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NPO、ホームレスらを親族業者に紹介 保護費8割天引き 

2010年02月04日 | サポーター会員制度
 ホームレスをアパートに分散居住させ、生活保護費をピンハネする〈貧困ビジネス〉が横行している問題で、大阪市生野区の特定非営利活動(NPO)法人が、「生活保護がもらえ、食事付きの部屋に住める」とホームレスらを勧誘し、代表者の親族が経営する不動産会社にあっせんしていることがわかった。不動産会社は借り上げたアパートに住まわせて保護費の8割を天引きしており、入居者側の弁護士は「NPOの公的イメージを利用し、生活保護受給者を食い物にする『囲い屋』と結託した悪質な手口」と指摘している。



NPO法人の勧誘で入居した部屋で、配達された弁当を広げる男性。「何を食べるかぐらい、たまには自分で決めたい」(大阪府東大阪市で) 勧誘された50歳代の男性は2年前、大阪・西成のあいりん地区で、NPOの男性から声を掛けられた。「NPOなら助けてくれるのだろう」と頼ることにし、言われるままに不動産会社と契約、大阪府東大阪市の6畳一間のアパートで生活を始めた。

 しかし、月約12万円の保護費が振り込まれる口座からは、約9万5000円ずつが自動引き落としされた。不動産会社側は「家賃と1日2回の弁当代」と説明したが、明細も請求書も示されないまま。「弁当をやめても食事代は取る」と言われ、従ってきたという。

 NPO関係者らによると、不動産会社は11年前に設立され、NPO代表者の弟が社長を務めていたが、昨年3月末に清算。入居者らの契約は、直後に代表者の息子を社長として設立された別の不動産会社に引き継がれている。

 NPO代表者は読売新聞の取材に、「生活困窮者の自立支援活動をしている。長男の会社に紹介しているのは事実だが、NPOとして入居者から金をもらっているわけではない」と話し、不動産会社側は「ノーコメント」としている。

 男性ら入居者4人は1月下旬、「関西『囲い屋』対策会議」メンバーの弁護士とともに東大阪市に相談。敷金支給などの支援が受けられることになり、男性は「ここで年老いていくのかと悩んでいた。転居できたら何とか仕事を見つけて自立したい」と話している。

 NPO法人の設立は、国や都道府県が書面審査で認証する。書類が整っていれば認められるのが原則で、内閣府は「認証が活動にお墨付きを与えるわけではない」としている。

 全国の57支援団体が加盟するNPO法人「ホームレス支援全国ネットワーク」(東京)の奥田知志理事長は「住まいの提供後も、職探しや見守りなどで積極支援するのが、NPOのあるべき姿。悪質な団体が増えれば、親身な活動にも疑いの目が向けられることになり迷惑だ」と話している。

(2010年2月3日 関西発 読売新聞)
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