斎藤元彦兵庫県知事、辞めない 百条委がパワハラ“認定”も…対応は「適切だった」 調査結果受け入れず
斎藤元彦兵庫県知事の疑惑告発文書問題で、県議会調査特別委員会(百条委)が5日、パワハラなどの疑惑を挙げた文書に「一定の事実が確認された」とする調査報告書を議会に提出した。
採決の結果、了承された。これに対し斎藤氏は会見で「一つの見解が示されたのは受け止める」としながらも、公益通報対応について「法律違反の可能性が高い」とされたことに「適切だった」と従来通り主張。「違法の可能性なので、逆に言うと適法の可能性もある。パワハラも公益通報も違法性は認定されていない」と開き直った。昨年11月の出直し知事選で111万票で再選されたと繰り返し「多くの県民の負託を頂いた」と辞任などの考えはないとした。 百条委報告書は、文書の疑惑7項目のうち5項目で一定の事実を認定。職員への叱責(しっせき)は「パワハラと言っても過言ではない不適切なものだった」と結論づけた。百条委の約9カ月にわたる調査結果を、斎藤氏は「一つの見解」として受け入れず、違法性や職員へのパワハラかどうかの判断は司法の場になると主張した。
文書は昨年3月、県西播磨県民局長だった男性が作り関係者に配った。男性は県の公益通報窓口にも通報したが、県は通報者への不利益な扱いを禁じる公益通報者保護法の対象外と判断、内部調査で誹謗(ひぼう)中傷と認定し停職3カ月とした。男性はその後、死亡した。
斎藤氏は会見で、男性の公用パソコンから見つかった私的文書の内容に初めて踏み込み「倫理上極めて不適切なわいせつ文書」などとした。ただ、内容を確認したのか問われると「読んでいない」と回答。死亡して否定できない男性を不確かな情報でおとしめるかのような発言に、記者から「撤回すべきだ」などの声が上がった。私的文書は違法性が疑われる方法で入手され、百条委では「内部告発とは無関係」として調査の対象外だった。県政関係者は「告発者つぶしをまだやるのか」と憤った。
過去には百条委の調査報告で首長の辞職につながったケースもある。ただ斎藤氏は、不信任決議案が可決後の知事選で再選されている。再度の不信任案提出にはハードルが高い。斎藤氏は選挙戦に関わったPR会社の女性代表とともに公選法違反(買収・被買収)の疑いで刑事告発されている。県政関係者は「捜査が動けば話は別ですが、斎藤知事が自ら身を引くとは考えにくい」との見方を示した。
≪片山元副知事「残念」≫ 斎藤氏の最側近だった片山安孝元副知事は百条委に対し「県民が提起した疑問に誠実に向き合おうとしないまま、予想通りの報告を出したことは誠に残念」とコメント。片山氏は昨年7月に告発者の男性が死亡した後、副知事を辞任。百条委の尋問に応じ、自身や斎藤氏らの疑惑について証言してきた。
一方、本会議での報告書採決前には、百条委の非公開の音声データを政治団体「NHKから国民を守る党」の立花孝志党首に漏えいした問題で兵庫維新の会から離党勧告処分を受けた増山誠県議が反対の立場で討論した。同じく立花氏に接触した白井孝明県議は維新に離党届を提出した上で反対に回り、維新から除名処分を受けた岸口実県議は採決前に退席した。
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