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平成21年の地価公示を発表。全国的な地価下落が鮮明に/国交省

2009年03月25日 | 最新情報
 国土交通省は23日、平成21年1月1日時点の地価公示を発表した。

 平成20年1月以降の1年間の地価変動率は、全国平均で見ると、住宅地▲3.2%、商業地▲4.7%と、ともに平成18年以来3年ぶりに上昇から下落に転じ、すべての用途で下落した。

 三大都市圏においては、平均で見ると、住宅地は▲3.5%と平成18年以来3年ぶりの下落、商業地は▲5.4%と平成17年以来4年ぶりの下落となった。前回は一部のブランド力の高い地域や高級住宅地、高度に商業機能が集積した地区において高い上昇がみられ、これらに押上げられて平均が上昇したが、今回は、顕著な下落となった。なお、ほぼすべての地点において上昇から下落、もしくは下落幅が拡大したのは08年の後半。
 住宅地では2年連続、商業地では3年連続で平均で上昇を示していたが、今回は住宅地・商業地とも地方圏を上回る下落を示した。

 また、地方圏においても、住宅地・商業地ともに前回まで4年連続で平均で下落幅が縮小していたが、今回下落幅が拡大するなど、全国的に地価の下落傾向を顕著に表す結果となった。

 なお、住宅地で最も価格が上昇したのは、姫路市勝原区熊見字箱山の4.6%。第2位は北海道伊達市末永町(3.9%)、第3位は北海道伊達市竹原町(3.4%)など、北海道伊達市が上位10位中、4つを占めた。伊達市の地価上昇は4年連続。また、第5位の新潟市中央区水道町(2.1%)、第7位の新潟市中央区関屋昭和町(1.5%)など、新潟市中央区が10位中3つを占めた。

 商業地で最も価格が上昇したのは、静岡市葵区長沼字太郎丸坪の6.3%。以下、愛媛県松山市大街道、鹿児島県鹿児島市西田の2.8%、以下、三重県 津市上浜町1.1%。

 三大都市圏および地方圏の概要は以下のとおり。

■東京圏
○住宅地

 東京圏では、住宅地が平均で▲4.4%と前回5.5%の上昇から下落に転じ、ほぼすべての地点で下落となった。

 東京都が下落となるのは、平成17年以来4年ぶり。埼玉県、千葉県、神奈川県も平成18年以来3年ぶりの下落となった。
 特に、東京都区部では、平均で▲8.3%と前回10.4%の上昇から下落となり、なかでも区部南西部では、平均で▲10.1%と前回10.6%の上昇から一転して二桁の下落となった。
 優良住宅地としてマンション需要、収益性期待の不動産投資等を背景にこれまで高い上昇を示した地点が多かった港区、渋谷区においても、景気の悪化、マンション販売の不振、投資・融資等の資金調達環境の悪化等により需要が減退したことによりすべての地点で下落。港区では、平成12年以来9年ぶり、渋谷区では、平成13年以来8年ぶりに平均で下落となった。
 また、都下郊外部でも、駅周辺地域を中心に、武蔵野市および三鷹市で比較的大きな下落となった。
 千葉県浦安市および川崎市中原区では、周辺市区と比較して大きな下落となったが、いずれも前回、前々回と旺盛なマンション需要や住宅開発需要等を背景に高い上昇を示した地域であった。
 圏域縁辺部では、交通利便性の劣る地域や相対的に宅地需要が低迷している地域で下落幅が拡大した。

○商業地

 前回12.2%と高い上昇から、平均で▲6.1%とほぼすべての地点において下落となった。

 東京都は平成17年以来4年ぶり、埼玉県、千葉県、神奈川県は、平成18年以来3年ぶりの下落。
 東京都区部は、前回は収益性期待の不動産投資、オフィス・店舗併用マンションの需要等に支えられ、20%超の高い上昇を示した地点が多かったが、今回は景気の悪化、投資・融資等の資金調達環境の悪化、オフィス需要の減退等により、ほぼすべての地点で二桁の下落を示したが、都心部の地価水準の高い高度商業地は、比較的下落幅が小さく堅調さを示し、平均で▲8.1%となった。
 また、都下の郊外部では、三鷹市、武蔵野市等で駅周辺地域を中心に、比較的大きな下落となった。
 さいたま市大宮区、千葉県市川市、浦安市、横浜市青葉区、川崎市川崎区、幸区、中原区、高津区等では、駅周辺の再開発事業済地域周辺等繁華性、収益性が高まった地域や、沿線駅の背後人口の比較的多い地域でも景気の悪化等から下落に転じた。
 圏域縁辺部では、交通利便性の劣る地域や既存商業地の集客力の相対的減退等が進んでいる地域で下落幅が拡大した。

