人生の目的は音楽だ!toraのブログ

クラシック・コンサートを聴いた感想、映画を観た感想、お薦め本等について毎日、その翌日朝に書き綴っています。

Trio Accord「ベートーヴェン『ピアノ三重奏曲全曲演奏会Ⅱ』」を聴く / 上岡敏之氏 2020年度で新日本フィル音楽監督退任 / 28日の東響定期はソリスト変更のうえ実施

2020年03月21日 07時22分07秒 | 日記

21日(土)。わが家に来てから今日で1999日目を迎え、感染が拡大する新型コロナウイルスへの対策をめぐり、米トランプ大統領は「戦時下の大統領との認識だ」、ドイツの「メルケル首相は「第二次世界大戦以来の最大の挑戦だ」、フランスのマクロン大統領は「我々は戦争状態にある」と述べるなど、「戦争」を引き合いに出す発言が各国首脳から相次いでいる というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

      安倍首相は「東京五輪・パラリンピックを完全な形で実現する」という認識です

 

         

 

昨日、夕食に「鶏の唐揚げ」を作りました 栗原はるみ先生のレシピで作り置きしておいた「旨み醤油」に鶏肉を漬けてから作りましたが、もう何度も作ったので美味しさが安定してきました

 

     

 

         

 

新日本フィルのホームページによると、音楽監督の上岡敏之氏は任期満了のため2020-2021シーズン(2020年9月~2021年8月)をもって退任することになったとのことです 同氏は2016年9月に音楽監督に就任したので満5年間勤めることになります 今後の方針としては、「2022年に創立50周年を迎えるにあたり、2021-2022シーズンは音楽監督を置かず、歴代の音楽監督やゆかりの指揮者と音楽活動を行う」としています 上岡氏は特異の指揮スタイルで楽しませてくれたので 退任は残念です   それにしても 後任の人事が気になります

 

         

 

東京交響楽団のホームページによると、3月26日の第678回定期演奏会は、新型コロナウイルスの感染拡大の影響を受け、出演者を一部変更の上実施するとのことです 当初来日予定だった3人のソリスト(クリント・ファン・デア・リンデ、ザッカリー・ワイルダー、ドミニク・ヴェルナー)に代わり、アルト=布施奈緒子、テノール=櫻田亮、バリトン=加来徹が歌い、ソプラノの森麻季は予定通りとのことです 当初予定のされていたソリストも 代わりに歌うソリストも「バッハ・コレギウム・ジャパン」の常連メンバーなので大勢に影響はないと思います なお、横須賀芸術劇場少年少女合唱団は感染リスクを避け出演を断念、同合唱団が歌う予定だった箇所はソプラノ歌手陣が歌うことになったとのことです    聴く側としては、どんな形であれコンサートを実施してくれさえすれば良いのです

 

     

 

         

 

昨夕、上野の旧東京音楽学校奏楽堂で東京春祭参加公演、Trio  Accord「ベートーヴェン『ピアノ三重奏曲全曲演奏会 Ⅱ 』」を聴きました

JR上野駅の「公園口」に出たのですが、何と改札がありません おかしいな?と思って壁の表示を見ると、「公演口は100メートル北へ移動しました」とあり、⇒(矢印)が書かれていました 「オレ、そんなこと聞いてねーし」と思いながら、通路を鶯谷方面に約100メートル歩くと、新しい改札口が現われました    新しい方が改札を出たところが広々としていて良いと思います 「もっと早くツイッターに上げてくれよな」とブツブツ言いながら旧奏楽堂に向かいました

最初にサーモグラフィー用のカメラの前を通って建物内に入り、両手をアルコール消毒して当日券売場でチケット(4,500円)を買い、ペラ1枚のプログラムを取って席に向かいました 自席は か列1番、左ブロック左端です 会場は前日よりも多く、6割くらいは入っている感じがします 主催者ではありませんが、何となく 入場者が増えて嬉しいです

プログラムはベートーヴェン①ピアノ三重奏曲 第2番 ト長調 作品1‐2 、②ピアノ三重奏曲 第4番 変ロ長調 作品11「街の歌」、③「仕立て屋カカドゥ」の主題による変奏曲とロンド 作品121a、④ピアノ三重奏曲 第6番 変ホ長調 作品70‐2です

「Trio  Accord」のメンバーはヴァイオリン=白井圭、チェロ=門脇大樹、ピアノ=津田裕也の3人です

 

     

 

1曲目は「ピアノ三重奏曲 第2番 ト長調 作品1‐2」です ルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェン(1770-1827)が作品番号を付けた最初の曲である「作品1」は3つのピアノ三重奏曲から成りますが、この曲はそのうちの1曲です 作曲は1794~95年(24~25歳)と言われています 第1楽章「アダージョ~アレグロ・ヴィヴァーチェ」、第2楽章「ラルゴ・コン・エスプレッシオーネ」、第3楽章「スケルツォ:アレグロ」、第4楽章「フィナーレ:プレスト」の4楽章から成ります

この曲では、第2楽章における白井圭のヴァイオリンが美しく響きました   面白いと思ったのは、第4楽章「プレスト」です  冒頭から音楽が疾走しますが、まるでロッシーニ「ウィリアム・テル」序曲の行進曲のような曲想です   勇ましく溌剌としていて、若きベートーヴェンの意欲を感じました

2曲目は「ピアノ三重奏曲 第4番 変ロ長調 作品11『街の歌』」です この曲は元々クラリネット、チェロ、ピアノの三重奏のために1797年(27歳)に作曲されましたが、クラリネットの代わりにヴァイオリンで演奏されることが多くなっています 第1楽章「アレグロ・コン・ブリオ」、第2楽章「アダージョ」、第3楽章「テーマ・コン・ヴァリアツィオー二:アレグレット」の3楽章から成ります この曲が『街の歌』という愛称で呼ばれているのは、主題と9つの変奏曲から成る第3楽章の「主題」が巷で人気のあったヨーゼフ・ヴァイクルのオペラのアリアから採られていることに由来します

第1楽章冒頭からベートーヴェン特有の力強さを感じさせる曲想です この曲の白眉は第2楽章「アダージョ」でしょう 冒頭、ピアノをバックに演奏される門脇大樹のチェロのソロが素晴らしい 次いで演奏される白井圭のヴァイオリン・ソロがまた素晴らしい こういう演奏を聴いていると、ベートーヴェンはやっぱりアダージョ楽章が一番良いな、と思います 第3楽章はベートーヴェン得意の変奏曲です。冒頭の津田裕也のピアノ・ソロが素晴らしい その後の変奏曲は変化に満ちた曲想で十分楽しめました

 

     

 

後半の1曲目は「『仕立て屋カカドゥ』の主題による変奏曲とロンド 作品121a」です この曲は1824年(54歳)にウィーンで出版されました 「主題」は当時ウィーンで人気のあったヴェンツェル・ミュラーのオペラのアリア「私は仕立て屋カカドゥ」から採られています

冒頭は荘重な序奏で始まりますが、ミステリアスな雰囲気の曲想は『仕立て屋カカドゥ』と言うよりは『殺し屋カカドゥ』といった感じです それもつかの間で、『仕立て屋カカドゥ』に相応しい明るい曲想に転じます これも10の変奏曲ですが、十分楽しめました

