(Q)借りている家の借地権が、知らない間に返還されてしまいました
(東京都 30歳代 主婦)
現在、一戸建ての住宅を賃貸で借りています。2年前の11月末から入居し、当然に今年の11月末日で契約更新のはずだったのですが…。9月に一通の封書が大家さんから届きました。中身を見ると、大家さんと地主の借地権契約が切れるので、土地は地主さんに返すから、後は地主の指示にしたがってくれというものでした。寝耳に水とはこのことで、借りた建物が借地権だったことも知りませんでした。
地主さんは、この土地を更地にして自分たちの息子の家を建てたいらしいのですが、今の大家さんを通じて、1年間家賃なしで更新するから、1年後に立ち退いてほしいということなのです。
子供の学校のこともありますし、簡単に引っ越すことはできません。どうしたらよいのでしょうか。そのそも、私たちに事前の話もなく、勝手に大家さんが地主に借地権を返すこと自体できるのでしょうか?
(A)新しい所有者に従前の契約内容を主張できます
(住宅ねっと相談室カウンセラー 弁護士 柴田 亮子)
突然のことで、慌てていらっしゃることと思います。初めに、建物賃貸借関係についてですが、これまでと同一の内容で、貸し主が地主さんに変更になります。
これに対しては、こちらに事前の話もなく…とおっしゃられるかもしれませんが、判例上、賃貸人の建物を使用させる債務は建物所有者であれば誰でもできることであるので、賃借人の同意は不要とされています。裏を返せば、新しい貸し主、すなわち地主さんに対して、これまでと同一の契約内容を主張できます。したがって、1年間無料で貸すので、1年後には出て行ってほしいと言われても、相談者としては「いやだ」と言えるわけです。新しい貸し主さんから明け渡しを求められても、当該建物に実際に住んでいらっしゃるのでしょうから対抗でき、応じる必要性はありません。
もちろん相手の提案の方が魅力的であれば合意すればよいのであって、合意しない限りこれまでの契約内容が変更されることはありません。おそらく、今後新しい貸し主さんから、更新方法、立退料等の話があるかと思います。こちらが納得できる条件まで交渉して合意するというのも1つの方法です。いくら法的には住み続けられるとはいえ、大家さんとのトラブルは嫌なものです。
ただし、賃料をこれまで通り支払うことを忘れると、こちらの主張が通らなくなることもありますから注意してください。また、登記簿謄本をとって、間違いなく地主さんが新しい大家さんであることを確かめることも忘れずに。事実関係がはっきりしない場合は、供託という方法もあります。
(日経住宅ネット相談室 2010年1月7日 掲載)
(東京都 30歳代 主婦)
現在、一戸建ての住宅を賃貸で借りています。2年前の11月末から入居し、当然に今年の11月末日で契約更新のはずだったのですが…。9月に一通の封書が大家さんから届きました。中身を見ると、大家さんと地主の借地権契約が切れるので、土地は地主さんに返すから、後は地主の指示にしたがってくれというものでした。寝耳に水とはこのことで、借りた建物が借地権だったことも知りませんでした。
地主さんは、この土地を更地にして自分たちの息子の家を建てたいらしいのですが、今の大家さんを通じて、1年間家賃なしで更新するから、1年後に立ち退いてほしいということなのです。
子供の学校のこともありますし、簡単に引っ越すことはできません。どうしたらよいのでしょうか。そのそも、私たちに事前の話もなく、勝手に大家さんが地主に借地権を返すこと自体できるのでしょうか?
(A)新しい所有者に従前の契約内容を主張できます
(住宅ねっと相談室カウンセラー 弁護士 柴田 亮子)
突然のことで、慌てていらっしゃることと思います。初めに、建物賃貸借関係についてですが、これまでと同一の内容で、貸し主が地主さんに変更になります。
これに対しては、こちらに事前の話もなく…とおっしゃられるかもしれませんが、判例上、賃貸人の建物を使用させる債務は建物所有者であれば誰でもできることであるので、賃借人の同意は不要とされています。裏を返せば、新しい貸し主、すなわち地主さんに対して、これまでと同一の契約内容を主張できます。したがって、1年間無料で貸すので、1年後には出て行ってほしいと言われても、相談者としては「いやだ」と言えるわけです。新しい貸し主さんから明け渡しを求められても、当該建物に実際に住んでいらっしゃるのでしょうから対抗でき、応じる必要性はありません。
もちろん相手の提案の方が魅力的であれば合意すればよいのであって、合意しない限りこれまでの契約内容が変更されることはありません。おそらく、今後新しい貸し主さんから、更新方法、立退料等の話があるかと思います。こちらが納得できる条件まで交渉して合意するというのも1つの方法です。いくら法的には住み続けられるとはいえ、大家さんとのトラブルは嫌なものです。
ただし、賃料をこれまで通り支払うことを忘れると、こちらの主張が通らなくなることもありますから注意してください。また、登記簿謄本をとって、間違いなく地主さんが新しい大家さんであることを確かめることも忘れずに。事実関係がはっきりしない場合は、供託という方法もあります。
(日経住宅ネット相談室 2010年1月7日 掲載)