メンズファッションバイヤー&ブロガーのMBです。洋服の買いつけの傍ら、「男のおしゃれ」についても執筆しています。連載第92回目をよろしくお願いします。
いよいよ9月30日に発売が迫ったユニクロと元エルメスデザイナー・クリストフルメールの新ライン「ユニクロU」。世界最高峰のデザイナーといっても誰も否定できないルメールと、世界最高のコスパといってもこちらも誰も否定できないユニクロの合作。これ以上ないほど期待を集めています。実は発売に先駆けてユニクロ内見会に潜入、「見て着て」きたのですが、「これはいいけど……これはちょっと……」という「買ってはいけないワーストアイテム」を3つピックアップしておきます。買い物の失敗をなくすためにぜひご参考に。
▼ワースト第3位 「アウターで使用すると失敗するインナーダウン」
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●Uniqlo U(ユニクロ ユー) MEN ウルトラライトダウンコンパクトジャケット 6990円(+税)
1、2年ほど前からメンズ・レディース問わず「インナーダウン」が大流行しています。もともとアウトドアブランドなどで展開されていたアイテムですが、街着に浸透しトレンドとなりました。アウターの防寒性をアップさせる「荒業」がインナーダウン最大のメリット。秋用のやや薄手のジャケットなどはせっかく良品を購入しても、12月になったら寒くて着られないなんてことが多いはず。レザーはその典型ですね。そういったアイテムのサポート役としてインナーにダウンを入れる着こなしが流行っているのです。秋用のアウターの防寒性が向上し、真冬まで「延命」できるように。この「延命」着こなしが大ブレイクしてトレンドに繋がりました。春秋用のアウターが真冬まで使えるのですから大助かりです。おかげでアパレル業界では「ヘビーアウターが売れない」という悩みが発生しているのですが……。
この「インナーダウン」のトレンド、去年あたりからは「あえてアウターとして着用する」という着こなしが出てきました。このダウンジャケットもおそらく「インナーでもアウターでも使えるよ!」という提案なのでしょう。しかし、幾多の「使いにくい服」を着こなしてきたファッションエリートならともかく、こういったインナーダウンを初心者がアウターに使うと概ね失敗します。インナーダウンの多くは襟がなく首元が開いた仕様です。首元は顔に近く視線を集める重要なポイント。首元の始末次第で「全体」の印象は決まるといっても過言ではありません。「首元が開いた」こういったアウターを考えなしに着てしまうと首元がなんとも寂しくサマになりにくいのです。
あらかじめ「インナー用」と割り切ればいいのですが、初心者がアウターとして着用して大失敗を引き起こす予感がします。首元のデザインだけでなく素材感も少々安っぽく、高級素材をふんだんに使ったほかのラインナップと比べても少し頼りない。アウターとして使うと「安物感」が出るので、あくまでインナー用途にしておきましょう。
▼ワースト第2位 「ミシュランマンのようなダウンジャケット」
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●Uniqlo U(ユニクロ ユー) MEN ライトウェイトダウンジャケット 9990円(+税)
「ミシュランマン」になりたい人はマストバイ!! 近年のダウンのトレンドは、ボリューム感を抑えたり、シームを見せなかったり、「ダウンらしくないシャープな印象」をいかに出すかというところ。ユニクロ自身も去年の冬には「シームレスダウン」を展開して大ヒット。ボリューム感を可能な限り抑えたスマートなフォルムで、ダウンの野暮ったさをキレイに打ち消して大人な印象に仕上げた名品でした。ところが今回のユニクロUはどうしたことか、中綿たっぷり!! サービスしすぎ!! 日本そんなに寒くないから!!
試着すると理解できますがパンパンに膨れ上がったダウンの風合いがもう「ミシュランマン」です。発色は美しく、ダウンなのに超軽量で着用感も快適、デザインもミニマルで無駄がない……と、ここまできてなんで中綿をパンパンにしてしまったのか。台なしです。防寒性、軽量性と、機能面では非常に優れているので実用品として購入するならこれ以上なくオススメですが、決して「格好よく見える」アイテムではありません。あしからず。
▼ワースト第1位 「鍋つかみ」
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●Uniqlo U(ユニクロ ユー) キルティンググローブ+E 1500円(+税)
かわいらしいキルティンググローブですが、これは着こなしをまちがえると簡単に「鍋つかみ」になります。こういったアイテムは温かみがありとても素敵なのですが、ファッション感度の高い人にしか着こなせません。袖先というのはコーディネートのなかでも極めて目立つポイント。顔に近い「首元」、体の先端である「手」と「足」。この3か所はとりわけ視線を集めるポイントなので、スタイリストであればもっとも重要視する箇所。ここの始末で「全体」の印象が大きく変化します。
せっかくシャープで大人っぽいスタイルにまとめても、腕先にボリューム感たっぷりの丸っこいキルティンググローブを使ってしまえば某遊園地のキャラクターのような手が妙にデカイ印象に。防寒性は申し分ないですが、こんなに不格好で使い難いアイテムも珍しいでしょう。ファッションエリート以外は選ぶべきではありません。
以上、業界が注目する「ユニクロU」の買ってはいけないワースト3でした。今回はワーストを紹介していますが、もちろんマストバイもあります。それどころか今回のコレクションはなかなかの良品揃い。毎週日曜配信の私のメールマガジン「最も早くオシャレになる方法」ではメンズ全35型の点数付きレポートなども行っています。気になる方はぜひこちらもご一読を。〈文/MB〉