3月22日の予算決算委員会しめくくり質疑の2項目目は、「財政の中期見通し」を取り上げました。
貯金は取り崩し、災害への対応が難しい状態
熊本地震の対応では一般財源を269億円充当し、財政調整基金を53億円取り崩しています。
この実績だけでも、37億円の財政調整基金で十分に対応できないことは明らかです。新型コロナ対策への一般財源充当額は30億円、取り崩した基金は11億円でした。不測の事態に使うべき財政調整基金が大幅に減っていたために、新型コロナという未曽有の非常時に一般財源を使った独自策が充分できなかったのが現状です。
一方、市債管理基金は財政調整基金の2倍近い積立額です。もともと市債管理基金は、市債償還はもちろん、高い金利の市債借り換えを想定して積み立てていたものです。高金利の市債が減っている今、これを多額に積み立てる必要は減っています。全国の政令市を見ても、財政悪化に直面する京都市は除き、わずか37億円の財政調整基金の一方で、市債管理基金を2倍近く積み立てている政令市はありません。
基金をどのように積み立てるのか、自治体の判断です。熊本市は財政調整基金をその時々の財政状況により積み立てています。
過去には、長年100億円程度が積み立てられてきました。財務省の資料では、「多くの自治体が標準財政規模の一定割合を積立ての考え方とし、その水準は、市町村の場合5~10%が一番多い」と解説しています。
熊本市の100億円は標準財政規模の5%にあたる金額です。災害への対応は、財政長積金ばかりではありませんが、財政調整基金を100億円程度は積み立てておく必要があるのではないかと思います。
増え続ける借金・・・市債残高は3000億円を超える、「市庁舎建替え」はさらに借金財政に
市庁舎建設をすすめれば、市債残高は3000億円を超える年度が続きます。
過去の中期財政見通しを振り返ると、熊本地震発生前の中期見通しでは、2025年の時点で、投資的経費380億円、市債発行額200億円、市債残高2372億円と見通されていました。
熊本地震発生により、地震分も含めた市債残高は3000億円を超える見通しです。
今回の中期財政見通しでは、市庁舎を建替えれば、熊本地震分を除く市債残高が3000億円を超え、すでに災害時並みの借金財政になります。庁舎建設ばかりでなく、老朽化した公共施設・インフラの維持管理・改修、長寿命化のために、莫大な費用が必要となるためです。
貯金は使い果たし、借金漬けのとき、もし熊本地震クラスの大災害が発生すれば、いったいどうやって対応するのか、財政に明るい人なら誰もが心配すると思います。市長は防災のための庁舎整備と言いますが、被災した市民への復旧支援もできない借金財政では、何のための庁舎整備でしょうか。市民の理解は得られないと思います。
毎年発生する大災害、災害多発の時代を迎え、公共施設・インフラ等の老朽化対応に多額の費用が必要なとき、一番建設費がかかる、借金がかさむ市庁舎こそ、長寿命化をすすめるべきです。増える投資的経費を、借金で帳尻を合わせる安易な中期財政見通しでは、自治体の健全な運営はできません。
庁舎整備は、市民の声を充分聞いて、是非を判断すべきです。
貯金は取り崩し、災害への対応が難しい状態
熊本地震の対応では一般財源を269億円充当し、財政調整基金を53億円取り崩しています。
この実績だけでも、37億円の財政調整基金で十分に対応できないことは明らかです。新型コロナ対策への一般財源充当額は30億円、取り崩した基金は11億円でした。不測の事態に使うべき財政調整基金が大幅に減っていたために、新型コロナという未曽有の非常時に一般財源を使った独自策が充分できなかったのが現状です。
一方、市債管理基金は財政調整基金の2倍近い積立額です。もともと市債管理基金は、市債償還はもちろん、高い金利の市債借り換えを想定して積み立てていたものです。高金利の市債が減っている今、これを多額に積み立てる必要は減っています。全国の政令市を見ても、財政悪化に直面する京都市は除き、わずか37億円の財政調整基金の一方で、市債管理基金を2倍近く積み立てている政令市はありません。
基金をどのように積み立てるのか、自治体の判断です。熊本市は財政調整基金をその時々の財政状況により積み立てています。
過去には、長年100億円程度が積み立てられてきました。財務省の資料では、「多くの自治体が標準財政規模の一定割合を積立ての考え方とし、その水準は、市町村の場合5~10%が一番多い」と解説しています。
熊本市の100億円は標準財政規模の5%にあたる金額です。災害への対応は、財政長積金ばかりではありませんが、財政調整基金を100億円程度は積み立てておく必要があるのではないかと思います。
増え続ける借金・・・市債残高は3000億円を超える、「市庁舎建替え」はさらに借金財政に
市庁舎建設をすすめれば、市債残高は3000億円を超える年度が続きます。
過去の中期財政見通しを振り返ると、熊本地震発生前の中期見通しでは、2025年の時点で、投資的経費380億円、市債発行額200億円、市債残高2372億円と見通されていました。
熊本地震発生により、地震分も含めた市債残高は3000億円を超える見通しです。
今回の中期財政見通しでは、市庁舎を建替えれば、熊本地震分を除く市債残高が3000億円を超え、すでに災害時並みの借金財政になります。庁舎建設ばかりでなく、老朽化した公共施設・インフラの維持管理・改修、長寿命化のために、莫大な費用が必要となるためです。
貯金は使い果たし、借金漬けのとき、もし熊本地震クラスの大災害が発生すれば、いったいどうやって対応するのか、財政に明るい人なら誰もが心配すると思います。市長は防災のための庁舎整備と言いますが、被災した市民への復旧支援もできない借金財政では、何のための庁舎整備でしょうか。市民の理解は得られないと思います。
毎年発生する大災害、災害多発の時代を迎え、公共施設・インフラ等の老朽化対応に多額の費用が必要なとき、一番建設費がかかる、借金がかさむ市庁舎こそ、長寿命化をすすめるべきです。増える投資的経費を、借金で帳尻を合わせる安易な中期財政見通しでは、自治体の健全な運営はできません。
庁舎整備は、市民の声を充分聞いて、是非を判断すべきです。