参議院選挙で福島と沖縄で野党統一候補が勝利し、現職大臣が落選したことが大きくとりあげられています。
私は、現職大臣が落選した事実よりもむしろ、福島(FUKUSHIMA)と沖縄(OKINAWA)で野党統一候補が勝利した重みを感じています。
はじめに書いておきますが、私は福島と沖縄に行ったことはあるものの、その場所で生活をした経験はありません。おそらく、福島や沖縄に住んでいる方々からすれば、「よそ者」でしょう。「生活していないやつに何がわかる」と言われれば、次に言葉を発することをためらってしまうと思います。
同時に、福島と沖縄が日本の政治が直面している問題の集中地点であることは明らかです。
もっと端的に言えば、原発の福島と米軍基地の沖縄ということです。
■福島──FUKUSHIMA
福島第一原発事故は、「原子力ムラ」と呼ばれる原発利益共同体によって犠牲の集積地となってきました。
「安全神話」が振りまかれ、安全対策が不十分であったことは周知の事実です。総括原価方式という必ず儲けが上がる仕組みが構築されました。
さらに、放射能汚染をめぐり生活と生業を奪われることになりました。あの事故で原発とは何かを考えた人が多いわけですが、福島の人たちは数十年間も向き合ってきたのです。
原発事故以降、福島県内のすべての原発をなくせというのは「オール福島」の声となっています。
「FUKUSHIMA」を通じて見えてくるのは、原発というシステムによって原発利益共同体という一握りの人たちの儲けのためには犠牲は仕方がないということです。
財界・大企業優先という枠組みから発生する矛盾の最たるものが原発なのだと思います。
■沖縄──OKINAWA
沖縄には、在日米軍基地の74%が集中しています。先日も、元米海兵隊員による痛ましい事件が発生し、沖縄県議会として史上初めて在沖海兵隊の撤退を突きつけました。
県議選で、知事選で、総選挙で、そして参議院選挙で沖縄県民が「新基地建設ノー」の声を突きつけても、「日米同盟」を最優先にアメリカに言われるがままに美ら海・辺野古への基地建設を強行しようとしています。
新基地建設ノーは「オール沖縄」の声になっています。
沖縄戦では島民の3分の1以上が犠牲となり、集団自決が起こりました。
ひめゆり学徒隊を始め、私も沖縄での戦争体験については幾度となく触れてきました。そして、そのことを語り継いでいかなければならないと実感しています。
沖縄で起こっている問題の根源は、「日米同盟」を沖縄県民の主権の上に置くシステムとしていることにあると感じます。
主権者である国民の代表が国会議員であり、時の政府であるべきです。沖縄県民の意思は、わがままではありません。沖縄では子どもの貧困問題が深刻です。基地がなくても、むしろ基地をなくした方が沖縄が発展するという固い決意がそこにはあります。
それを実現するには、「日米同盟」に固執しているアメリカ言いなりというシステムを変えていく以外に道はないと思います。
■高橋哲哉氏『犠牲のシステム福島・沖縄』より
福島と沖縄というのは、以前から問題意識があったわけですが、それを決定的にしたのは高橋哲哉氏の『犠牲のシステム福島・沖縄』(集英社新書)を読んだことです。
少しだけ引用してみたいと思います。
犠牲のシステムについてあらためて確認すると、次のようなことである。
「犠牲のシステムでは、或る者(たち)の利益が、他のもの(たち)の生活(生命、健康、日常、財産、尊厳、希望等々)を犠牲にして生み出され、維持される。犠牲にする者の利益は、犠牲にされるものの犠牲なしには生み出されないし、維持されない。この犠牲は、通常、隠されているか、共同体(国家、国民、社会、企業等々)に取っても『尊い存在』として美化され、正当化されている」(『犠牲のシステム福島・沖縄』、209〜210ページ)
だれが犠牲になるのか。だれを犠牲にするのか。それを決める権利をだれがもっているのか。はたして私たちは、国家・国民共同体を維持するために、自分を犠牲になるべき一割の側に組み込んでもいいということを、国家為政者に認めたことがあるだろうか。
沖縄の米軍基地問題、そして福島をはじめとする各地の原発の問題のなかには、こうした犠牲の問題が含まれている。(前出、214ページ)
犠牲が必要だと言う人は、自らを犠牲として差し出す覚悟がどこまであるのか。それはまた、自分一人が覚悟をもったからといってすむことではない。基地をもってくる、原発をもってくるということは、多数の人々に影響が及ぶことになるのだから。(前出、215ページ)
犠牲のシステムという名で語られたこの問題で私が注目しているのは、「他のもの(たち)の生活(生命、健康、日常、財産、尊厳、希望等々)を犠牲にして生み出され、維持される」ということです。
今回の選挙では、立憲主義が重要な政策テーマとなり、なかでも憲法13条にある「個人としての尊厳」を奪う自民党憲法改正草案が重要な問題として提起されました。
福島や沖縄で起こっている現実は、まさに日本の政治の病が目に見える形で現れ、そこに生きる人たちを犠牲にしている姿を私たちに突きつけています。
しかし、そこに生きる人たちが犠牲を強いている政治に対して声をあげ、変革を求め、実際に自民党の候補者(それが現職大臣であった)を落選させたのです。
野党共闘は野合ではなく希望だ──福島と沖縄の結果はそのことを示していると私は思います。
財界・大企業とアメリカの利益のためならば、他のものを犠牲にしてもいいというシステムを変革することが必要なのです。
福島と沖縄を含めて、32選挙区中11の選挙区で野党共闘が勝利したことに自信をもって、開始されたこの歩みを一歩ずつ前に進めるために微力ながら力を尽くしていきたいと思います。
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