最後の曲は「ピアノ三重奏曲 第6番 変ホ長調 作品70‐2」です この曲は1808年(38歳)に作曲された作品70の2つのピアノ三重奏曲のうちの一つです 第1楽章「ポーコ・ソステヌート~アレグロ・マ・ノン・トロッポ」、第2楽章「アレグレット」、第3楽章「アレグレット・マ・ノン・トロッポ」、第4楽章「フィナーレ:アレグロ」の4楽章から成ります

この曲は交響曲第5番”運命”と第6番”田園”が作曲された充実した年に作られた作品ですが、どうもつかみどころのない曲想です ただ、第3楽章でヴァイオリンが奏でるメロディーは親しみがあり、どこかで聴いたことがあるように思います また、第4楽章フィナーレは推進力に満ちた音楽で、ベートーヴェンらしさを感じました

この曲が終わった時点で2時間を経過していたためか、アンコールはありませんでした アンコールよりも3日目の最終公演に備える方がベターだと思います

今日は、昨日よりも多くの人が聴きに来ることを祈っています

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Trio Accord(白井圭、門脇大樹、津田裕也)でベートーヴェン「ピアノ三重奏曲全曲演奏会 Ⅰ 」( 東京・春・音楽祭)を聴く ~ 20日ぶりのコンサート / 春祭「プッチーニ」中止

2020年03月20日 09時10分12秒 | 日記

20日(金)。また公演中止です 「東京・春・音楽祭」の最新のホームページによると、3月26日(木)19時開演の「ディスカバリー・シリーズ『ジャコモ・プッチーニ』」は中止となりました また払い戻しです。公演中止ドミノはいつまで続くのか? これで26件目です

ということで、わが家に来てから今日で1998日目を迎え、米国とカナダの両政府は18日、新型コロナウイルスの感染拡大を抑えるため、両国間の国境を一時的に閉鎖すると発表した  というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

     メキシコとは壁があるから問題ないわけか  でもアメリカには海からも行けるよ

 

         

 

昨日、夕食に「肉じゃが」を作りました 人参を入れないレシピもありますが、やっぱり入れた方が美味しいと思います

 

     

 

         

 

昨夕、上野の旧東京音楽学校奏楽堂でTrio Accord(ヴァイオリン=白井圭、チェロ=門脇大樹、ピアノ=津田裕也)によるベートーヴェン「ピアノ三重奏曲全曲演奏会Ⅰ」を聴きました クラシックの生演奏を聴くのは2月28日の新日本フィル定期演奏会(アフタヌーンコンサート・シリーズ)以来20日ぶりです この間 14公演が中止・延期となったため、18本の映画を観てバランスを取りました

会場の「旧東京音楽学校奏楽堂」は2014年4月から4年半にわたり保存活用工事のため休館していました 私がこの会場でコンサートを聴くのは2018年11月にリニューアル・オープンしてから初めてです 新型コロナウイルスの感染の予防策として、入口ではサーモグラフィー・カメラが入場者を監視し、体温の高い人をチェックしています 両手をアルコール消毒して建物中に入ると、チケットは自分で半券を切り取って箱に入れるよう求められます ペラ1枚のプログラムは自分で取るようになっています このセルフサービス方式は東京春祭のすべてのコンサート会場で取られているようです 聴く側のわれわれにしても、そうしてもらった方が安心です

このホールの大きな特徴の一つは座席番号です 多くのホールが1列1番、2列2番とかA列1番、B列2番となっているのに対し、あ列1番、い列2番というように「あいうえお順」になっているのです 東京藝術大学音楽学部の前身である東京音楽学校の演奏会場としての名残なのでしょう ちなみに自席は き列18番、センターブロック右通路側です 会場はやっと5割に達するかどうかといった入りでしょうか。新型コロナウイルスの感染拡大が喧伝される異常な状況の中では、よくこれだけ入ったと言うべきでしょうか

 

     

 

プログラムはベートーヴェン①ピアノ三重奏曲 WoO.38、②ピアノ三重奏曲 第1番 変ホ長調 作品1‐1、③ピアノ三重奏のためのアレグレット 変ロ長調 WoO.39、④ピアノ三重奏曲 第5番 ニ長調 作品70-1 ”幽霊”です

1曲目は「ピアノ三重奏曲 WoO.38」です   この曲はルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェン(1770-1827)が20~21歳の頃(1790-91)に作曲されたと推定されています 第1楽章「アレグロ・モデラート」、第2楽章「スケルツォ:アレグロ・マ・ノン・トロッポ」、第3楽章「ロンド:アレグレット」の3楽章から成ります

この作品はベートーヴェンの若き日の習作ですが、久しぶりに生演奏を聴くという感慨もあってか、ピアノ、ヴァイオリン、チェロの一音一音が身体に沁み込んでくるようです ベートーヴェンの意欲や生命力を感じさせる清々しい演奏でした

2曲目は「ピアノ三重奏曲 第1番 変ホ長調 作品1‐1」です この曲はベートーヴェンの作品番号1番の記念すべき曲です 作曲は1794~95年(24~25歳)と言われています 第1楽章「アレグロ」、第2楽章「アダージョ・カンタービレ」、第3楽章「スケルツォ:アレグロ・アッサイ」、第4楽章「フィナーレ:プレスト」の4楽章から成ります

この曲はベートーヴェンの音楽の推進力を感じます 素晴らしいと思ったのは津田裕也のピアノです 粒立ちが綺麗でメリハリが効いています。それに輪をかけて白井圭のヴァイオリンが素晴らしい 第2楽章でのヴァイオリン独奏、それに次いで演奏される門脇大樹のチェロ独奏がなかなか聴かせてくれました

 

     

 

プログラム後半の1曲目は「ピアノ三重奏のためのアレグレット 変ロ長調 WoO.39」です この曲は1808年(38歳)の時に作曲された単一楽章の作品です この曲でもとくに津田裕也のピアノが冴えていました

最後の曲は「ピアノ三重奏曲 第5番 ニ長調 作品70-1 ”幽霊”」です この曲も1808年(38歳)の時に作曲されました 第1楽章「アレグロ・ヴィヴァーチェ・エ・コン・ブリオ」、第2楽章「ラルゴ・アッサイ・エド・エスプレッシーヴォ」、第3楽章「プレスト」の3楽章から成ります この曲が”幽霊”という愛称で呼ばれるのは、第2楽章が幽霊でも出てきそうな雰囲気の曲想だからです

第1楽章冒頭における集中力に満ちた演奏が全曲を支配しました 「これぞベートーヴェン」という演奏です。3人のアンサンブルが見事です

大きな拍手に、リード役の白井圭氏が「こんな時に・・・ご来場ありがとうございます こちらも練習場所がなかなか確保できないとか、いろいろ影響がありました アンコールに明日の公演で取り上げる曲を演奏します。明日も聴く方は2回聴くことになります ベートーヴェンのピアノ三重奏曲『街の歌』の第2楽章です」とあいさつし 演奏に入りましたが、再度大きな拍手に包まれました

