4月9日 NHK
愛知県の大村知事は、県内で新型コロナウイルスの感染者が増えているなどとして10日午後、県として独自に「緊急事態宣言」を出し、県民に対し、不要不急の外出や移動の自粛を求める考えを示しました。また、政府に対して、法律に基づく「緊急事態宣言」の対象に愛知県を加えるよう要請したということです。
7日、安倍総理大臣が東京など7都府県を対象に、法律に基づく「緊急事態宣言」を行いましたが、感染者数が全国で5番目に多い愛知県は対象となりませんでした。
こうした中、大村知事は9日、記者会見し、県内で感染者数が増えていることなどに触れたうえで、「あす午後、『緊急事態宣言』を愛知県として発出する」と述べました。
そして、「県民にはすでに7都府県への移動自粛をお願いしているが、不要不急の外出自粛、移動自粛をお願いする」と述べました。
また大村知事は県独自の『緊急事態宣言』の期間は来月6日までだとしたうえで、「今月19日までとしていた学校の臨時休校も来月6日まで延長したい」と述べ、来月6日まで県立高校や特別支援学校を休校とし、市町村にも小中学校の休校を要請する考えを示しました。
一方、幼稚園や保育園については、一律に休園は求めず、各施設の事情も踏まえて引き続き開けてもらいたいとしています。
さらに大村知事は政府に対し、法律に基づく「緊急事態宣言」の対象に愛知県を加えるよう要請したことも明らかにしました。
政府は7日の国会で、愛知県の感染状況について、東京などと比較して、感染者の増加のスピードが緩やかで、感染経路が分からない患者の割合も低いなどという認識を示していて、法律に基づく「緊急事態宣言」の対象に加えるかどうかを検討するものとみられます。
官房長官「感染状況を踏まえ専門家の意見を聴く」
菅官房長官は午前の記者会見で、大村知事が「緊急事態宣言」の対象に愛知県を加えるよう政府に要請したと明らかにしたことについて、「緊急事態宣言の対象地域については、感染状況を踏まえて、専門家の意見を聴かなければならないと考えている。いずれにせよ、国民の皆さんには密閉、密集、密接のいわゆる『3つの密』を避ける行動を徹底し、感染拡大の防止に協力をいただきたい」と述べました。
また菅官房長官は午後の記者会見で「専門家と担当の新型コロナウイルス感染症対策推進室で、日々の状況について情報共有などを行っているが、現時点で、愛知県やその他の自治体を対象地域に加えるべきだという評価に至ったという報告は受けていない」と述べました。
名古屋市 河村市長「県独自で宣言はいい 協力したい」
名古屋市の河村市長は記者団に対し、愛知県が独自に「緊急事態宣言」を出すことについて、「法律に基づく『緊急事態宣言』の対象から外されている状態なので、県独自で宣言を出すのはいいことではないか。名古屋市も協力していきたい」と述べました。
そのうえで、「外出すると感染の可能性が高まるのは事実だ。国が『接触の機会を8割減らしたい』と言っているので、そういった気持ちで外出を控えることをお願いしたい」と述べ、不要不急の外出の自粛を市民に呼びかけました。
一方、愛知県が政府に対して法律に基づく「緊急事態宣言」の対象に愛知県を加えるよう求めたことについて、河村市長は「国には東京・大阪・名古屋を一連のものと考え、ぜひ、愛知県を緊急事態宣言の対象地域に指定してもらいたい」と述べました。
そして9日、名古屋市としても政府に対して、「愛知県から緊急事態宣言の対象地域への指定について要請があった際には格段の配慮をお願いする」とする文書を提出したことを明らかにしました。
愛知県医師会「知事の判断を評価」
愛知県医師会の柵木充明会長は「緊急事態宣言」に関するコメントを発表しました。
この中で「愛知県の感染状況は切迫しており、近い将来、東京や大阪のようにならないという保証はない。感染爆発が起きてから社会活動の制限や医療体制の整備をしても遅い」と指摘しました。
そのうえで「愛知県は、軽症者などのための一時生活施設を設置し、いち早く病院の負担軽減に努めている。まだなんとか余裕がある今の時点で、知事が緊急事態宣言の指定地域に愛知県を申請したことは評価する」としています。
また愛知県によりますと県内の医療機関には、新型コロナウイルスの感染者を受け入れるベッドはおよそ250床あり、8日夜の時点で、168人が入院していて、このうち6人が重症だということです。