次期薬価制度改革、1000億円超は最大25%減
m3.com 2015年12月16日 (水) 配信 橋本佳子(m3.com編集長)
中央社会保険医療協議会の薬価専門部会(部会長:西村万里子・明治学院大学法学部教授)が12月16日開かれ、次期薬価制度改革の骨子(たたき台)について議論、年間販売額が1500億円超、かつ予想販売額の1.3倍以上の薬について、薬価を最大50%引き下げることを了承した(資料は、厚生労働省のホームページ)。次回の薬価専門部会で最終的に決定する。
年間販売額が1000億円超かつ1500億円以下で、予想販売額の1.5倍以上の薬についても、最大25%引き下げる。これらは2016年度改定で新設予定の「特例再算定」の仕組み。薬価収載時よりも大幅に売上が伸びた薬に適用される現行の「市場拡大再算定」の対象は、年間販売額150億円超、予想販売額の2倍以上だが、分子標的薬をはじめ、今後、「巨額」売上の薬の上市が想定され、その対応策になる。
次期薬価制度改革では、後発医薬品の薬価も引き下げる。新規に後発医薬品が収載される場合、先発医薬品の薬価の0.6掛けから、0.5掛けにする。製造コストがかかることなどから、注射薬と外用薬は「論点整理」(案)の段階では0.6掛けにとどめることも検討され、後発医薬品の業界団体からもそれを支持する意見が出ていた。しかし、2015年9月の薬価調査で、後発医薬品の薬価と実勢価格の乖離率を見ると、内用薬(28.3%)と外用薬(28.0%)では差がないことから、外用薬も0.5掛けにする。
次期薬価制度改革は、革新的医薬品については評価する一方、特許の切れた新薬については、後発医薬品への置き換えが着実に進むように見直す方針。12月2日に「論点整理」(案)をまとめた後、製薬団体へのヒアリングを実施していた(『後発品は0.5掛け、「年間売上1000億円超」引き下げ』、『「市場拡大再算定」拡大と消費税改定に異議』を参照)。製薬団体は、「特例再算定」には強く反対していたが、意見は受け入れられなかった。そのほかの改革案についても、後発医薬品以外は、「論点整理」(案)からの変更はない。
■「特例再算定」、国民皆保険維持に必要
16日の会議でも、製薬団体からは「特例再算定」の新設に反対する意見が出て、厚労省医政局経済課長の大西友弘氏からも慎重な検討を求める意見が出たが、支払側と診療側はともに支持。
専門委員の加茂谷佳明氏(塩野義製薬執行役員)は、「国民皆保険の維持は重要。しかし、市場規模の拡大という事実のみを持って、薬価を引き下げるのは妥当ではない。特例再算定を新設するなら、特例的な別枠のルールとしてもらいたい」と従来の反論を繰り返した。
大西課長は、長期にわたり市場で評価された結果、売上が上がる場合などもあり得るとし、「この制度が、イノベーションを阻害することになるとの懸念を聞いている。企業の経営に与える影響も大きい」と述べ、制度の導入時期、対象品目の範囲、引き下げ率などについて慎重に検討し、なるべく限定的な制度にするよう求めた。
これに対し、日本医師会副会長の中川俊男氏は、売上と利益の増加は営利企業としては評価されるべきことであると理解を示したものの、「公的な国民皆保険制度を維持するための調整弁」と形容し、「特例再算定」を支持した。
健康保険組合連合会理事の幸野庄司氏も、製薬団体の意見に一定の理解は示しつつも、中川氏と同様に、「特例再算定」を支持、「国民皆保険の維持には必要な制度。イノベーションについては新薬創出・適応外薬解消加算があり、薬価の下支えをする仕組みとして、最低薬価の保証のほか、基礎的医薬品の薬価を維持する仕組みを今回新設する。下支えをする仕組みがあるなら、上にもキャップをかけるという考え方があっていい」とコメントした。