この「東京・春・音楽祭」に限らず、新型コロナウイルスの感染拡大の影響を受けて中止を余儀なくされる公演が相次ぐ中、こうして予定通り演奏してくれる3人のアーティストには感謝しかありません 坂本龍一氏の指摘通り「音楽(そのもの)には力はない」ですが、どんなに困難な状況の中でも音楽を届けてくれる演奏家の心意気には力があるのだと思います

今日は本来、第一生命ホールで「室内楽ホール de オペラ  林美智子の『ドン・ジョバン二』」を聴く予定だったのですが 中止になってしまったので、Trio Accord「ベートーヴェン『ピアノ三重奏曲全曲演奏会 Ⅱ』 」を当日券で聴くことにしました    明日の「全曲演奏会Ⅲ」はもともとチケットを取ってあるので、3日連続で全曲聴くことになります

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東京春祭公演中止相次ぐ ~ 「トリスタンとイゾルデ」「ブラームスの室内楽」「プッチーニ三部作」ほか / 「公演中止 オケ存続危機 クラシック界 損害24億円」 ~ 朝日の記事から

2020年03月19日 07時02分45秒 | 日記

19日(木)。「東京・春・音楽祭2020」のホームページが18日に更新されました それによると、本日以降のコンサートの中止が相次いでいます 私が聴く予定のコンサートだけでも新たに下記の6公演が中止となり、これで計25公演が中止(うち2公演が延期)となってしまいました

①3月31日(火)「オーケストラの日」コンサート

②4月  2日(木)  ワーグナーシリーズ「トリスタンとイゾルデ」

③4月6日(月)    「ブラームスの室内楽」

④4月11日(土)  青柳いずみこ他「フランス6人組誕生100年に寄せて」

⑤4月16日(木) エリーザベト・クールマン(メゾソプラノ)リサイタル

⑥4月18日(土) プッチーニ「三部作」

払い戻しについては、①は「チケットぴあ」で購入したので ぴあで払い戻しとなり、②~⑥についてはWEBを通じてチケットを取ったので、「マクベス」の時と同様にWEBから「払戻申請用紙」を打ち出して、必要事項を記入しチケットを同封して東京春祭実行委員会払戻係あて郵送することになります 申請用紙は1件ごとに書かなければならないので面倒です

延期2公演を除く中止23公演の払い戻し総額は15万円を超えます チケットぴあで現金で払い戻した4公演以外は1件も入金していません 払い戻しする方も、される方も生産的な作業ではありません 書類を書きながら空しくなってきます

 

     

 

ということで、わが家に来てから今日で1997日目を迎え、新型コロナウイルスの感染拡大を理由に東京オリンピック・パラリンピックが中止となった場合、大会組織委員会が定める観戦チケットの購入・利用規約上、払い戻しは出来ない見通しになっていることが18日、大会関係者への取材でわかった  というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

     開会式A席で30万円   当選した人はまさに天国から地獄   これを”青天霹靂”という

 

         

 

昨日、夕食に「豚バラ麻婆茄子」を作りました 辛さと甘さのバランスが難しいのですが、絶妙に美味しくできました

 

     

 

         

 

昨日の朝日新聞朝刊・文化文芸欄に「公演中止  オケ存続危機 クラシック界  損害24億円」 の見出しによる 吉田純子編集委員の記事が載っていました 超訳すると、

「日本クラシック音楽事業協会は、新型コロナウイルスの影響による公演の中止を740件、損害を中止分だけで24億円と発表した 全国の25楽団が正会員として加盟する日本オーケストラ連盟(オケ連)によると、オケ公演の中止・延期は226件(17日現在)、損害は8億~10億円という。3月1日までの9公演を中止・延期した新日本フィルは3千万円の損失を見込む。林豊専務理事は『資金(内部留保)がなく収益力も弱い、うちのような楽団にとってはチケット収入が命綱。もし政府が緊急事態宣言を出せば、依頼公演も中止を余儀なくされ、3か月で資金繰りが破綻する』と危機感を募らせる。日本フィルは14公演を中止・延期したが、損失は5千万円にのぼる可能性がある 平井理事長は『多くの楽団が資金不足に陥っている一因は現行の公益法人システムにある』と指摘する 現在、オケ蓮の正会員の多くが公益財団法人である。営利企業の活動を妨げてはならず、余分な利益は出せない 受益者に無償、格安でサービスを提供する『収支相償』が税制優遇の前提となる。一方で、2年連続で正味財産が300万円を下回ると強制解散となる。不測の事態に備える資金を蓄えられないまま、2、3年先のプログラムを見据え、自転車操業を余儀なくされているのが実情という 無観客公演のネット配信に活路を見い出す楽団もある。東京交響楽団は8日と14日、川崎での公演をニコニコ生放送で配信したが、今後CD化して発売する 一方、山形交響楽団は14日にクラシック配信サービス『カーテンコール』でコンサートを生中継したが、世界各地の3万人に試聴された 西専務理事によると『公演中止による損害は最大で4700万円に及ぶ可能性もあるが、思いがけなく寄付や協賛の申し出が増え、地元の人々との絆が可視化され、大きな励みになった』と語る。19日19時から『カーテンコール』で井上道義指揮大阪フィルの公演が生中継されるが、福山演奏事業部長は『今回のピンチを糧に、ネット配信による新しいビジネスモデルや収入源を模索していきたい』と前を向く

また、同日の朝日朝刊・社会面には「中止・延期の公演『推計1550』」の見出しにより、次のような記事が掲載されていました

「音楽や演劇の制作者らでつくるコンサートプロモーターズ協会など計4団体が17日、新型コロナウイルス感染拡大の影響で中止となった公演再開への協力や経済的支援などを求める要望書を国会議員あてに提出した 同協会は中止・延期した公演数を1550、損害額を約450億円と推計している 団体との会合後、記者会見に応じた石破茂衆院議員は、3月中に具体策をまとめる意向を示した

これらの記事を読むと、想像以上に損害が大きいことが分かります 対応策として「無観客公演のネット配信に活路を見い出す」試みもいくつか見られますが、それが収益に結びつかなければ単なるボランティア活動に終わります また、「営利企業の活動を妨げてはならず、余分な利益は出せない」という公益財団法人としての制約も考えなければなりません

少しでも早く新型コロナウイルス感染の拡大が治まり、平常な社会に戻ることを祈るとともに、文化を守るために 政府の助成措置を期待したいと思います

今日は20日ぶりにコンサートを聴きに行きます ドタキャンだけはやめてほしい

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コゴナダ監督「コロンバス」を観る ~ 「左右対称でないのにバランスが取れている」モダニズム建築の街コロンバスで出会った二人を描く静かな物語

2020年03月18日 07時20分16秒 | 日記

18日(水)。わが家に来てから今日で1996日目を迎え、米国の政治イベントの将来予想に懸けるサイト「プレディクティット」によると、民主党代表候補のバイデン前副大統領の当選確率が48%まで急伸し、共和党のトランプ大統領(45%)を逆転した  というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

     トランプ大統領は新型コロナウイルスを甘く見ていた  大統領選への思わぬ伏兵だ

     

         

 

昨日、夕食に「ビーフカレー」と「生野菜サラダ」を作りました カレーは時々食べたくなります

 

     

 

         

 

