A ◎いろいろなケースがある。
有効なものと無効なものの2種類があります。消費者契約法8条は、事業者の損害賠償の責任を免除する条項のうち、次に掲げるものについてだけ、無効と定めています。このことから、次に掲げるものの以外のものであれば、事業者の損害賠償の責任を免除した規定も有効ということになります。
①事業者の債務不履行により消費者に生じた損害を賠償する責任の全部を免除する条項
これは、たとえば、売買のとき商品に不具合があって、すぐには使えず、消費者がそのためにかわりのものを用意して費用がかかったというような場合です。この商品が不具合であったことについて、売主に過失がないときも、損害賠償責任を全部免除する条項をつくっても効力は認められない、という意味です。
なお、このようなときに、損害の一部だけを免除する条項は有効ということになります。
②事業者の代表者またはその使用する者の故意、重大な過失によって事業者の債務不履行があった場合、これにより生じた消費者の損害を賠償する責任の一部を免除する条項
この場合は、一部免除の条項も、もちろん全部免除の条項も無効です。故意または故意と同視できるような行為で相手に損害を与えておいて、それを免除する条項を置くのは許されない、という考えによるものです。
③消費者契約の履行に際してされた事業者の不法行為により消費者に生じた損害を全部免除する条項
たとえば、売買契約に基づき、商品を運び込んだ際、配達した売主の不注意で、商品の運び込み方法が悪かったため、消費者宅の玄関に飾ってあった花瓶を壊したような場合です。
この場合は、たとえば壊した花瓶の代金の半分だけ支払えば残りを免除するというような、一部免除の条項であれば有効ですが、全部免除するという条項は無効です。
④消費者契約の履行に際して事業者の代表者または使用する者が故意または重大な過失で行った事業者の不法行為により消費者に生じた損害を賠償する責任の一部を免除する条項
これは、③のような事例で、運び込んだ売主がわざと花瓶を割ったような事例では、全部はもちろん、一部でも免除の条項をつくっても効力を認められない、ということです。それは②と同じ趣旨です。
⑤有償の消費者契約の場合、その契約の目的物に隠れた暇庇があるときは、その暇庇により消費者に生じた損害を賠償する責任を全部免除する条項
通常、売買代金は、その目的物の価値に見合う額が設定されているはずですから、買った物に、外側から見ただけでは普通気がつかないような欠陥があったときは、品物の真の価値より高過ぎる代金を支払ってしまったことになります。これでは不公平になりますので、民法では、損害賠償など担保責任を売主に課して、公平を図っています(民法570条・566条)。この損害賠償義務を全部免除するのは、あまりにも売主である事業者に一方的に有利な条項ですので、その効力を否定したものです。
同様な場合でも、損害賠償を一部免除は許されることになります。また、売主あるいは売主に代わる事業者が、欠陥商品を欠陥のない新しい別の商品と取り替える約束になっている場合や、欠陥の修理をする責任を負うことになっているときは、欠陥により発生した損害の賠償責任を全部免除することも有効とされています。
なお、免責条項の決め方によっては、消費者契約法8条・9条では無効とならなくても同法10条によって無効とされる場合もあるでしょう。
いずれにしても、事業者は消費者に不利益を与えるような契約条項を採用するのは慎むべきでしょう。
借地借家の賃貸トラブルのご相談は
東京多摩借地借家人組合
一人で悩まず
042(526)1094 
有効なものと無効なものの2種類があります。消費者契約法8条は、事業者の損害賠償の責任を免除する条項のうち、次に掲げるものについてだけ、無効と定めています。このことから、次に掲げるものの以外のものであれば、事業者の損害賠償の責任を免除した規定も有効ということになります。
①事業者の債務不履行により消費者に生じた損害を賠償する責任の全部を免除する条項
これは、たとえば、売買のとき商品に不具合があって、すぐには使えず、消費者がそのためにかわりのものを用意して費用がかかったというような場合です。この商品が不具合であったことについて、売主に過失がないときも、損害賠償責任を全部免除する条項をつくっても効力は認められない、という意味です。
なお、このようなときに、損害の一部だけを免除する条項は有効ということになります。
②事業者の代表者またはその使用する者の故意、重大な過失によって事業者の債務不履行があった場合、これにより生じた消費者の損害を賠償する責任の一部を免除する条項
この場合は、一部免除の条項も、もちろん全部免除の条項も無効です。故意または故意と同視できるような行為で相手に損害を与えておいて、それを免除する条項を置くのは許されない、という考えによるものです。
③消費者契約の履行に際してされた事業者の不法行為により消費者に生じた損害を全部免除する条項
たとえば、売買契約に基づき、商品を運び込んだ際、配達した売主の不注意で、商品の運び込み方法が悪かったため、消費者宅の玄関に飾ってあった花瓶を壊したような場合です。
この場合は、たとえば壊した花瓶の代金の半分だけ支払えば残りを免除するというような、一部免除の条項であれば有効ですが、全部免除するという条項は無効です。
④消費者契約の履行に際して事業者の代表者または使用する者が故意または重大な過失で行った事業者の不法行為により消費者に生じた損害を賠償する責任の一部を免除する条項
これは、③のような事例で、運び込んだ売主がわざと花瓶を割ったような事例では、全部はもちろん、一部でも免除の条項をつくっても効力を認められない、ということです。それは②と同じ趣旨です。
⑤有償の消費者契約の場合、その契約の目的物に隠れた暇庇があるときは、その暇庇により消費者に生じた損害を賠償する責任を全部免除する条項
通常、売買代金は、その目的物の価値に見合う額が設定されているはずですから、買った物に、外側から見ただけでは普通気がつかないような欠陥があったときは、品物の真の価値より高過ぎる代金を支払ってしまったことになります。これでは不公平になりますので、民法では、損害賠償など担保責任を売主に課して、公平を図っています(民法570条・566条)。この損害賠償義務を全部免除するのは、あまりにも売主である事業者に一方的に有利な条項ですので、その効力を否定したものです。
同様な場合でも、損害賠償を一部免除は許されることになります。また、売主あるいは売主に代わる事業者が、欠陥商品を欠陥のない新しい別の商品と取り替える約束になっている場合や、欠陥の修理をする責任を負うことになっているときは、欠陥により発生した損害の賠償責任を全部免除することも有効とされています。
なお、免責条項の決め方によっては、消費者契約法8条・9条では無効とならなくても同法10条によって無効とされる場合もあるでしょう。
いずれにしても、事業者は消費者に不利益を与えるような契約条項を採用するのは慎むべきでしょう。
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