m3.com 2015年12月16日 (水) 配信 橋本佳子(m3.com編集長)
中央社会保険医療協議会の薬価専門部会(部会長:西村万里子・明治学院大学法学部教授)が12月16日開かれ、次期薬価制度改革の骨子(たたき台)について議論、年間販売額が1500億円超、かつ予想販売額の1.3倍以上の薬について、薬価を最大50%引き下げることを了承した(資料は、厚生労働省のホームページ)。次回の薬価専門部会で最終的に決定する。
年間販売額が1000億円超かつ1500億円以下で、予想販売額の1.5倍以上の薬についても、最大25%引き下げる。これらは2016年度改定で新設予定の「特例再算定」の仕組み。薬価収載時よりも大幅に売上が伸びた薬に適用される現行の「市場拡大再算定」の対象は、年間販売額150億円超、予想販売額の2倍以上だが、分子標的薬をはじめ、今後、「巨額」売上の薬の上市が想定され、その対応策になる。
次期薬価制度改革では、後発医薬品の薬価も引き下げる。新規に後発医薬品が収載される場合、先発医薬品の薬価の0.6掛けから、0.5掛けにする。製造コストがかかることなどから、注射薬と外用薬は「論点整理」(案)の段階では0.6掛けにとどめることも検討され、後発医薬品の業界団体からもそれを支持する意見が出ていた。しかし、2015年9月の薬価調査で、後発医薬品の薬価と実勢価格の乖離率を見ると、内用薬(28.3%)と外用薬(28.0%)では差がないことから、外用薬も0.5掛けにする。
次期薬価制度改革は、革新的医薬品については評価する一方、特許の切れた新薬については、後発医薬品への置き換えが着実に進むように見直す方針。12月2日に「論点整理」(案)をまとめた後、製薬団体へのヒアリングを実施していた(『後発品は0.5掛け、「年間売上1000億円超」引き下げ』、『「市場拡大再算定」拡大と消費税改定に異議』を参照)。製薬団体は、「特例再算定」には強く反対していたが、意見は受け入れられなかった。そのほかの改革案についても、後発医薬品以外は、「論点整理」(案)からの変更はない。
■「特例再算定」、国民皆保険維持に必要
16日の会議でも、製薬団体からは「特例再算定」の新設に反対する意見が出て、厚労省医政局経済課長の大西友弘氏からも慎重な検討を求める意見が出たが、支払側と診療側はともに支持。
専門委員の加茂谷佳明氏(塩野義製薬執行役員)は、「国民皆保険の維持は重要。しかし、市場規模の拡大という事実のみを持って、薬価を引き下げるのは妥当ではない。特例再算定を新設するなら、特例的な別枠のルールとしてもらいたい」と従来の反論を繰り返した。
大西課長は、長期にわたり市場で評価された結果、売上が上がる場合などもあり得るとし、「この制度が、イノベーションを阻害することになるとの懸念を聞いている。企業の経営に与える影響も大きい」と述べ、制度の導入時期、対象品目の範囲、引き下げ率などについて慎重に検討し、なるべく限定的な制度にするよう求めた。
これに対し、日本医師会副会長の中川俊男氏は、売上と利益の増加は営利企業としては評価されるべきことであると理解を示したものの、「公的な国民皆保険制度を維持するための調整弁」と形容し、「特例再算定」を支持した。
健康保険組合連合会理事の幸野庄司氏も、製薬団体の意見に一定の理解は示しつつも、中川氏と同様に、「特例再算定」を支持、「国民皆保険の維持には必要な制度。イノベーションについては新薬創出・適応外薬解消加算があり、薬価の下支えをする仕組みとして、最低薬価の保証のほか、基礎的医薬品の薬価を維持する仕組みを今回新設する。下支えをする仕組みがあるなら、上にもキャップをかけるという考え方があっていい」とコメントした。
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