昨日、渋谷のシアター・イメージフォーラムでコゴナダ監督による2017年アメリカ映画「コロンバス」(103分)を観ました

講演ツアー中に倒れた高名な建築学者の父を見舞うため、モダニズム建築の街として知られるインディアナ州コロンバスを訪れた韓国の出版編集者 ジン(ジョン・チョウ)だったが、父親との確執から建築に対しても複雑な思いを抱いており、コロンバスに留まることを嫌がっていた 一方、地元の図書館で働くケイシー(ヘイリー・ルー・リチャードソン)は薬物依存症の母親の看護のためコロンバスに留まっているが、将来の進路で悩み続けており、唯一彼女の心を癒してくれるのは街に並ぶモダニズム建築だった ふとしたことから出会った対照的な二人は建築を巡って語り合う中で、しだいに心を通い合わせていく

 

     

 

この映画は、コロンバスという小さな街に点在するモダニズム建築を背景に、物語が静かにゆっくりと進んでいきます 前日観た「レ・ミゼラブル」が「動」とすれば、この「コロンバス」は「静」です

ケイシーがモダニズム建築を評して何度か「左右対称でないのにバランスが取れている」という言葉を口にします ケイシーは自分が街を離れて好きな道を歩むことになれば、誰が精神不安定な母親の面倒を看るのか、となかなか決断できません ジンはそんな彼女の”独立”を後押しします。彼女の独立は母親の独立を意味します。そうすることによって「左右対称でないのにバランスが取れている」新たな状況を生み出すための一歩を促したのではないか、と思います

この映画の監督は韓国系アメリカ人ですが、小津安二郎監督の作品に欠かせない脚本家の野田高悟(のだ・こうご)にちなんで、コゴナダという名前を名乗っています 確かに、スクリーンに映し出される建築や自然と人間との関係は静謐で、見事な構図に収まっています

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ラジ・リ監督「レ・ミゼラブル」を観る ~ ビクトル・ユゴーの小説で知られるフランスのモンフェルメイユで起こった事件の実話に基づく映画

2020年03月17日 07時22分51秒 | 日記

17日(火)。わが家に来てから今日で1995日目を迎え、米ホワイトハウスは14日、トランプ大統領に新型コロナウイルスの検査を実施した結果「陰性」だったと発表した  というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

      「陰性」でも 国際社会のためには どこかに隔離しておいた方がいいんじゃね?

 

         

 

昨日、夕食に「とんぺい焼き」を作りました 娘のリクエストですが、簡単でとても美味しいです

 

     

 

         

 

昨日、新宿武蔵野館でラジ・リ監督による2019年フランス映画「レ・ミゼラブル」(104分)を観ました

「レ・ミゼラブル」といえば、1本のパンを盗んだ罪で19年の牢獄生活を送ったジャン・ヴァルジャンの生涯を描いたヴィクトル・ユゴーの大河小説(1862年刊)です

生前の母からこんな思い出話を何度か聞かされたことがあります それは尋常小学校の時のことで、授業に退屈すると 子供たちは「ジャン・バルジャン  ジャン・バルジャン」と、先生に「ああ、無情(レ・ミゼラブル)」の話をしてくれるよう囃し立てたというのです    みんな よっぽど勉強が嫌いだったのでしょうね

さて本題の映画「レ・ミゼラブル」の話に入ります

モンフェルメイユはパリ郊外に位置する街で、ヴィクトル・ユゴーの「レ・ミゼラブル」の舞台でもあるが、この街はいまや移民や低所得層が多く住む危険な犯罪地域と化していた 現地の警察署の犯罪防止班に新しく加わることになった警官のステファン(ダミアン・ボナール)は、未成年に対して粗暴な言動をとる気性の荒いクリス(アレクシス・マネンティ)、警官である自分の力を信じて疑わないグワダ(ジェブリル・ゾンガ)と共にパトロールをするうちに、複数のグループ同士が緊張関係にあることを察知する そんなある日、イッサという名の少年がサーカス団から子ライオンを盗んだことをキッカケに大きな騒動へと発展する 事件解決のために奮闘するステファンたちだが、事態は取り返しのつかない方向へと進み始める

【以下、ネタバレ注意】

 

     

 

警官たちはイッサが子ライオンを盗んだことを突き止め、仲間たちと遊んでいるイッサを追いかけ拘束しますが、その時、仲間の子供たちが石を投げたりして抵抗するので、グワダは思わずゴム弾を発射し、それがイサクの顔に命中します 警官たちにとって都合が悪かったのは、その様子を他の子供が操縦するドローンに撮影されていたのです 真面目なステファンは一刻も早くイッサを病院に連れてこうと主張しますが、クリスはドローンで撮影した映像がSNSで拡散したら警察の権威が失墜しパニックが起こるから、まずドローンの持ち主を突き止めて映像データを消すことが第一だと主張します 結局、映像データはステファンの説得により回収しますが、警察官たちがイサクに付き添ってサーカス団の団長に謝罪に行った時、イサクはいきなり団長にライオンの檻に連れ込まれ怖い思いをします その上 イサクはクリスから「顔の怪我は転んだせいで、悪いのは自分だと母親に言え」と強制されます 警官に反感を持ったイサクは仲間たちと共に警官の車を襲撃し、アパートに立てこもり物を投げつけて反抗します 火炎瓶を手にしたイサクに、ステファンは「やめろ、それを手から放せ」と銃を向けます

 

     

 

パリといえば華やかな街をイメージしますが、一歩郊外に出ればこの映画で描かれたような危険な犯罪地域があるのだということが分かります ラジ・リ監督はこの映画の舞台であるモンフェルメイユで生まれて育ち、現在も暮らしているとのことで、この映画で描かれる子ライオン誘拐事件なども実際にあった出来事だといいます それだけにストーリー展開には説得力があります

街に住む人々は権力を背景に居丈高な態度を取る警官を恐れながら、いつかは仕返しをしてやろうと心に秘めて暮らしていることが良く分かります 子ライオンを盗んだイサクは確かに悪い。しかし、恐怖によって子供を躾けたり教育しようという大人の姿勢は必ず反感を呼び、予想外の行動を呼び起こします 映画の最後に画面に表れるヴィクトル・ユゴーの言葉が胸に迫ります

「悪い草も悪い人間もいない、育てる者が悪いだけだ」

ラジ・リ監督が最後にこの言葉を引用したのは、「育てる者」は「親」だけでなく大人たちが築き上げた「社会」も意味しているのだ、ということを表現したかったからだと思います

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柚木麻子著「BUTTER(バター)」を読む ~ 婚活で知り合った中高年の男たちを殺害した首都圏連続不審死事件の犯人をモデルとした小説:おもわず食べたくなるバター醤油ご飯

2020年03月16日 07時18分32秒 | 日記

16日(月)。わが家に来てから今日で1994日目を迎え、トランプ米大統領が13日、新型コロナウイルスに対処するため国家非常事態宣言をしたことにより、連邦緊急事態管理庁が州政府などを支援できるようになったことから、ニューヨーク株式市場ではダウ平均が前日比1985ドル高と史上最大幅を記録した  というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

          ジェットコースター相場だから トランプのひと言でまた大幅下落するに違いない

 

         

 

