スタンダップコメディというものを知ったのはいつのことだったか?
ブルース・ブラザースが好きになり、過去の映像を見るためアメリカのテレビ番組「サタデー・ナイト・ライブ」の録画を知人にダビングしてもらっていたのはもう20年近く前の話。
その番組の中で、ホスト役の俳優やコメディアンたちが一人でひとしきり時事ネタなど喋りまくるコーナーがあった。トム・ハンクスやエディー・マーフィーなんかもそれをやっていた。
あれはテレビだけど、きっと劇場なんかではもっとどぎつい話をするんだろう。アカデミー賞授賞式の司会が危ないジョークで場を凍らせるとか、日本にはない文化だ。
その日本にはなさそうなスタンダップコメディをやってる日本人がいる。
清水宏という人だ。
数年前に台湾つながりの友人が彼のライブを勧めてくれた。昔一緒に劇団をやっていたらしく、長く応援しているようだった。以来、清水宏という名前は頭の片隅にあった。
ほどなくして、あの例の中延の隣町珈琲という喫茶店で、その人が毎月ライブをやっているということを知った。
そう、釈徹宗先生の仏教入門講座、岡田憲治先生の政治学入門講座も受けに行った、平川克美さんの喫茶店だ。
なんでもやってるところだなー。
これもご縁ということか?つながるのが面白い。
仕事帰りにふらっと寄れる場所なので、その狭い喫茶店で月に一度開かれるライブに出かけて行った。
面白かった。
内容もさることながら、面白かったけれどこの清水宏という人のエネルギーに圧倒された。それになんて汗かきなんだろう!
そのあと2度ほど出かけて行ったかな。
横浜に引っ越したので隣町珈琲からは少し遠くなったが、こんどは彼の舞台が横浜で上演されると知った。家から歩ける場所だ。
これは行かねばなるまい。
それは、スタンだっぷコメディーではなく「一人芝居」だった。
「戯曲の真相」と言うかなり野心的な作品シリーズ。見たときは、能の「井筒」を題材にしたものだった。
この人は俳優としての実力をしっかりと持っているのだとわかった。
元々山の手事情社という劇団出身らしい。演技力も基礎から素晴らしくできているうえに、更に彼の社会を切り込んでいく構成の面白さ。
非常に楽しめる舞台だった。そしてすごい汗!エネルギー!
コロナになって彼の仕事は激減してしまったらしく(舞台人、ライブ中心の仕事の人はみんなそうだったよね)、そんな中でも何かを発信したいということで始めたのが、YouTube の生配信。毎日夜23時からその日その日のニュースなどを取り上げてそれについて語るという試み。
そては今も続いている。
毎日欠かさず生配信をするというのは、できるようでなかなか大変なことだと思うけど。見ているこちらは、早寝するタイプなので、アーカイブであとから見るほうが多いが。
YouTube で毎日のように見てるので、すでに同級生の活動を見てるような気分になっている。向こうは私のことを知らないだろうけれど。
その彼が「ひとり舞台フェスティバル」という企画を立ち上げた。
一人芝居、あるいはスタンダップコメディという枠にも縛られず、一人で舞台に立つ人たちを集めたフェスだ。若手の発掘という面もあって高校生とか無名の人もオーディションで参加することになったらしい。先日下北沢の本多劇場の隣にある小劇場楽園というところで3日間で5回の公演が繰り広げられた。
1公演に5人の演者が登場する。一人の持ち時間は20 分。 一人芝居をする人もいれば漫談、浪曲、落語、ダンス、パフォーマンス色々な人たちが登場するのでとても面白そうだった。現場でも見られ、ネット配信もあるというもの。
1回分は生のチケットを買って劇場へ見に行き、2回分を配信を買って家で見た。
公式Webサイト
劇場にお芝居を見に行ったのはとても久しぶり。
年に1~2回は小劇場でお芝居を見てきたけど、コロナになってぱたりと見なくなった(配信では見たものもあったけど)
やっぱり劇場はいい。
「生」の空間の持っているエネルギーのようなものは、どうしたってオンラインでは伝わらない。
5人5様の舞台を堪能した。
私の見たのは、土曜日のマチネ(昼間の回)。
池田有希子、田中達也、小林けんいち、ケッチ、清水宏というラインナップ。
池田有希子、田中達也、小林けんいち、ケッチ、清水宏というラインナップ。
もとがーまるちょばのケッチさんがパフォーマンスなの以外はみな一人芝居という回。
配信で、土曜のソワレと日曜のマチネを見た。
こちらも面白かった。
配信だとテレビで見ているような感覚で、生とは絶対違うのだろうけど、それでも伝わるものは多いし、楽しめた。
配信だとテレビで見ているような感覚で、生とは絶対違うのだろうけど、それでも伝わるものは多いし、楽しめた。
来年以降も継続していきたいと思っているらしい。
ぜひ続いてほしい。
20分で「その人ワールド」に入っいけて、それが5回、5種類も楽しめるなんて、まさに「フェス!」
コロナで演劇を始め、落語などの演芸、ライブミュージックなど打撃を受けてきた。「不要不急」なん切り捨てられていたように感じるけど、灯を消さないでくれてありがたかった。