上野みえこの庭

日本共産党熊本市議の上野みえこのブログです。

市庁舎の「建替え」は、「大規模改修」より200億円も借金が多い

2022-03-11 17:30:57 | 熊本市議会
3月11日の熊本市議会・予算決算委員会総括質疑では、「市庁舎整備」と「中心市街地活性化」の2点を質問しました。
今回は、「市庁舎整備」を報告します。
大規模改修よりも200億円も借金が多くなる「建替え」
2022年度当初予算に、「本庁舎等整備の有識者会議関連経費」600万円が提案されています。
有識者会議では、庁舎整備に係る財政面での検証も行うことになっています。
庁舎を建替えた場合の総事業費は431億円、大規模改修を行う場合は223億円です。
この度公表された「財政の中期見通し」では、建替えても、大規模改修を行っても、収支は均衡して赤字にならないことになっています。違いは、建替えの場合には事業費が約2倍かかり、市債借り入れが約200億円も多くなります。
市長は、建替えの場合200億円も借金が多くなることに対し、「収支は黒字または収支均衡の見込み」と答弁しましたが、過大な投資を多額の借金で帳尻を合わせているだけです。
現在、老朽化した公共施設・インフラの長寿命化もあり、今回の財政見通しから毎年30億円投資的経費が増額されています。しかも、450億円もかかった熊本城ホール整備では216億円の市債を借り入れ、その返済が始まったばかりです。公債費や投資的経費は、過去に例を見ないくらい膨れ上がっています。これを市長は収支均衡と言って済ませていますが、そんな悠長なことを言っている場合ではありません。
過大な投資に借金を重ねることが、深刻な財政悪化・借金財政を招きます。過去100億だった財政調整基金は現在37億しかなく、積み増す予定もありません。一般の市町村より少ない財政調整基金を1億円も増やせないのに、200億円も多い借金を「収支均衡」だとのんびり構える感覚が、財政破綻を招いてしまうのです。しっかりとした、また厳しい財政の見通しを持つべきです。
 また、市庁舎整備は、「財政の中期見通し」の期間だけに止まらない。償還期間約20年の市債返還の見通しも含めて検証するには、投資的経費とその内10億円以上のものの内容・金額や公債費、歳入における市債額などを長期的に見通した資料を作成し検討材料にすることが必要。有識者会議には、長期的な財政見通しを示すべきだと質問しましたが、市長は長期の財政見通しを示すことは困難だと言いました。
このような状態で、430億円もかかるような市庁舎整備をすすめるのは、財政上も問題です。

「2度の耐震性能調査」と「疑問を呈した専門家等からの意見」、それぞれの検証の仕方が公平でない
また、有識者会議は、耐震性能について「2度の耐震性能調査」と「疑問を呈した専門家等からの意見」の両方を客観的・専門的に検証すると諮問書に記載されています。
2月の庁舎特別委員会では、新年度予算に今年度6回開かれる耐震性能分科会に安井設計・山下設計それぞれから2名参加する費用が含まれているとの説明がありました。
今回の質疑で、「2度の耐震性能評価」の検証のために2つの設計事業者が参加するための予算提案市の判断によるものであるとの答弁がありました。一方で、「疑問を呈した専門家等からの意見」の検証では、当事者の意見聴取を行うか・否かは、有識者会議・耐震性能分科会の判断に委ねるとのことです。
「2度の耐震性能調査」と「疑問を呈した専門家等からの意見」の両方を、公平に検証するというのであれば、耐震性能評価の検証と同じように、疑問を呈した専門家の意見も聴取すべきです。
2つの検証を同じように検証していくのでなく、一方は、当事者の意見聴取という手法を省略するのであれば、同じように検証したとは言えません。

公平な検証をしないことを隠すような耐震性能分科会の「非公開」
しかも、耐震性能分科会は「非公開」です。
公平な検証がなされているのか、見極めることもできません。
それとも、公平な検証となっていないことを隠すための「非公開」でしょうか。
「こんなに重要な問題の議論が、なぜ非公開なのか?」という市民の声に、全く応えない市長の姿勢は問われます。
いよいよ年度末を迎えますが、2021年度に開催した有識者会議耐震性能分科会の委員報酬は支払われますが、事業を実施した結果としての議論の内容についてはまったく報告がなく、市民には知らされません。
自治体は年度ごとに予算を組み、事業を実施します。年度末の報告は行うべきです。
また、分科会の非公開についても、市民は全く納得していません。今後は公開で開いていくよう求めました。
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