柚木麻子著「BUTTER(バター)」(新潮文庫)を読み終わりました 柚木麻子は1981年東京都生まれ。2008年「フォーゲットミー、ノットブルー」でオール讀物新人賞を受賞し、2010年に同作を含む「終点のあの子」でデビュー 2015年「ナイルパーチの女子会」で山本周五郎賞を受賞しています

 

     

 

中高年の男たちの財産を奪い、殺害した容疑で逮捕された梶井真奈子(カジマナ)。若くも美しくもない太めの彼女に、なぜ男たちは惹かれていき餌食になったのか? 週刊誌記者の町田里佳は その謎を解くため、親友の伶子の助言をもとに東京拘置所に収監されているカジマナの面会を取り付ける    バターを好みマーガリンとフェミニストを嫌悪するカジマナは、彼女の独占インタビュー記事を書くという功名心に燃える里佳に対し、本物のバターを使った料理を作れと煽り続ける。里佳は彼女の信頼を勝ち取るため言いなりになり、次第にカジマナのように太っていく    そして次第に同情心も湧き、外面だけでなく内面的にもカジマナのように考えるようになり、死んでいった男たちはカジマナが相手にしなくなった途端、勝手に死んでいったのではないか、と思うようになる   面会を通じてカジマナの信頼を勝ち取った里佳は、独占インタビューを週刊誌に発表するが、その直後、カジマナの裏切りが待っていた

この作品は2007年から2009年までに起きた首都圏連続不審死事件(死亡者6人、起訴対象3人)の犯人とされる木嶋佳苗(逮捕当時34歳)をモデルにしています 婚活を利用した事件であることから「婚活殺人事件」とも呼ばれました 彼女はフードコーディネーターを自称し、料理をブログにアップするなど料理は得意にしていました 著者の柚木さんはその点に注目し、犯行の動機や方法ではなく「料理」に、しかもフランス料理では不可欠の「バター」に焦点を当ててこの小説を組み立てていこうと考えたのだと思います この小説に登場する数々の料理の描写は見事で、すぐにでも食べたくなります

これは料理とは言えないかも知れませんが、カジマナが最初の面会で里佳に作るように勧めたのは「バター醤油ご飯」です カジマナの説明によると「炊き立てのご飯をバターと醤油でいただくもの」で「バターの素晴らしさが一番よくわかる食べ方」です 「バターは冷蔵庫から出したて、冷たいまま。本当に美味しいバターは、冷たいまま硬いまま、その歯ごたえや香りを味わうべき ご飯の熱ですぐに溶けるから、絶対に溶ける前に口に運ぶこと。冷たいバターと温かいご飯。まずはその違いを楽しむ。そして、口の中でその二つが溶けて、混じり合い、それは黄金色の泉になる。見えなくても黄金だとわかる、そんな味」ーというものです どうです、たべたくなりませんか

この小説は里佳の、カジマナとの対決の物語であるとともに、親友の伶子との友情物語であり、仕事上の情報提供者で年長の篠井さんとの微妙な距離感の物語であり、同僚で恋人の誠とのギクシャクした物語でもあります それぞれの複雑な関係が584ページの中で微妙に絡み合って展開します

カジマナは高級料理教室で習った約5キロの七面鳥の丸焼きを作りますが、それを誰かに振る舞う前に逮捕されてしまいます 里佳は同じ料理教室で使われているレシピをもとに七面鳥の丸焼きを作り、母、伶子、篠井さん、会社の同僚などに振る舞います 里佳は最後にカジマナの裏切りにあいますが、七面鳥の丸焼きを作り 身近な人たちに振る舞うことによって、「あなたは孤独で 本当の友達はいなかった。でも私にはこんなにも多くの友人や大切な人たちがいる」と、やっとカジマナの呪縛から解放されたのではないか、と思います

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ケネス・プラナー監督「シェイクスピアの庭」を観る ~ ウィリアム・シェイクスピアの最期の3年間を描いた作品:ル・シネマ / 響きの森クラシック・シリーズ公演( 3 / 28)中止

2020年03月15日 07時26分29秒 | 日記

15日(日)。3月に入ってからの天候は「三寒四温」どころか「一寒一温」ですね   昨日は、桜の開花宣言が出された一方で 雪が降ったのにはビックリしました ところで、雪というと思い出すことがあります。高校の国語の授業の時のことでした 急に雪が降ってきたので、全員で俳句を作ることになりました。私は「初雪や  走る子どもの 息白し」という 面白くも何ともない 将来の平凡な人生を象徴するような一句を詠みましたが、一人だけ いまだに忘れられない名句を詠んだ男がいました それはこういう句です。「初雪や うちの畑も もうダメだ」。田舎の高校でのひとコマでした

ということで、わが家に来てから今日で1993日目を迎え、トランプ米大統領は13日、拡大する新型コロナウイルスの感染について「1か月以内に500万件の検査が可能になる」としたが、米国内でウイルスの検査能力が不足し、感染者の把握に手間取っているとの批判が増えていることに対しては、「私の責任はまったくない」と否定した  というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

     上手くいけば自分の手柄  まずければ官僚の責任  どこかの首相に似てなくもない

 

         

 

昨日はホワイトデーでした。娘にゴディバのチョコを贈りました カタログに載っていない超限定ケーキです

 

     

 

         

 

昨日、文京アカデミー・シビックホールから「3月28日『響きの森クラシック・シリーズVol.71』公演中止のお知らせ」が届きました コバケン ✕ 東京フィルによるドヴォルザーク「新世界より」他です。払い戻しはシーズンセット券購入者は①シビックチケット窓口でチケットと引き換えにより現金を払い戻し、②払い戻し申請書に必要事項を記入しチケット同封で郵送のどちらかです シビックチケットまで行くのに交通費がかかるので、郵送することにしました

また、トリトンアーツ・チケットデスクから、3月20日の林美智子の「ドン・ジョバンニ」公演中止に伴う払い戻し案内が届いたので、こちらも払い戻し書類に必要事項を記入して郵送することにしました

 

         

 

昨日、渋谷の  Bunkamura  ル・シネマでケネス・プラナー監督2018年イギリス映画「シェイクスピアの庭」(101分)を観ました

1613年6月29日、「ヘンリー八世」(当時のタイトルは「All is True」)上演中にグローブ座を焼き尽くした大火災の後、断筆したシェイクスピア(ケネス・プラナー)は故郷ストラットフォード=アポン=エイヴォンへ戻った 20余年もの間 滅多に会うことのなかった主人の突然の帰還に、8つ年上の妻アン(ジュディ・デンチ)と未婚の次女ジュディス(キャスリン・ワイルダー)、町医者に嫁いだ長女スザンナ(リディア・ウィルソン)は驚きと戸惑いを隠せずにいた   そんな家族をよそに、17年前に幼くして他界した最愛の息子ハムネットの死に取り憑かれたシェイクスピアは、一人息子を悼む庭を造ることを思い立つ ロンドンで執筆活動に勤しんでいた長い間に生じた家族との溝はなかなか埋まらなかったが、気づかなかった家族の秘めた想いや驚愕の事実と向き合うことになる

 

     

 

