キカクブ日誌

熊本県八代市坂本町にある JR肥薩線「さかもと駅」2015年5月の写真です。

『KANO 1931海の向こうの甲子園』見てきました

2015年02月02日 | ☆エンタメ-映画


KANO日本版。
見てきました。
普段映画館で映画を見ないので知らなかったのですが、1日って映画料金安いんですね。1100円で見られてラッキーでした。3時間を超える作品なのでお得な感じがします。

見に行ったのは川崎のチネチッタ。
都内でも数館上映していたようですが、映画の日ということもあり、また先日NHKの「ニュースウォッチ9」で紹介されていたせいもあるのか、満席のところも多かったようです。

見終わってロビーにいたら江東区に住んでるCさんとばったり。
「え~なんでこの映画館に?」と聞くと、昨日の時点で都内の映画館がが軒並み満席でチケットとれなかったからとの話でした。
確かに私も前日の朝に予約したのですが、当日は「満席です」とアナウンスしてましたものね。


チネ3は138席。


日本版の日本語字幕付き。
映画自体は95%が日本語で進んでいくのであまり字幕を追う場面はなかったですが。台湾語のセリフや原住民の言葉の部分は字幕があって有難かった。
反面、慣れないたどたどしい日本語のセリフを聞き取るのが大変だったところもありました。(台湾で見た時は中国語の字幕が付いていたので少し理解の助けになった)


2回目なので、1回目とは違った発見もありました。


今回は野球のラジオ実況のアナウンサーの演技に感心しました。
台湾大会の実況は、なんと文化放送のスポーツ実況に定評のある斉藤一美アナだったのだそう。
プロだろうと思ってましたよ。

日本人の中で見たので[そこ笑うとこ?」みたいな違和感がなかったのも素直に物語に入り込めました。台湾で見た時は感動的な場面で爆笑だったり、「??」ということもあったのです。それはそれで国民性の違いを感じて面白いんですけどね。


映画化にあたって史実を少しずつ変えたところもあったようですが、1920年代終わりから1930年代初頭にかけての近代化していく台湾の姿にはやはり感動を覚えました。

最初、鬼監督がやってきたとき、嘉義の噴水は工事中でしたが、凱旋パレードの時は立派な噴水が完成していました。また1944年には噴水は壊され(金属の供出かなんかがあったのかも)水の無い池になっていました。
こういうところ丁寧に作っているなぁと感心しました。


また、1944年の嘉義駅で出征するために集まっている現地召集兵(?)の中に顔に刺青のある若い兵士が含まれていて、「高砂義勇隊」のこと思いださせました。
ちらっとワンカット出てくるだけですが、このことは台湾の人も知らないケースもあるし、日本人の多くも知らないと思います。監督たちが描きたかった「知るべき歴史」の一つかと思います。


嘉南大圳の完成もわかりやすいエピソードを通して描かれていて、素直に感動します。この時期のインフラ建設は日本でも多くのことが行われてきたでしょうけど、嘉南大圳は当時アジア随一の灌漑設備だったそうです。
八田先生は大沢たかお氏により爽やかに描かれてます。
爽やかすぎはしないかと思わなくもなかったですが、八田先生は台湾の教科書にも載ってる人物でかなりの尊敬を集めているのでこの描かれ方にも納得です。

それに対し、近藤監督は主役でもあるし、人間臭く描かれてました。永瀬正敏もいい役者になったなぁ~と思いました。




映画の大筋は前にも書いていますが「スポ根」「白球を追う高校球児モノ」です。(この時代高校ではなく中学ですけど。)

青春の情熱を100%野球にぶつける球児たちの物語、感動しないはずがありません。
しかも実話。
映画としてもストレートに作ってあります。
見終わった時の爽快感がたまりません。



映画の最後は球児たちのその後が紹介されるのですが、日本人選手がほとんど太平洋戦争で戦死しているのに対して、台湾の選手はかなり長生きしてその後も台湾の農業や野球に貢献したというのを知り、ほっとしました。

なぜかほっとしたというのが正直な気持ちです。
この辺私の台湾への複雑な思いがちょっと現れますね。


映画では紹介されませんが、フィリピンに出征する前に嘉義による設定の札商の錠者投手。史実では満州方面に出征し、シベリア抑留のまま亡くなったそうです。

KANOでは「日本人、漢人、高砂族」の民族をこえた美しいチームプレーを見ることができますが、戦争は三者の運命をそれぞれ違うものに分断していきます。


映画には呉明捷投手の実際のお子さんとお孫さんが出演されてるとか、すごい!呉明捷投手はずっと日本で暮らされたそうで、子孫は日本の方のようですね。
この辺りにも「KANO」が昔のおとぎ話でなく「歴史」なんだと、はっとさせられます。



台湾とかかわる日本人は、歴史から目をそらすことはできません。どうしたって自分が生まれる前に台湾が日本領だったことが歴然として目の前に見えてくるのです。

そしてそれは、プラスであれマイナスであれ「歴史」の事実です。

「あの時代は良かった」と、のほほんと懐かしむ姿勢ではいけないし、「植民地なんて台湾に悪いことをした」などと贖罪意識を持つばかりでも違うと思います。



私の友人の台湾人たちは学校で台湾の歴史を学ばなかった世代です。(中国大陸史を国史として教わっていたそうです。)そのため「KANO」や「セデックバレ」(霧社事件)また、少しさかのぼって「非情城市」(228事件など)で描かれた台湾の近代史は、新鮮なもので自分たちのアイデンティティにつながるものだという思いがあるのではないかと想像します。

日本人にとっても似たところがあります。
近代史を「恨みつらみ」や「美化」あるいは「贖罪意識」でなく、冷静な視線で見ることが日本人が国際社会の中で自分の立ち位置を決めることにつながると思っています。


この映画を見てそんなことを考えました。
まだまとまってないけど、とりあえずの感想文をメモしておきます。


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