは音楽しかない。被災者のご冥福を祈りつつ、演奏会を開くこととした。ロビーに義援金の募金箱を置くのでご協力願いたい」と挨拶。オーケストラ楽団員、観客全員で地震災害死亡者に黙祷を捧げた。そして、小泉のタクトが振り下ろされた。
ベートーベンの付随音楽「エグモント」序曲というと、戦争直後、建物の廃墟前でチェルビダッケがベルリン・フィルを振った狂気迫る映像を想い出す。短い曲だがベートーベンらしい力強い推進力を感じさせる音楽だ。
ところで、いつもは1階席後方で聴くのが常だが、今回は2階右翼席で下を見下ろす形で観て聴いたため、初めての発見があった。それは小泉和裕の指揮法の特徴だ。彼は足を固定して指揮をする。足に根が生えたように床に密着させ、膝から上で指揮をする。その代わり両腕の振りは雄弁だ。団員には指示が分かり易いのではないか。
グリーグのピアノ協奏曲は生で何度か聴いたことがあるが、ピアニストの今川映美子はやや優等生的な感じがする。ピアノに集中するのはいいが、ずっと下を向いたままで、いわゆる”華”がない。もっとアピールしてもいいのではないか。ただ、第2楽章「アダージョ」は聴かせた。
休憩後はメインのショスタコービィチだが、指揮台で小泉和裕がマイクを取り、「今回の地震で被災し死亡された方々のご冥福を祈る。この第5番はベートーベンの第5番”運命”と同じように”苦悩から歓喜へ”というテーマが表されている。この会場から被災地に音楽は届かないかも知れないが、心を込めて被災地に届けるつもりで精一杯演奏したい」と語り、会場の喝采を浴び、オケに対峙して第1楽章に入った。入魂の演奏といったらいいのか。
小泉和裕の指揮ぶりはカラヤンの指揮を想像させる。彼が第3回カラヤン国際指揮者コンクールに第1位入賞したことと無関係ではないような気がする。もちろんカラヤンは目を瞑ってゆったりと構え、包み込むような指揮をするのに対し、小泉はキレはあるが大振りであるので、違うと言えば違うのだが、一瞬一瞬の構えがカラヤンそっくりなのだ。
帰りがけにロビーに設置された募金箱に、ささやかながら募金をさせてもらった。今日の演奏家たちの想いが、それを聴くために会場に集った観客の想いが被災地に届けばいい、と思う。