この映画は、「才能に溢れたシェイクスピアが 何故49歳の若さで引退したのか?」というケネス・プラナーの疑問から生まれた作品です 英国の偉大な劇作家・詩人であるウィリアム・シェイクスピア(1564-1616)の最期の3年間を描いています 【以下 ネタバレ注意】

長女スザンナは結婚して娘が一人いるものの夫婦の間は冷え切っています 次女ジュディスは28歳で未婚です 妻アンによると、ジュディスと双子で生まれた息子ハムネットは、幼くして疫病で死去しました その時シェイクスピアはロンドンにいて息子の死に目に遇えませんでした ジュディスは父親が男のハムネットばかりを大事にし、女の自分を無視してきたと怒りを露わにします そして、遂に 父親がハムネットが書いたと言って大事にとっておいた詩は、自分が作ったものをハムネットが書き写しただけだ、と暴露します ハムネットに嫉妬を覚えたジュディスは、本当のことを父親に伝えると脅迫、その後、ハムネットは湖で水死体で見つかったのでした ハムネットが死んだのは自分のせいだ、とジュディスは泣き崩れます。それを聞いたシェイクスピアは大きなショックを受けますが、妻アンはジュディスを庇うように息子は疫病で死んだと呟き続けます シェイクスピアは自分の跡継ぎが、しかも男の後継者が欲しかったのだと思います しかし、残念ながら息子には自分のような才能はなかったのです シェイクスピアが戯曲として書いたイングランド王「ヘンリー八世」は、ばら戦争の後の危うい平和のもとで女性君主にテューダー朝をまとめることは無理だと考え、男子の世継ぎを渇望し、6度も結婚したといいます このことは、シェイクスピアが息子に後継者としての期待を込めたことに影響したかもしれません

ところで、シェイクスピアは18歳の時に26歳のアンと結婚しましたが、何とアンは文字が書けなかったということを、この映画を観て初めて知りました 言葉の達人シェイクスピアの妻が文盲だなんて信じられません 16世紀から17世紀にかけての一般市民はそんな状態だったのでしょうか

また、シェイクスピアは1616年4月23日に生涯を閉じましたが、その日は彼の52歳の誕生日だったことも初めて知りました それにしても、あまりにも早すぎる死だと思います

シェイクスピアの戯曲には約170種類の植物が登場し、作品の重要な構成要素となっており、彼の生家の庭には彼の作品に登場する植物が多く植えられているそうです    英語圏の国、とくにアメリカでは公園や大学などの公共の庭にこれらの植物が造園されているのを「シェイクスピア・ガーデン」と呼ぶそうです シェイクスピアの名前は戯曲や詩ばかりでなく、庭にも残されていたのですね

映画の最後に「All is True」の文字が大きくクローズアップされます この映画の原題ですが、これはあくまでも「ヘンリー八世」の当時のタイトル名を借用したものであり、この映画の内容のすべてが真実だということではないと思われます それにしても、父親として、夫としてのシェイクスピアの晩年が良く描かれていると思います

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3 / 24 新日本フィル公演中止 / ワアド・アルカティーズ、エドワード・ワッツ共同監督「娘は戦場で生まれた」を観る ~ 戦地シリアで撮った迫真のドキュメンタリー:シアター・イメージフォーラム

2020年03月14日 07時36分20秒 | 日記

14日(土)。日本演奏連盟のホームページによると、「都民芸術フェスティバル」参加公演のうち3月24日(火)19時から東京芸術劇場で開催予定の「新日本フィル」のコンサートは中止となりました これにより、同フェスティバル参加公演のうち「オーケストラ・シリーズ」は全8公演のうち5公演が中止となってしまいました

一方、13日付の「東京・春・音楽祭」のホームページによると、3月19、20、21日に旧東京音楽学校奏楽堂で開催予定のトリオ・アコードによるベートーヴェン「ピアノ三重奏曲全曲演奏会」は予定通り実施するとのことです 私はこのうち2公演を聴くので良かったです また、3月26日に東京文化会館小ホールで開催予定の「ジャコモ・プッチーニ」も予定通り実施するとのこと このほかの公演についても実施か中止かについてアップされています。なお、あくまでも13日時点の判断ということで、今後変更になる可能性があるとしていますので注意が必要です それにしても、公演によって実施・中止の判断が異なるのはどういう判断基準によるものなのか知りたいところです

ということで、わが家に来てから今日で1992日目を迎え、南米ブラジルの大統領府は12日、ボルソナーロ大統領の側近であるファビオ・バインガルテン大統領府広報局長が 新型コロナウイルスに感染していたが、7日のトランプ大統領との夕食会にも同席していたと発表した  というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

     トランプ氏には罹患しない  新型コロナウイルスも顔負けの毒で返り討ちにする!

 

         

 

昨日の夕食は「胡麻豆乳鍋」にしました 材料は豚バラ肉、白菜、エノキダケ、水菜、豆腐です。胡麻豆乳味は初めてでしたが 結構美味しかったです

 

     

     

 

         

 

昨日、渋谷の「シアター・イメージフォーラム」でワアド・アルカティーズ、エドワード・ワッツ共同監督による2019年イギリス・シリア合作映画「娘は戦場で生まれた」(100分)を観ました

シアター・イメージフォーラムは昨年10月に観た、上映時間7時間18分の「サタン・タンゴ」以来です 前日、池袋の映画館で観た「ジュディ」の観衆がたったの7人だったのに対し、こちらは40人弱の人が集まりました この映画館は、どちらかというと”社会性の高い”テーマを扱った作品を上映するのが特徴ですが、「エンターテインメント」よりも「社会派」の方が集客力があるというのは興味深いところです

未曽有の戦地シリアで、ジャーナリストに憧れる女子学生ワアドは、デモ運動への参加をきっかけにスマホで撮影を始める しかし、平和を願う彼女の想いとは裏腹に、内戦は激化の一途を辿り、アサド独裁政権により美しかったアレッポは破壊されていく そんな中、彼女は医師を目指すハムザと出会う。彼は仲間と廃墟の中で病院を設け、日々繰り返される空爆の犠牲者の治療にあたっていたが、彼らのほとんどが命を落としていく やがて二人は夫婦となり、彼らの間に新しい命が誕生する 赤ん坊は自由と平和への願いを込めてアラビア語で「空」を意味する「サマ」と名付けられる しかし、幸せもつかの間、ロシアを後ろ盾とする政府軍の攻撃は激しさを増していき、ハムザの病院は街で最後の医療機関となってしまう 明日が約束されない身で母となったワアドは家族や愛すべき人々の生きた証を映像として残すことを誓う。それは娘のためであった

 

     

 

この映画は、2012年からシリアのアレッポが陥落する2016年までが、若き母親ワアドの目を通して綴られています

戦火が激しくなるにつれ、生き残るために”政権側”に寝返って街を去っていく人々が出る中、ワアドとハムザはサマを育てながら故郷に残ることを決断します ワアドはハンディカメラで、血まみれで病院に運ばれる市民や 空爆で子供を亡くして慟哭する母親らを心を鬼にして撮影していきます 一方ハムザは次々と病院に運ばれてくる怪我人の手当て・手術に没頭します

