在イタリア、ソムリエワインノートとイタリア映画評論、他つれづれ appunti di degustazione

ソムリエ 20年、イタリアワインのテイスティングノートと、なぜか突然のイタリア映画評論、日本酒、日本茶、突然アートも

スフルツァット・ヴァルテッリーナ・チンクエ・ステッレ 2005” ニーノ・ネグリ

2009-03-30 23:12:25 | Lonbardia, Valle d'Aostaロンバルディア他
“Sfursat Valtellina Cinque Stelle 2005” Nino Negri –Lombardia(点数 7.5+)
ご存じ、ニーノ・ネグリのスフルツァットは久しぶりに飲んだ。
ヴァルテッリーナの名を高めたのはこのワインであり、スフルツァットとは何かを広めたのもこのワインではないかと思う。
と言っても、今だに、スフルツァットって何?と思う人はいるだろうが。
さて、ヴァルテッリーナはイタリアでも最も北に位置するといえ、ちょっと行くとスイスである。つまり、暖かいイタリアの中ではかなり寒い所に位置する。
そうなると、熟しにくいブドウを使いどうやって美味しいワインにするか。
というと、ブドウを影干しするという結論に至る。
スフルツァットは、つまり、力を加えた、要するに手を加えた、という意味となる。

品種は、ネッビオーロ100%。地元でキアヴェンナスカ。
色からするにかなり濃い目。モダンなワインはこうなくちゃね!の見本のよう。
香りも、インターナショナル。華やかで、フルーティーで、いたってモダン。
ヴァルテッリーナでこんなにモダンなワインを造ってしまうなんて、さすが、グルッポ・イタリアーノ・ヴィーニ。
革、熟したフルーツ、バニラ、甘いスパイス。。。
甘いくらいのまろやかさがあり、ボディがあり、ややアルコールが上がる感じがある。苦味はほんのり感じる。持続性はあるが、最後に、苦みとフルーツとアルコールが混ざるのが気になる。
うーん。。。以前は、文句なく美味しいと思っただろうと思うのだが、今は、金賞も取ったことだし、アル・ペ・ペのような自然の大地を感じさせるワインの方が好みである。
(2005年は(というより、ほとんど毎年)AISの5グラッポリを取っている。
AIS風に言えば、点数9点なのだろうが、個人的にはちょっと辛口。。。)

アル・ペ・ペが金賞

2009-03-28 07:13:18 | Lonbardia, Valle d'Aostaロンバルディア他
Vini Plus 2009 –Lombardia
AISロンバルディアが「ヴィーニ・プルス」というのを作ったそうな。
”プラス・ワイン”ということになる。(いろいろなネーミングをつけるものだ。。)
結構立派な紹介本(無料)も出している。
そのお披露目、試飲会、表彰というのがローマであったが、金賞に輝いたのがアル・ペ・ペであった。
小さな賞であるが、それでも、他の多くのワインを押しのけての1等賞。
ヴァルテッリーナのテロワールが見事に表現されているワインだが、理解するのが難しいワインだと思う。
しかし、それが金賞に輝いたのはうれしい。

”ヴェルテッリーナ・スーペリオーレ・ロッチェ・ロッセ 1995-1964” アル・ペ・ペ 2

2009-03-25 05:20:09 | Lonbardia, Valle d'Aostaロンバルディア他
"Valtellina Superiore Sassella Rocce Rosse Riserva 1995-1964"
Ar.Pe.Pe. –Lombardia

品種はネッビオーロ。地元名キアヴェンナスカ。

1999年(点数8)
花とフルーツがきれいで、まだフレッシュ感がある。
エレガントでとても心地よい。まだ若く、緑のナッツの香りもある。
味はフルーツがかなりきれいで、酸、タンニンのバランスが良くとれている。

