【手羽先とわかめの煮物】
こんにちは!
家族で食卓を囲むこと。
「いただきます」と手をあわせること。
心配りができること。
笑顔がなにより楽しさに変わる毎日のごはん。
家族でそろってご飯を食べる、幸せなひと時。
公認レシピライター、沁み沁みごはん塾の岩佐優です。
「あしたは、天草の口があきますようぃ」
天草(てんぐさ)の口開けは漁村の重要な産業的行事の一つです。
布海苔、若布、天草等の海藻はすべて充分に成長するまで
その採取が禁じられていて、天草の解禁は四月下旬。
漁村中の女性が総出で、法螺貝の合図で一斉に海に入るのはとても見事。
朝、「とりごえさん」と言って外洋面に近い岩浜に行く。
海女達はもう海に入る服装で(白の肌着に白の腰巻き、白手拭いで髪を包む)
方々に十人くらいずつたき火を囲んでいる。
おばちゃんたちは丸々と太って頬もつやつや。
海中に突き出た大岩の上に上ってみていると、
浜のおばちゃん海女達が桶を抱えて渚に降り始めた。
岩影からは法螺貝を手に持った漁業組合の人が岩の上に立ち
左右をきっと見渡して貝を口に当てる。
おばちゃん海女達の蠢きは近くは鴎の群れのように、
遠くは白い鷺のように見える。
磯の浅瀬に腰まで浸って百人に余る海女達が一列に立ち並んだ。
合図と同時に一斉に泳ぎだして早くも飛沫を蹴り上げて潜り始める様は、
さながら水鳥の群れ。
おばちゃんは浅瀬を年寄り組に譲って桶を押してぐんぐん沖へ出る。
彼方の岩陰からは数十隻の海女船が漕ぎ出でる。
こっちは沖の岩礁の付近で採取する。
私の岩の下で潜っているおばちゃんの水の中の動作がよく見える。
岩の間に上半身を隠し、
両手に天草を掴んで浮き上がってくる姿が波にゆられて青白く伸縮する。
水面に浮かぶと同時に潮の垂れる天草を桶に投げ入れながら、
ヒューッっと海女笛を吹く。
そこら一面に浮かんだ桶の間に、白い肢体が浮かび出ては潜り、
遠い近い海女笛が賑やかに飛び交う。
私は岩の上に立って自分の胸の躍るのを覚える。
やがておばちゃんたちが天草で桶を満たして上がり始めると
浜は又あらたに活気を呈する。
新しい薪を得た焚き火は盛んに煙をあげ、
そのそばで肌着を絞るおばちゃん海女達の身体は強く冷やされ
却って赤く照って肌はことに眩しい。
濡れた髪をたぐりながら沖の友達に
「早ょぅ上がらんと凍えんでぇ」と声一杯に叫んでいる。
天草はすぐさま砂の上に広げて乾かされるので
浜は見る見る赤黒くおおわれていく。
こうして、焚き火の側で充分休息し、
飲み食いした上でもう二回、海へ入る。
「芋を焼いたるに、ちょっとまってやすんどりない」とおばちゃんたちは言いながら
焚き火の熱気にあてられている。
そうして二回目、浮かび出てヒューと
海女笛を一吹きして又直に潜る海女笛は相当遠くまで聞こえ
沖で一人潜っている海女の笛など私には随分もの淋しく聞こえる。
温暖な淺川でも流石にこの時期まだ肌寒い。
「海女の商売もなかなかえらいんなぁ、息をつめて動いて、
冷やしたり、つらい目ばかり見んならん」
「しんどいなぁ そやけんど子ぉもおるしぃなぁ」
辺りの子供達の眼つきの無邪気な愛らしさ。
そして、おばちゃんたちの生活は極めて健康で、清潔。
男、女とも非常によく働くし、素朴で快活で、
正直で、謙遜で、無邪気で、露骨で、
お行儀なしで、
人なつこくて、好奇心が強くて。
こんな、ちょっと前の徳島海部の漁村がありました。
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今日の料理レシピは、手軽に調理できる【手羽先とわかめの煮物】です。
【材料】 (2人分)
手羽先…4本
干ししいたけ…2枚(戻したもの)
水煮たけのこ…40g
わかめ…20g(生わかめか戻したわかめ)
水…400ml
日本酒…大さじ1
砂糖…大さじ2
しょうゆ…大さじ2
お好みで…山椒、木の芽
★手羽先の漬け汁の材料
- しょうゆ…150ml
- 長ねぎ…15g
- しょうが…1片
- にんにく…1片
- とうがらし…1本
- 砂糖…小さじ1/2
【作り方】
(日)手羽先の漬け汁の材料をあわせて漬け汁を作り、
- 手羽先を漬け汁にいれ30分つけ込む。
- (月)手羽先を取り出してペーパータオルで軽く汁気をふきとる。
油をひいた鍋を熱して、手羽先の皮がキツネ色になるまで焼き付ける。
(火)一口サイズに切った、たけのこ、干ししいたけを加えて軽くいためたら、
日本酒・砂糖・しょうゆを加えてなじませる。
(水)水を加えて強火にし、沸騰したらふたをして弱火にして10分煮込む。
(木)水分がなくなったら水を足してもいいですよ。
最後にわかめをいれ一煮立ちしたら火をとめます。
できたてにさんしょうの実や木の芽をちらして、さぁ どうぞ。
手羽先の甘みがひきたつやさしい味わい 、幸せなひと時です。
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公認レシピライター
岩佐 優
人生に捧げる沁み沁みごはん塾
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