2月15日大人教室とコラムです。
今日は4人でした。
第10回 王位リーグ入り
全日本プロトーナメントで大山康晴十五世名人に当たった三ヶ月後、王位戦予選3回戦でまた対戦となりました。
大名人と指せるのはうれしいですが、前回はあまりにも簡単に負けてしまったので今回は粘り強くがんばりたい気持ちで挑みました。
大山先生は60代でお年になっていますし、私もC級2組一期抜けの若手棋士なので、全然かなわないはずはないです。
奨励会同期の森下さんは少し前に大山先生に勝っています。
私が先手となり、大山先生の四間飛車に天守閣美濃から▲4六銀と急戦を見せましたが、結局4枚美濃の持久戦となりました。
研究は外された形ですが、まずまずの序盤でした。
しかし大山先生の戦いの駆け引きはうまく、結局苦しい中盤戦にしてしまいました。
その後もどんどん形勢は離れる一方で、王手飛車をかけさせて逃げ込む順は私も読んでいて、それで苦しい戦いが続きます。
大山先生は前回も軽く一蹴した若手なので、余裕ありでした。
わかっていながら「あ、王手飛車か」と小声でおっしゃって、余裕しゃくしゃくでした。
当時の対局は午前中など和気あいあいの雰囲気があり、大山先生の対局では周りの方との雑談は結構ありました。
ただ終盤での独り言は聞いたことがありません。
観戦記者の方が王手飛車?ということで身を乗り出され、ちょっとした茶目っ気だったと思います。
しかし私も簡単には負けられないという気持ちが強くなり、延々と粘りました。
そしてとうとう183手で逆転勝ちすることができました。
大山先生は前期王位戦では挑戦者決定リーグで活躍されていましたので、予選は気楽な対局で油断があったと思います。
将棋はちょっとした気持ちのゆるみで怖いです。
そして本局の逆転勝利が私にとって大きな運を呼ぶことになりました。
まさかで勝ってしまうと、次は王位リーグ入りの一番となりました。
相手は加藤一二三九段で、やはり大変実績のある先生です。
五段に昇段していきなり7連敗スタートの私にとって厳しい勝負ですが、大山先生に勝てたことで勢いがついたようです。
翌月、加藤先生とのリーグ入りの対局は、私が先手で相矢倉となりました。
序盤は研究していた形だったので、駒がぶつかるあたりでは微差の指しやすさがありました。
その後、優位が拡大したところで、うまい自陣角に苦慮しました。
形勢は接近したと思いますが何とかこらえ、再度優位を拡大することができました。
その後入玉模様の長い戦いでしたが、157手で勝つことができました。
うれしい王位リーグ入りで、C級2組一期抜けがフロックでないことを証明できました。
連勝連敗タイプの私はこれでさらに勢いがついて、まだまだ活躍が続きます。