日本共産党都議会議員(町田市選出)池川友一「市民とつくる都政への架け橋」

日本共産党東京都議会議員の池川友一のオフィシャルブログです。地方政治の現場からいろいろと発信していきます。

隠れた広告、批判的に資料を読む──『スウェーデンの小学校社会科の教科書を読む』を読んでみた⑷

2018-04-20 | 学んだこと、政策のこと

 第2章「メディア」の続きです。

■広告について考える

 「広告」という切り口で、メディアが論じられていることも大変興味深く読みました。

なぜ、広告があるのでしょうか?

 テレビや新聞、インターネット、郵便ポスト、バス、看板など、みなさんは毎日広告に出合っています。(中略)
 いつにおいても、広告の目的は、 あなたに何かを買わせようとすることです。また、それがとてもうまくいっています。広告を通じて企業は自らの商標を知ってもらうほか、企業や商標についてよいイメージをもってもらいたいのです。

隠れた広告

 みなさんは、一般的な広告を見るとすぐに気付くでしょうが、気が付かない広告もあります。
 多くの映画やテレビの連続ドラマでは「隠れた広告」がされていますが、そのことについて考えたことがありますか? 「隠れた広告」というのは、映像のなかで使われている商品のことです。つまり、企業がお金を払って、彼らの商標を映画やテレビのの連続ドラマに映しているということです。
 映画の主人公が、ある車を運転したり、あるブランドの服を着ているのは、まったく偶然のことではありません。車や服をつくっている企業が、それらが映るようにお金を払っているのです。(44〜45ページ)

 日本では、何となく「タブー」とされていることを、真正面から問題提起をしているなと感じました。日本のマスメディアが「クロスオーナーシップ(異業種メディアの所有)」となっており、世界から見ても異常な特質だと共産党の志位委員長が『日本の巨大メディアを考える』で指摘しています。

 このような「クロスオーナーシップ」は、欧米の先進国では見られないものなのです。なぜかというと、放送メディアと新聞メディアは、互たがいにチェックしあう必要があると考えられているからです。放送メディアが暴走したら、新聞メディアがえる。新聞メディアが暴走したら、放送メディアが抑える。お互いにチェックすることが必要だと考えられています。「クロスオーナーシップ」では、そうした言論の相互監視 、相互チェック機能、言論の多様性が失われる危険がある。(パンフレット『日本の巨大メディアを考える』8ページ)

 巨大メディアと広告でいうと、大手新聞社の紙面のうちページ数の約半分が広告であると、「赤旗」記者の方が調査した報告を聞いたことがあります。

 マスメディアと企業広告(とりわけ大企業)は切っても切れない縁なのです。

■批判的に資料を読む

批判的に資料を読む──何が正しいことなのでしょうか?

 (前略)情報を集めるというのは、それほど難しいことではありません。一番大変なことは、利用可能な情報を選び出し、それを批判的に調査することです。
 何が事実で、何が価値観であるかを区別することは大切です。「事実」とは、人が知っていることです。「価値観」とは、人が思うことです。しかし、価値観と事実の違いを見るけることは、難しい場合が多いのです。

資料を批判的に見るうえでの三つのアドバイス

 その情報はどのくらい古いのか?──事実は変わることがあります。事実が本当に正しいかは、常に確認するようにしましょう。もっとも単純な方法は、二つまたはそれ以上の資料を比べて、それらの間に違いがないかを確かめることです。
 誰が情報の送り手なのか?──その情報の背後に誰がいるのかを常に調べるようにしましょう。大きな百科事典に書いてあることと、個人が書き記したものとの間には、その信頼性において違いがあります。
 その情報の目的は何か?──それは、事実を伝えようとしているものでしょうか、それともそれとも広告によって何かを売ろうとしているのでしょうか。送り手のメッセージが隠れていないかどうかを考えましょう。(46〜47ページ)

 この内容を小学生に教えているというから驚きです。しかし、与えられた情報をどう処理するのか、批判的に検証するのかということは、必ず問われることになります。それは、ことメディアに特化した話ではなく、日常生活のあらゆる場面で問われることになります。

 訳者の「総括」には、教科書の重要な点について概括したうえで、次のような一文があります。

 そもそも日本では、若者が政治活動を行うこと自体が実質的に制限されています。一九六九年に旧文部省が出した通達によって禁止されていた高校生の政治活動は、投票年齢一八歳への引き下げを機にようやく緩和されました。しかし、「教育的観点から望ましくない」ので、学校内では禁止とされています。
 私はもちろん、政治活動の名のもとに学校の授業を妨害したり、構内に立て看板を立てたりすることが許されるべきであることとは考えていません。しかし、このスウェーデンの教科書を前にすると、「政治活動は教育的観点から望ましくない」という考え方がいまだに根強く残る日本とのさを痛感せざるを得ません。(53ページ)

 高校生の政治活動の現状について、総務省と文部科学省が出したパンフレット「私たちが拓く日本の未来」に「あなたの通う高校の校則において,選挙運動又は政治活動について制限が設けられている場合もありますので,学校の教員に確認してみるとよいでしょう」

 この規定だけで、萎縮しますよね。そもそも、校則で選挙運動や政治活動を規制することで、政治とは関わらないようにというメッセージにつながっていきますし、政治とは距離をとったほうがいいという意識につながってしまいます。

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