東京多摩借地借家人組合

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借地借家法問題で定例学習会開催

2006年02月27日 | 借地借家人組合への入会と組合の活動
東京多摩借組の「第4回定例学習会」が2月25日午後2時から組合事務所において9名の参加で開催された。 今回の学習会のテーマは、「借地借家法のパートⅡ」で細谷事務局長より、①借地借家に関する法律の沿革②借地借家法の主要な改正点③新借地借家法と既存の借地借家契約との関係④既存の借地借家関係にも適用されない新法の規定等について報告された。平成3年の借地借家法改正の重要な特徴として、既存の借地借家関係との関係では、「附則に特別な定めのある場合」と「廃止前の建物保護に関する法律、借地法及び借家法の規定により生じた効力を妨げない」と2点にわたり実質旧法が適用される仕組みになっていることが明らかにされた。

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通常損耗は貸主が負担とした最高裁判決の意義

2006年02月27日 | 最高裁と判例集
建物賃貸借で普通に暮らしていて生じた床や壁の汚れ、傷等の所謂「通常損耗」を賃借人の費用負担で行なう「原状回復特約」が有効かどうかで争われた敷金返還請求訴訟で最高裁は、通常損耗の修繕費用を賃借人に負担させる特約は原則として許されないという画期的な判断を示した。
 最高裁の判決は、通常損耗に関して「建物の賃貸借においては賃借人が社会通念上通常の使用をした場合に生ずる賃借物件の劣化又は価値の減少を意味する通常損耗に係る投下資本の減価の回収は、通常、減価償却や修繕費等の必要経費分を賃料の中に含ませてその支払を受けることにより行なわれている」と指摘し、通常損耗の修繕費用は家賃に含まれるという原則が確認された。
 この原則に反して、これらの修繕費用を賃借人に負担させる特約を「原状回復特約」という。賃借人にとっては、この特約は家賃の二重払いを強いるものであり、賃借人には不利益な特約と言える。
 最高裁は、この「原状回復特約」が認められる条件として「賃借人が補修費用を負担することになる通常損耗の範囲が賃貸契約書の条項自体に具体的に明記されているか、仮に賃貸契約書では明らかではない場合には、賃貸人が口頭により説明し、賃借人がその旨を明確に認識し、それを合意の内容としたものと認められるなど、その旨の特約が明確に合意されていることが必要である」とされた。最高裁は、それらの条件が認められない場合は通常損耗を含む原状回復義務を賃借人に負担させることが出来ないという初判断を示した。
 これらに関しては従来からか下級審で通常損耗を含む明文化された「原状回復特約」が成立するためには、(1)客観的理由の存在が必要(2)特約による修繕義務を負うことを認識していること(3)義務負担の意思表示をしていること、以上の要件を具備し、自由意思に基づき契約をしたことが必要であるとしていた。このような意思表示論によって「特約」の成立に制約を設け、これらの要件を充たしていない場合は「特約」の有効性を否定し、その特約を無効とした。
 今回の最高裁の判決は、これら下級審の判例理論を追認したものであるが、更に特約の成立に厳しい制限を加えた例外的な基準を設け、不当な「原状回復特約」による費用負担から賃借人を幅広く救済する効果が期待される。
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