一番強く印象に残っているのは、ある女性の出産シーンです 帝王切開の後、医師が逆子の足を持って引っ張り出しますが、生まれた赤ん坊は泣き声を上げないばかりか びくともしません それでも医師は諦めません 赤ん坊の胸を押して人工呼吸を試み、それがダメと判ると 逆さづりにして背中を叩いたりして何とか息をするよう懸命に手を尽くします   死人のようだった赤ん坊が泣き声を上げた瞬間は、観ているこちらも感動を覚えました 空爆によって罪のない多くの市民が死んでいく中、希望の光が灯ったかのようでした

それと同じくらい強く印象に残っているのは、近くで大きな爆発音が聞こえた時、大人たちが怯んでいる中、サマはまったく表情を変えなかったことです つまり、空爆が日常化し 爆発音を耳にする生活に 幼いサマは”慣れて”しまったため、どんなに大きな音がしても驚かなくなってしまったのです このことは サマの将来に情緒面で影を落とすことになりはしないかと心配になりました

この映画を観ると、シリアをはじめ中東諸国では今なお戦火にまみれて 市民が苦しんでいるんだろうか、と考えたり、戦争のない平和な国で暮らせることが如何にありがたいことか、と思ったりします

この映画の最後に「ここはアレッポ。正義とは何か?」という言葉がスクリーンに映し出されます 戦争をする者(国)は、必ず自分の側が正義だと主張します しかし、少なくとも 何の罪もない市民や子どもたちが殺されていくのなら、それは正義とは言えないでしょう

いま世界は”目に見えない脅威の敵”  新型コロナウイルスの感染が急拡大し「パンデミック(世界的な大流行)」の危機的な状況にあります そんな中でも、一人でも多くの人に観てほしい映画です

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3/14、15の「東京春祭」中止公演 ⇒ 無観客ライブ配信へ / 3/20、22の林美智子の「ドン・ジョバンニ」公演中止 / 「ジュディ 虹の彼方に」を観る~ジュディ・ガーランド最後の公演

2020年03月13日 07時22分55秒 | 日記

13日(金)。昨日、トリトン・チケットデスクからケータイに電話があり、3月20日(金・祝)14時から第一生命ホールで開催予定の「室内楽ホール de オペラ  林美智子の『ドン・ジョヴァンニ』」が中止(22日も)となったので、チケット代払い戻しの書類を送付するとのことでした 楽しみにしていたコンサートが次々と中止になっていきます 私の場合、これで17公演が中止(うち2公演が延期)となりました

ということで、わが家に来てから今日で1991日目を迎え、欧州で一番新型コロナウイルスの感染が拡大しているイタリアのコンテ首相は11日、全土でレストランやバールなどの飲食店や美容院を2週間閉鎖すると発表した  というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

     飲食店だけでなく美容院も閉鎖するのはリハツな考えだ  洒落言ってる場合か!?

 

         

 

昨日、夕食に「親子丼」を作りました 結構みりんを使いますね

 

     

 

 

         

 

10日(火)の日経夕刊に「相次ぐ公演中止  配信に活路 ~ 音楽・演芸  表現つなぐ」という見出しの記事が載っていました  「新型コロナウイルスの感染拡大で興業が続々中止になり、未曽有の危機に直面するエンターテインメント業界。活動の舞台が奪われる中、表現をつなぐ手段としてネット配信に注目が集まる」というリードにより、ポピュラー、クラシックそれぞれの取り組みが紹介されています ここではクラシック業界に絞って概略をご紹介します

「ミューザ川崎シンフォニーホールと東京交響楽団は今月8、14日に開催予定だった公演を無観客で実施し、無料配信する 演奏を収録したCDも販売する。楽団員や指揮者・ソリスト、ホールスタッフらの演奏会にかける熱意を汲んでの初の無料配信に踏み切った びわ湖ホールは7,8日に予定していたワーグナーの大作オペラ『ニーベルングの指環』の『神々の黄昏』を無観客で実施し、無料配信した DVDも発売する。『神々の黄昏』だけで制作費が1億6千万円ほどかかっており、出演者らの準備はほぼ整っていた スタッフの再招集も困難なため、無観客でも上演したいという声が大半だったという

上記の東京交響楽団のコンサートのうち8日(日)は第155回「名曲全集」、14日(土)は第40回「モーツアルト・マチネ」です このうち「名曲全集」についてはインターネット動画配信サイト「ニコニコ生放送」で無料生配信したところ、視聴回数が約10万回に達したと報道されています 

一方、YouTubeで配信された びわ湖ホール「神々の黄昏」については、12日付の朝日新聞夕刊に吉田純子編集委員が「1日約1万2千、延べ20万という思いがけないアクセスがあった 様々な事情で劇場に足を運べない人々が、新作オペラが生まれる瞬間を初めて目撃できるという『副産物』もあった しかし、3月のチケット代の払い戻しは他公演を含めて6千万円、上演を決めて以降の人件費や宿泊費などによる損失は1千万円に及んだという」と書いています 公演中止による経済損失がいかに大きいかが分かります

なお、記事には掲載されていませんが、「東京・春・音楽祭」のホームページによると、新型コロナウイルスの感染拡大の影響を受けて中止になった次の3公演を無観客ライブ・ストリーミング配信(無料)するとのことです

①3月14日(土)15時開演 「林美智子&与儀巧 にほんの歌を集めて」

②3月14日(土)18時開演 「The Ninth Wave - Ode to Nature  目で聴き、耳で視る『ベートーヴェン』」

③3月15日(日)16時開演 「ベルリン・フィルのメンバーによる室内楽」 

このような試みは今後増えていくように思います

 

         

 

昨日、池袋HUMAXシネマズでルパート・グールド監督による2019年イギリス映画「ジュディ   虹の彼方に」(118分)を観ました

1階のチケット売場で座席を指定する時、「現在、席に余裕があります」と言われました 6階の「シネマ4」に入って納得しました。入場者は私を含めて たったの7人でした 新型コロナウイルスの感染拡大の影響はコンサートだけでなく映画館にも及んでいます

この映画はハリウッド黄金期のミュージカル女優ジュディ・ガーランドが47歳の若さで急逝する半年前の1968年冬に行った公演の日々を描いた伝記ドラマです

1968年、かつてミュージカル映画の大スターとしてハリウッドに君臨したジュディ(レネー・ゼルウィガー)は、度重なる遅刻や無断欠勤によって映画出演のオファーが途絶え、巡業ショーで生計を立てる日々を送っていた     住む家もなく借金も膨らむばかりの彼女は、幼い娘や息子との幸せな生活のため、子供たちと離れ 起死回生をかけて単身ロンドン公演へと旅立つ

 

     

 

私にとっては、ジュディ・ガーランド=オズの魔法使い(1939年)です 子供たちが小さい頃は、テレビから録画したヴィデオでよく観ていました。懐かしい思い出です

この映画では、ジュディの10代の頃を振り返りながら現在の境遇を描いていますが、13歳だったジュディは肥満気味だったため、映画会社MGMは契約に「スリムでいること」を含めた強制的なダイエットを命じました 映画ではハンバーガーもダメ、ケーキもダメと言われ、ダイエット薬として使用される覚醒剤(アンフェタミン)を常用する少女が映し出されます 薬漬けの生活のため眠れない毎日が続いていたのです そのことが影響し その後の私生活が乱れ、彼女は生涯に5度も結婚しています あのかわいいドロシーがこんなに悲惨な人生を送っていたとは、この映画を観るまでちっとも知りませんでした

