東京多摩借地借家人組合

アパート・賃貸マンション、店舗、事務所等の賃貸のトラブルのご相談を受付けます。

「追い出し屋のカギ交換は違法」 大阪簡裁が初判断

2009年05月22日 | 追い出し屋被害 家賃保証会社
 家賃を滞納した借り主が強引に退去を迫られる「追い出し屋」被害で、大阪市城東区の男性が玄関ドアの鍵を2回交換され、居住権を侵害されたとして、貸主側に慰謝料など140万円の損害賠償を求めた訴訟の判決が22日、大阪簡裁であった。篠田隆夫裁判官は鍵交換を不法行為と認定し、貸主側に約65万円の支払いを命じた。

 支援団体「全国追い出し屋対策会議」(代表幹事・増田尚弁護士)によると、追い出し行為の代表例とされる鍵交換について賠償責任を認めた司法判断は初めて。

 判決は「法律無視の鍵交換は国民の住居の平穏や居住権を侵害する違法な行為として厳しく非難すべきだ」と批判。「債務不履行(家賃滞納)を無視してまで居住権を認められない」とした貸主側の主張を退けた。

 原告は派遣社員の男性(37)。被告は不動産賃貸会社「木村産業」(大阪市北区)。

 判決によると、男性は昨年2月、賃料約4万3千円の賃貸住宅に入居。まもなく収入が減り、滞納した。同8月と10月に鍵を取り換えられ、計1カ月以上閉め出された。その間、同市西成区内の簡易宿所などを転々とした。判決は、貸主側について「業務の一環として日常的に不法行為を繰り返していた」と認定。「男性は不自由な生活を余儀なくされ、多大な精神的苦痛を受けた」と述べた。

 木村産業は「この件に関しては答えられない」としている。 (朝日 5月22日)
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

マンション賃借人の隣室等への迷惑行為で契約解除が認められた事例

2009年05月22日 | 最高裁と判例集
東京地裁判決 平成10年5月12日
(判例時報 1664号 75頁)

《要旨》
 マンションの賃借人が嫌がらせ行為を続け、隣室の住人に立退きを余儀なくさせ、賃貸人に損害を与えた場合、賃貸人は契約解除、建物明渡し請求ができるとされた事例



(1) 事案の概要
 貸主Xは、平成7年7月、媒介業者Aの媒介で、X所有のマンション506号室を借主Y1に賃貸した。Y1は、同居人Y2と一緒に入居したが、入居直後から、両隣りの住民等に対し、騒音がうるさいと執拗に抗議を重ねた。505号室の住民Bは、夜中に騒音を発したことは全くなかったが、Yら(Y1及びY2)から、再三にわたり執拗に抗議をを受け、また、壁を叩く等の嫌がらせを受けたため、平成8年5月、退去した。507号室の住民Cは、異常な騒音を発生させたことはなかったが、Yらから、何回も怒鳴られ、夜中に壁を叩かれたりしたため、平成7年11月、退去した。平成8年1月に507号室に入居したDも、Yらから大声で怒鳴られ、嫌がらせをされたため、同年10月402号室に移転した。
 Yらは、本件マンションに入居するまで、Eのコーポを賃借していたが、ここでも隣室の住民に対し迷惑行為を繰返し行ったので、Eから明渡請求訴訟を提起され、賃借していた部屋を明け渡す旨の裁判上の和解をして、本件マンションに転居したものであった。Yらの両隣り505号室と507号室は、Yらの嫌がらせにより空室となったが、二度の訴訟とYらの言動が知れ渡り、入居者はなかった。
 本件契約には、賃借人は近隣の迷惑となる一切の行為をしてはならず、これに反したとき、または共同生活の秩序を乱したときは、無催告で解約できるとの特約があった。
 Xは、Yらに対して、共同生活の秩序を乱し、近隣の迷惑となる行為をしたとして、契約を解除し、建物の明渡しを求めた。

(2) 判決の要旨
 ①Yらは、隣室から発生する騒音は受忍限度を超える程度のものではなく、これを受容すべきであったにもかかわらず、何回も執拗に音がうるさいなどと文句を言い、壁を叩いたり、大声で怒鳴ったりするなどの嫌がらせ行為を続け、隣室からの退去を余儀なくさせるに至ったものであり、Yらの各行為は、特約に定める近隣の迷惑となる行為に該当し、また、共同生活上の秩序を乱す行為に該当する。さらに、Yらの行為によって、両隣りの部屋が長期間にわたって空室となり、Xが多額の損害を被っている。
 ②以上のようなYらの行為は、本件賃貸借における信頼関係を破壊する行為に当たる。
 ③よって、Xの請求は理由があり、Yらは建物を明け渡せ。


(3) まとめ
 マンション、アパートの賃貸借に当たり、騒音をめぐって紛争になることは多いが、本件は、騒音が発生していないのに発生したといって、近隣への迷惑行為を行い、隣室居住者を退去させた賃借人の行為が、特約に違反し、信頼関係を破壊する行為に当たるとして、無催告解除を認めた事例である。



借地借家の賃貸トラブルのご相談は

東京多摩借地借家人組合

一人で悩まず  042(526)1094 
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする