火車 HELPLESS [DVD] | |
アメイジングD.C. |
年末年始にテレビでやっていたので録画してみました。
宮部みゆきのあの有名小説の映画化です。
この作品、ものすごく面白い小説なんですが、日本では映画化されていません。
テレビドラマは2回されていて、一回は見たことありました。
(あんまり印象に残っていない・・ヒロインが佐々木希だった気が…)
今回は韓国映画です。
舞台は韓国に移っています。
さあどうなりますか。
見た感想・・・
へ~ここはこう設定変えたのね。ああ、あの人物は登場しないんだ…
などと原作と比べながら見ていたのですが、ラストに近づくにつれ、どんどん面白くなりました。(ほんというと、始まり方も面白かった)で、ラストは原作にないことを作ってるのでショーゲキ的でしたが、とてもよかった。
全体にブルーがかった画面もあの作品世界に合っていた。
私が原作を読んだ時のイメージカラーとは違うのですが、すごくよかったです。
韓国映画って面白いですね。
あまり見ないのですけど。
この作品は、そんなに大作でもないし、出てくる俳優さんたちも知らない人ばかりだったし(いえ、そもそも韓国映画界をよく知りませんので、ひょっとするとすごく有名な人たちなのかも)、低予算っぽい作りなんですが、良い映画でした。
なんだろ?脚本がいいのかな?
また、見せ場が小説と映画では異なっています。小説「火車」の面白さって、やはりヒロインがラストまで出てこない、ヒロインが何も語らない(すべてヒロインを知る人物から語られるだけ)という点にあると思うのですけど、そんなことでは映画を作ることは難しいので、ヒロインは冒頭から出てきますし、映画は映画なりの見せ場を作る必要があるのですよね。そのへんに素直に挑戦した感じが好感もてました。
これに関連して、綾辻行人の「十角館の殺人」って映像化されてるのでしょうか?あれも映像化は不可能じゃないかと思っちゃう作品ですが・・・興味あります。
以下ネタバレします!
まず、ヒロインの失踪は高速道路のサービスエリアで、婚約者がコーヒーを買いに行った一瞬のすきに忽然と姿を消すというもの。
ドラマチックです。
捜索を頼まれる婚約者の親戚の刑事は、原作では怪我をして休職中ですが、こちらでは収賄にかかわって免職になって求職中。よどんだ暗い空気が漂います。
失踪するヒロインの自宅は、原作ではきれいに片づけられていたのですが、こちらはめちゃくちゃになってます。ただならない感じが増幅されます。しかも指紋が全く残っていない・・・・。それで元刑事の刑事魂に火がつく設定。面白い!
ヒロインの初婚の相手は、老舗のボンボンではなく、食堂の店主でした。
やくざはえげつなかったな~。
婚約者!これが一番原作と違うことろかな。
原作では、ダメ人間に描かれてて感情移入できない銀行員の婚約者ですが、こちらはラストまで物語を引っ張っていく「主人公」です。動物病院を開業している獣医さんです。この設定変更は何のためかはよくわかりませんが、なかなかよかったですね。
ヒロインは原作のような「男がほっておかないか弱げな美人」では全くなく、結構普通っぽいです。
私も大好きなキャラ、タモっちゃんとかタモっちゃんの奥さんは登場しません。
あそこまで出すと複雑だからかな?
通販の会社は化粧品の会社になっていました。
子どもがいた設定とかいろいろ改変はありますが、概ね原作に忠実です。
また韓国ならではなのかな?と思ったのが婚約者の親子関係、高圧的な父親ですね。
ラストはかなり変わっているのですが、これは書かないでおこう。
いくらネタバレとはいってもね。
でもあのラストもまぁあれでもいいか…切ないケド。
筋には関係ないですが、面白いと思ったのは、韓国語で覚せい剤のことを「ヒロポン」って言ってたことです。
こんなところに歴史を感じる・・・
もしかして台湾でも通用するのかも?
えぐりたくない歴史ですけど。
その他にも韓国語は聞いてると、ずいぶん日本語と同じ単語があるな~と思わされます。
「ユニフォーム」とか「アトピー」「モデルルーム」「ストーカー」・・・