(問)借地上の建物を賃借していたが、突然地主から借地人(家主)との借地契約の終了を理由に家屋の明渡しを求められた。地主の要求に応じなければならないのか。(江東区 自営業)
(答)借地人が借地上の建物を第三者に賃貸して、借地を使用させても借地自体を「転貸」したことにはならないので、「無断転貸」の問題は惹起しない。建物は借地人の所有物であるから地主の承諾を得る必要はなく、自由に賃貸することができる。しかし、建物賃貸借は土地賃貸借の基礎の上にあるので借地権が消滅した場合には、借地人は建物を収去して土地を明渡さなければならないので、建物賃貸借関係の存続が問題になる。
(1)借地契約が地主と借地人との合意によって解約された場合には、その解約をもって借地上の建物の借家人に対抗出来ない(最判㍼38・2・21)。即ち、地主は借家人に対して建物明渡請求をすることが出来ない。
(2)借地人の一方的意思による借地権放棄の場合も、(1)と同様に地主は借家人に対抗出来ない。
(3)借地契約が正当事由により終了した場合、通常は借地人が建物買取請求権(旧借地法4条2項、借地借家法13条1項)を行使することによって借家人の地位が地主に承継されるので借家人は地主(新家主)に対抗出来る(最判昭和43・10・29)。従って借家人は従前通り建物の使用収益を継続することが出来る。
(4)しかし、借地人が建物買取請求権を行使しなかった場合、判例では、「借家人は建物買取請求を代位行使することができない」(最判㍼55・10・28)とされているので、その場合は、借家人は退去請求に応じざるを得ない。従来は買取請求権が行使されなかった場合の借家人保護の規定はなかった。だが、借地借家法35条で借家人保護の規定が新設された。即ち、裁判所は借家人の請求を受け、借家人の事情などを考慮して1年を越えない範囲の猶予期間を与えることが出来る。この場合、借家契約は猶予期間の終了をもって終る。この規定は、平成4年8月1日以前の借家契約にも適用される。
結論、相談者の場合(1)(2)(3)であれば地主の要求に随わなくてもいい。(4)の場合は、1年以内の猶予期間で退去しなければならない。
(答)借地人が借地上の建物を第三者に賃貸して、借地を使用させても借地自体を「転貸」したことにはならないので、「無断転貸」の問題は惹起しない。建物は借地人の所有物であるから地主の承諾を得る必要はなく、自由に賃貸することができる。しかし、建物賃貸借は土地賃貸借の基礎の上にあるので借地権が消滅した場合には、借地人は建物を収去して土地を明渡さなければならないので、建物賃貸借関係の存続が問題になる。
(1)借地契約が地主と借地人との合意によって解約された場合には、その解約をもって借地上の建物の借家人に対抗出来ない(最判㍼38・2・21)。即ち、地主は借家人に対して建物明渡請求をすることが出来ない。
(2)借地人の一方的意思による借地権放棄の場合も、(1)と同様に地主は借家人に対抗出来ない。
(3)借地契約が正当事由により終了した場合、通常は借地人が建物買取請求権(旧借地法4条2項、借地借家法13条1項)を行使することによって借家人の地位が地主に承継されるので借家人は地主(新家主)に対抗出来る(最判昭和43・10・29)。従って借家人は従前通り建物の使用収益を継続することが出来る。
(4)しかし、借地人が建物買取請求権を行使しなかった場合、判例では、「借家人は建物買取請求を代位行使することができない」(最判㍼55・10・28)とされているので、その場合は、借家人は退去請求に応じざるを得ない。従来は買取請求権が行使されなかった場合の借家人保護の規定はなかった。だが、借地借家法35条で借家人保護の規定が新設された。即ち、裁判所は借家人の請求を受け、借家人の事情などを考慮して1年を越えない範囲の猶予期間を与えることが出来る。この場合、借家契約は猶予期間の終了をもって終る。この規定は、平成4年8月1日以前の借家契約にも適用される。
結論、相談者の場合(1)(2)(3)であれば地主の要求に随わなくてもいい。(4)の場合は、1年以内の猶予期間で退去しなければならない。