パーティーのシーンで、ジュディに「ママ」と呼びかける女性が出てきます    ミュージカル・スターのライザ・ミネリにそっくりです    そう、本物のライザ・ミネリは2番目の夫ヴィンセント・ミネリとの間に生まれました     母娘そろってミュージカル・スターになったのです

ある公演が終わった後、楽屋口で彼女の熱烈なファンだという二人の男性と巡り合い、夜遅くてレストランが開いていないため、彼らのアパートで食事をするシーンがあります 話によると 彼らは同性愛者で、当時の社会はLGBTに理解がなかったため牢獄に入れられたと語り涙を流します ジュディはやさしく男性の肩を抱きます。ジュディは60年代のアメリカで同性愛者に対して理解を示していた数少ない著名人の一人だったと言われています 現在『レインボー・フラッグ』が同性愛解放運動の象徴として用いられているのは、ジュディが「オズの魔法使い」で歌った「虹の彼方に(オーバー・ザ・レインボー)」に由来しています

この映画では数々のミュージカル・ナンバーが歌われますが、最後の最後に「オーバー・ザ・レインボー」がステージで歌われます 途中で、それまでの辛かった人生を思い出したのか「もう歌えない」と慟哭しマイクを降ろしてしまいます すると、客席にいた件の男性2人が立ち上がり最初からこの曲を歌い出し、他の観客も合唱に加わります このラスト・シーンは感動的です

家に帰ってきて、無性に「オズの魔法使い」を観たくなりました

 

     

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「自粛要請 音楽業界に危機感」~朝日新聞の KAJIMOTO 社長インタビュー記事から / アンソニー・マラス監督「ホテル・ムンバイ」を観る ~ ギンレイホール

2020年03月12日 07時24分50秒 | 日記

12日(木)。一昨日(10日)の朝日新聞朝刊に「自粛要請  音楽業界に危機感」という見出しにより クラシック、ポップスそれぞれの業界を代表する人物のインタビューが載っていました クラシックについては、KAJIMOTOの梶本眞秀社長がインタビューに応えています

「この2週間で中止・延期になったクラシック関係の公演は500件にのぼると言われるが

という記者の問いかけに、

「私の会社の関係も20公演ほど。今もマルタ・アルゲリッチ、ギドン・クレーメルの公演の中止連絡を電話でしているが、損害は極めて大きい チケットを扱う業者への手数料、チラシやポスターなどの宣伝費、ホール代など、2週間で数千万円になる このままだと、倒産する会社が相次ぐだろう

と答えています また「政府からの要請をどう感じたか」という質問に対しては、

「もう少し、専門家の判断に基づく裏付けがほしい 一口にイベントというけれど、クラシックのように聴衆がじっとしているものもある。会場だって様々だ。場当たり的な印象がぬぐえない 科学的な裏付けのない憶測や怖がりで、集団妄想に陥るべきではない

と答えています。また、「ライブハウスが感染源になったような心配はないか」との問いには、

「日本のコンサートホールの換気の基準は厳しい 入れ替えが激しすぎて、ピアノのマウリツィオ・ポリー二が『風が吹いているじゃないか。演奏できない、止めろ』と言ってきたくらいだ 専門家と協議し 対策を立てているが、特に手には注意している    チケットの半券を切って戻すことはやめて、目視でチェックしている

と答えています  「より厳しい要請が来たら?」との質問には、

「一企業の話ではなく、社会の大事な部分がつぶれかねない。長引けば、戦後脈々と培われ、ここまで育てられてきた文化が、さっと一気に崩れるだろう     元に戻すには大変な時間がかかる   首相が何を言うのか心配だ    より厳しい制約を求めるのなら、補償の問題もセットで打ち出すべきだ

と答えています

11日付 朝日新聞朝刊によると、安倍首相は10日、新型コロナウイルスの感染症の拡大防止として要請している国内のスポーツ・文化イベントの開催自粛の取り組みを10日間程度続けるよう求めたとのことです これにより、クラシック・コンサートの中止・延期ドミノがこれからも続くことになるでしょう。本当に残念です

今から20年ほど前、小泉政権の時には、何度か小泉首相をオペラ会場でお見掛けしましたが、今の安倍首相は「桜を見る会」や「仲良しとの夕食会」には参加しても、コンサートやオペラを鑑賞する習慣はないようです とても梶本氏が種々指摘されているようなことを認識しているとは思えません 文化的な側面から見ると非常に残念なことです

ということで、わが家に来てから今日で1990日目を迎え、朝鮮中央通信は10日、北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長が9日、朝鮮人民軍長距離砲兵部隊の火力打撃訓練を現地指導したと伝えたが、北朝鮮の内情に詳しい複数の関係者によると、正恩氏は新型コロナウイルスへの感染を警戒し、最近は長く平壌を離れている  というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

         自国メディアは国内感染者は「ゼロ」としてるんだから  平壌に戻ればいいのに

     

         

 

昨日、夕食に「スタミナ丼」と「ニラ玉」を作りました 「ニラ玉」はかつて近所にあったラーメン店「映月軒」の名物メニューでした。とても美味しかったです

 

     

 

         

 

ギンレイホールでアンソニー・マラス監督による2018年オーストラリア・アメリカ・インド合作映画「ホテル・ムンバイ」(123分)を観ました

2008年11月、インドを代表する五つ星ホテルが500人以上の宿泊客と従業員を人質にテロリストによって占拠された ホテルマンたちはプロとしての誇りをかけてホテルに残り、宿泊客をホテルの外に逃がすため奔走する テロリストたちに支配される極限の状況下で、特殊部隊の到着まで数日かかるという過酷な現実を前に、人々の誇りと愛に満ち溢れた脱出劇を描く

 

     

 

この映画は、2008年のインド、ムンバイ同時多発テロでテロリストに占拠されたタージマハル・パレス・ホテルでの人質救出劇を、実話に基づいて描いた作品です

この映画を観て、何が驚いたかと言えば、当時のムンバイでホテルに駆け付けることが出来た警察官はたったの5人しかいなかったということです 同時多発テロなので他の現場に多くの警察官が動員されているとはいえ、これで機関銃や手榴弾を持ったテロリストに立ち向かおうというのですから、とても太刀打ちできません そんな中、冷静な判断力を持った料理長やホテルマンのアルジュン(デブ・パテル)らの活躍によって、多くの宿泊客が救出されたのです この映画では、テロリストは貧しい若者たちで、「お前たちの犠牲によって、彼ら金持ちが豪勢な生活をしているんだ。彼らを殺しても罪にはならない」と鼓舞する遠くにいる”兄貴”の指示を受けながらテロ行為に及んでいることを描き出します ”兄貴”と呼ばれる首謀者はアフガニスタンにいていまだ逮捕されていないそうです イスラム原理主義者のテロ行為で犠牲になるのは何の罪もない市民であると同時に、首謀者に騙されて「ジハード(聖戦)」の名のもとに命をかけてテロを起こす加害者側にいる若者たちでもある ー この映画はそういうことも教えてくれます

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