
9月26日のしめくくり質疑で取り上げた2つ目のテーマは、「生活保護の丁寧なケースワーク業務」です。
生活保護の丁寧なケースワーク業務のために、ケースワーカー充足率100%と研修の充実を
熊本市の生活保護におけるケースワーカーの充足率は、嘱託・再任用含めて87%です。厚生労働省の考え方では、嘱託等の非正規職員は定員に含めませんので、嘱託を除くと充足率は74%となります。
政令市でも、非正規のケースワーカーをすべての市で任用している訳ではありませんので、かなり多数の非正規ケースワーカーを任用している大阪市に次ぐ充足率の低さとなると思われます。
今、生活保護の現場は、複雑な社会状況を反映し、さまざまな困難を重複して抱える世帯が増えています。困難ケースというのが多いのではないでしょうか。それだけに、一つ一つの世帯に丁寧にかかわっていくこと、経験とスキルの高さが求められると同時に、多数のケースを抱え込まないような十分なケースワーカーの配置が求められています。
正規職員で100%の充足率になるようにと、市長に求めました。
市長は、「現場の厳しさは理解している。早期に改善するよう取り組む」と答弁しました。
答弁通り、速やかに改善していただきたいと思います。
質問内容は、以下のとおりです。
【質問内容】
生活保護の丁寧なケースワーク業務についてお尋ねいたします。
私は、所属する厚生委員会で、生活保護業務が適切に行われるようにと、ケースワーカーや査察指導員の充足率100%を繰り返し求めてきました。しかしながら、本市のケースワーカー充足率は、今年4月時点で、嘱託・再任用を含めて131人、87・2%です。しかも、昨年度90・3%となっていた充足率は、今年4月に87・2%と、3ポイント落ち込んでいます。言うまでもなく、生活保護の現場は、複雑な社会状況を反映し、さまざまな困難を重複して抱える世帯が増えています。困難ケースというのが多いのではないでしょうか。それだけに、一つ一つの世帯に丁寧にかかわっていくこと、経験とスキルの高さが求められると同時に、多数のケースを抱え込まないような十分なケースワーカーの配置が求められていると思います。
そこで人事権を持っておられる市長に伺います。
第1に、ケースワーカーの充足率が100%となっていない状況をどのように認識しておられますか。
第2に、厚生労働省は嘱託ケースワーカーを基準の人員に含めていません。熊本市では、ケースワーカーに嘱託を任用していることも、充足率の低下につながっています。嘱託ケースワーカーの任用をやめて、速やかに正規職員による充足率100%を達成すべきではないでしょうか。いつを目途に、100%を達成されるのでしょうか。
合わせて健康福祉局長に伺います。
ケースワーク業務のレベル向上のために、職員の研修が大変重要です。現行の取り組み、どのような研修をどのくらいの職員が受けているのか、ご説明ください。また、今後すべてのケースワーカー・査察指導員が研修をきちんと受けていかれるように、研修内容や開催について充実する必要があると思いますが、お考えをお聞かせください。
以上3点、お尋ねいたします。
(答弁)
市長は、「嘱託および再任用職員も配置し、生活保護業務を担わせることで、制度の適正な運営確保に取り組んでいる」と言われました。しかし、先ほど質問でも言いましたように、厚生労働省の考えでは、嘱託ケースワーカーを基準人員に含めません。その点をご存知でしょうか。
市長に伺います。
(答弁)
厚生労働省の考え方に立つならば、嘱託職員を配置して適正な運営確保に取り組むというのは誤りです。配置標準数を満たすように取り組んできたと言われますが、2017年度より2018年度は減っています。充足率を政令市で比較しても、今年4月時点で、熊本市の充足率87・2%は、低い方から8番目です。しかも、厚生委員会に出された資料の131人というケースワーカー数には、嘱託ケースワーカーが20人含まれており、厚生労働省の基準で言えば74%の充足率ということになります。他の政令市でも嘱託任用はそう多くはなく、3桁のケースワーカーを非常勤職員で任用している大阪市に次いで低い充足率となるのではないかと思います。このような状況で、丁寧なケースワーク業務を求めることは難しいのではないでしょうか。
最初の答弁で、市長は、「現場の厳しい状況については理解していることから、今後可能な限り配置標準数を満たしていくよう努めていく」と言われました。必要性を認められるのであれば、それは意識的に取り組まなければ、実現することはできません。いつまでに、達成するのかという問いに、お答えがありませんでしたが、漠然と頑張るというのでなく、きちんと目標年次を定めて、100%配置に取り組むべきではないでしょうか。いつまでに標準数を満たすように取り組んでいかれるのか。明快な答弁をお願いいたします。
(答弁)
今や、生活保護の問題がテレビドラマ化されるようになりました。それだけ貧困が社会の大きな問題になっているからにほかなりません。テレビドラマでも、さまざまなケースが取り上げられていましたが、現実にはもっともっと複雑な状況に置かれている方々が多数いらっしゃると思います。その一つ一つにしっかり向き合い、支え、生きる力をはぐくんでいくためにも、正規職員によるケースワーカーの100%を直ちに実施していただくよう要望いたします。
合わせて、忙しいケースワーカーのみなさんがスキルの高い業務ができるよう、全員がきちんと研修の機会が得られるように、研修の充実もお願いしまして、質疑を終わります。