4/14(火)
【画像】暴力団の間で出回っている刺青姿の感染者
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コロナ禍に見舞われた稲川会の名門組織について、暴力団関係者が明かす。
「この組織のトップは豊富な資金力で、稲川会の執行部入りを果たしたと言われていますが、その原動力となったのが、今回感染した本部長です。関東連合出身の半グレの纏め役で、カネ儲けが上手く、中国やベトナムなどの投資ビジネスも手掛けているとされます」
現在、この本部長と彼の運転手を含む組織の計6人が感染し、入院中だという。
「事務所は消毒され、閉鎖状態ですが、濃厚接触者がすべて検査に臨んでいるかと言えば疑わしいです。彼らは組関係の実態を把握されることをよしとしないからです。感染情報は稲川会だけでなく、住吉会にもあります。都内のドラッグストアなどに作業員風の男らが次々と並び、必死にマスクを集めているとの情報があった。調べてみると、彼らは住吉会の有力組織のフロント企業とされる解体業者の関係者だと判明した。その理由を探るうちに、住吉会の2つの組織に感染の疑いがあることが分かったのです」(前出・警察関係者)
暴力団を取り巻く環境はコロナの感染リスクとなる密閉、密集、密接の3つの「密」が重なり合う“象徴”と言っても過言ではない。
「事務所には当番制がありますし、幹部は組員の動向を把握するために事務所に顔を出すよう促すので、人間関係が密接です。逆に六代目山口組や神戸山口組は、事務所の使用制限命令で定例会もままならず、特定抗争指定暴力団に指定され、定められた区域内で組員が5人以上集まることも禁じられている。感染リスクは軽減されるものの、警察当局にとっては動向を追うのも難しい状況になっています」(同前)
六代目山口組では、3月31日に直系組長に対して、石川県在住の三次団体の組員がコロナに感染したとの通達があり、その後は大阪の二次団体や兵庫の二次団体の関係者からも感染者が出ているという。
「山口組再編のキーマン、高山清司若頭の周辺でも1人感染者が出たとの情報があり、警察当局が確認に追われましたが、現時点では高山氏には影響は及んでいないようです。高山氏の信頼が厚い野内組の野内正博組長についても所在を把握しましたが、今のところ周辺で感染情報はないようです」(同前)
暴力団の場合、融通が利き、警察に通報しない病院を掛かり付けにしているケースも多い。だが、コロナ感染の蔓延は、暴力団にとって致命傷になりかねない深刻な事情もあるという。
「暴力団関係者は刺青を入れている人も多いですが、その際に針が使い回しされるなどしてウイルス性肝炎になっている人が少なくありません。覚醒剤の廻し打ちや過度な飲酒が原因の場合もありますが、肝臓に疾患を抱えていれば、当然コロナに感染すると重症化する可能性が高まります。刺青を入れた皮膚は俗に『皮膚呼吸ができない』と言われますが、医学的には的確な表現とは言えません。ただ、新陳代謝が悪くなり、免疫力が落ちますし、色素の分解も行なう肝臓に、より負担が掛かる側面があるのです」(医療関係者)
暴力団の間で刺青姿の感染者がベッドで人工呼吸器を付け、ぐったりしている衝撃的な画像も出回っている。確実に感染の波は水面下で広がっているのだ。
「週刊文春」編集部/週刊文春 2020年4月9日号