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法定更新しても貸主からの家賃1カ月分の更新料請求が認められた事例

2009年05月01日 | 契約更新と更新料
東京簡裁判決 平成17年3月11日
(ホームページ下級裁主要判決情報)

《要旨》
 建物賃貸借契約の法定更新に際し、貸主からの更新料の請求が認められた事例


(1) 事案の概要
 賃貸人Xと賃借人Yは、平成14年7月、賃料:9万2千円、共益費:5千円、敷金:18万4千円、賃貸期間:2年間、更新料:新賃料の1か月分等の内容の建物賃貸借契約を締結した。
 2年後、Yが更新を希望したので、Xは、関係書類を送付して更新契約書の作成を求めたが、Yは法定更新を理由に協力しようとしなかった。
 そこで、XはYに対し、本件賃貸借契約に基づく更新料として、賃料の1か月分である9万2千円の支払等を求めて提訴した。
 これに対してYは、本件賃貸借契約中の更新料支払の条項は、賃借人にとって不利な特約であるから借地借家法30条により無効であること、本件賃貸借契約は合意更新ではなく、法定更新されているので、法定更新の場合には、更新料の支払義務は否定されるべきであると主張した。

(2) 判決の要旨
 ①更新料支払義務の規定は、Yにとって不利な特約ではあるが、賃料の1か月分を更新料とする本件の場合には、借地借家法30条によって無効とするほど不利な特約とは認められない。 
 ②Yは、本件賃貸借契約は法定更新されている旨主張し、Xは、Yが本契約を更新するため印鑑登録証明書をXに送付したとして合意更新された旨主張する。そこで判断するに、YはXに対し本件は当然更新される旨の書面を送付している事実に照らせば本件賃貸借契約は、結局、法定更新されたものと認めるべきである。
 ③ところで、更新料の特約が法定更新の場合には適用されないというのがYの主張であるが、当裁判所は、更新料の支払義務を特約により合意した当事者の意思は重視すべきであり、また更新料の額は家賃の1カ月分相当であり、高額なものでないと認められること、さらに、Yは、Xからの更新申出に対し本契約を更新するため印鑑登録証明書をXに送付しているなど、一時は、合意更新の意思を表明していたことを考え併せると、本件がたとえ法定更新であったとしても、本件特約は有効とすべきであると考える。


(3) まとめ
 更新料の合意が、法定更新に適用されるか否かについては、判例も分かれている。更新料の合意は、法定更新に適用されないと判示したもの(京都地裁、平成16年5月18日 別掲)もある。(不動産適正取引推進機構 賃貸トラブルデーターベースより)



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