■大阪圏
○住宅地

 平均で▲2.0%と前回2.7%の上昇から下落に転じ、ほぼすべての地点で下落。

 大阪府、兵庫県、京都府が平均で下落となるのは、平成18年以来3年ぶり。
 景気の悪化、投資・融資等の資金調達環境の悪化等による需要の減退、不動産市場の停滞感等を背景に、大阪市中心6区では▲3.0%と下落に転じた。大阪府内でも利便性に劣る地域では下落傾向が強く、北部の豊能地域で大きな下落を示した。一方、南部の泉南地域は比較的小さな下落となった。
 兵庫県では、神戸市で平均で下落に転じ、東灘区で▲3.1%と下落が最も大きくなった一方、阪神地域では住環境に優れた芦屋市および西宮市では比較的小さな下落に留まった。
 京都府では、京都市中心5区で▲3.2%。郊外の利便性の劣る住宅地は大きな下落となる傾向にあり、特に南丹市では平均で下落幅が拡大した。
 奈良県では、平成19年以来2年ぶりに平均で下落。
 圏域縁辺部では、交通利便性の劣る地域や相対的に宅地需要が低迷している地域で下落幅が拡大した。

○商業地

 大阪圏では、平均で▲3.3%と前回7.2%の上昇から下落に転じ、ほぼ全ての地点において下落となった。

 平均で下落となるのは、大阪府および京都府は平成17年以来4年ぶり、兵庫県は平成18年以来3年ぶり。
 大阪市中心6区では、平均で▲6.3%。前回は駅周辺再開発の進展等による繁華性・収益性の向上により高い上昇を示した地点が一部に見られたが、不動産ファンド等による投資等の減少や、オフィス賃料の下落、空室率の上昇等の不動産市況の先行きに対しての不安から、平均で周辺区と比較して大きな下落となった。
 兵庫県では、神戸市で平均で下落に転じた。特に、中央区では前回二桁の上昇となった商業地を中心に消費低迷等を背景に下落に転じた。また垂水区、西区では下落幅が拡大。
 京都市では、景気の悪化、これまでの地価上昇に伴う取引の減少等から不動産市場が停滞し、平均で下落に転じ、特に京都中心5区においては▲4.4%の下落となった。 
 奈良県では、平成19年以来2年ぶりに下落。
 圏域縁辺部では、交通利便性の劣る地域や既存商業地の集客力の相対的減退等が進んでいる地域で下落幅が拡大した。

■名古屋圏
○住宅地

 名古屋圏では、平均で▲2.8%と、ほぼすべての地点で下落した。

 愛知県では、平成18年以来3年ぶりに平均で下落。
 また、名古屋市も平成17年以来4年ぶりの下落となった。
 そのほか、西三河地区の豊田市、刈谷市等も下落に転じ、尾張地域の一宮市、瀬戸市等では下落幅が拡大。
 三重県でも、四日市市、桑名市等で下落幅が拡大。
 圏域縁辺部では、交通利便性の劣る地域や相対的に宅地需要が低迷している地域では下落幅が拡大した。

○商業地

 名古屋圏では、平均で▲5.9%と前回8.4%の上昇から下落に転じ、ほぼすべての地点が下落となった。

 愛知県が平均で下落するのは平成17年以来4年ぶり。
 名古屋市では、前回名古屋駅周辺や繁華性、収益性等が高まっている地区等市内中心部の一部の地点で高い上昇を示していたが、不動産ファンド等による投資案件の減少や地域経済の急速な悪化等を背景とする需要の減退、オフィス賃料の下落、空室率の上昇等により不動産市況が悪化したことから、今回平均で下落に転じ、また大きな下落を示した地点が多く見られた。
 また住宅地と同様、西三河地域の豊田市、刈谷市等では下落に転じ、尾張地域の一宮市、瀬戸市等では下落幅が拡大。
 三重県では、四日市市及び桑名市で平均で下落に転じた。
 圏域縁辺部では、交通利便性の劣る地域や既存商業地の集客力の相対的減退等が進んでいる地域で下落幅が拡大した。

■地方圏
○ 住宅地

 平均で▲2.8%と前回▲1.8%に引き続き下落。前回まで4年連続して下落幅が縮小していたが、今回下落幅が拡大した。

 札幌市では平成17年以来4年ぶり、仙台市では平成19年以来2年ぶり、福岡市では平成18年以来3年ぶりに平均で下落。また、広島市では平成4年から連続しての下落となった。
 その他の地方中心都市では、新潟市中央区で堅調なマンション、戸建て需要を背景に上昇地点が見られた。
 その他の地方都市では、まちづくりの取り組み、観光需要が引き続き見られたことを背景として北海道伊達市で4年連続、倶知安町で2年連続して平均で上昇。
 兵庫県姫路市では新駅開業、広島市安芸区では駅周辺整備による利便性の向上により、それぞれ上昇地点が見られたが、これらの都市以外では、景気の悪化に加え、地域経済の低迷や人口減少の影響等により、依然として下落が継続している。

○商業地

 地方圏全体では、平均で▲4.2%。前回まで4年連続で下落幅は縮小していたものの、今回、拡大した。

 地方ブロック中心都市では、札幌市で平成17年以来4年ぶりに、仙台市、広島市、福岡市で平成18年以来3年ぶりに平均で下落。
 その他の地方中心都市では、静岡市葵区、津市、松山市および鹿児島市で、土地区画整理事業、中心市街地活性化、交通基盤整備等を背景に上昇地点が見られた。
 その他の地方都市では、鳥取県境港市等で横ばい地点が見られたが、これらの都市以外では、依然として下落が継続している。

なお、地価公示の詳細は同省ホームページを参照のこと。

(不動産ニュース 3月24日)



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