1997年(点数8.5+)
花の香り。最初は閉じているが、その後の変化が大きく、面白い。
アルコールがやや立つ感じと、揮発性volatileな感じがある。
リンゴ(スターク、つまり赤のリンゴ)、カカオ、ブルーベリー、薬草、ミネラルなどで、全体に力強さあり。
12年近くたってまだリンゴの言うのは驚き。
鼻でも塩っぽさを感じたが、かなり塩味がある。ボディも良く、味も力強い。
岩の汁succo di rocciaという表現がなるほど合っている。

1996年(点数8.5)
ここでもまだ花とフルーツがある。コショウなどのスパイスもあり。また、柑橘系、ミネラル、カフェなど。
酸もタンニンもエレガント。持続性とても良く、ミネラルを感じ、納得できる良さ。

1995年(点数7.5)
かなりくさい。みそなどの発酵臭あり。他は、肉、日本で言うとそぼろ的か。そして、黒オリーブ。しかし、ほんのり花の香りも残る。
ミネラルがすごく、塩味がかなりある。タンニンは完全に丸くなっている。臭みは味にも残り(個人的に嫌いではない)、結構複雑。

そして、おまけで出た1964年。嬉しいおまけである。
こういうのは分析せず、気分で飲みたいものである。
タンニンは感じず、酸が際立つ。ダイオウrabarbaro、オレンジ、ミネラルなど。
1964年とは思えない!出来であった。

”ヴァルテッリーナ・スーペリオーレ”他 アル・ペ・ペのワイン 1

2009-03-22 00:03:23 | Lonbardia, Valle d'Aostaロンバルディア他
Vini di Ar.Pe.Pe. 1 –Lombardia

そのうち、イタリアワイン、特に自然派ワイン好きで有名になると思うワイナリーである。
残念ながら、まだ日本へは輸出されていない。
媚びるところがなく、自然で、とても素直なワインである。
ただ、ヴァルテッリーナ自体、ヴァルテッリーナ・スーペリオーレとスフルツァート・ディ・ヴァルテッリーナがDOCGとは言え、日本でまだ知名度が低く、これからであろう。

“Terazze Retiche di Sondrio Fiamme Antiche 1999&2001” (点数7)
「1999年と2001年」という意味は2種のヴィンテージのワインを試飲したのではない。
ワインが2種のヴィンテージのブレンドだったのである。
こういうワインを造る、と聞いただけで、このワイナリーはおかしいかもしれない、そして、このワイナリーは面白いかもしれない、このワイナリーはかなり良さそう、という思考に至る人は、結構自然派ワインが好きな人だろう。
え~??と思わず、ぜひ、そうなって欲しい。

色はやや濃いめ。金属的な感じ、鉄分の香りがあり、きりっとしている。香りは割と強め、しかし、シンプル。薬草、熟したフルーツ、リコリースなど。
結構インパクトがあり、飲みやすく、酸が程よくきれいで、タンニンはそう硬くない。

畑はインフェルノの畑。しかし、ワインの名称はヴァルテッリーナではないので、IGT。

“Valtellina Superiore Grumello Buon Consiglio Riserva 1999”(点数8)
グルメッロの畑。
色はやや薄め。ガーネット色にオレンジがかる。
かなりデリケートな感じで、甘く、花、カモミッラ、オリーブなど。持続性はある。
Infernoとは全く違う。酸がきれいで、深見があり、エレガントで優しく、花がとてもきれい。

“Valtellina Superiore Sassella Vigna Regina Riserva 1999” (点数7.5)
サッセッラの畑。5つの畑(少し前までは4つだった。。。)の中では、最も良い畑になる。
ガーネットがきれい。酸がつんと出る。変化大きく、非常に面白い。スミレなどの花。
タンニンのしっかりで、酸もあり、個性が良く出ている。しまし、最後にやや消える感じがあるのが残念。

ヴァルテッリーナは、ソットゾーナが単純に言って横に並んでいるが、西から
マロッジャ:後で加えられたソットゾーナ。最も飲みやすく、熟成が早く、ボディに欠ける。
サッセッラ:一般に最も良いソットゾーナ。岩のイメージroccioso(日本語ではなんと表現したらよいのだろう。。。)つまり、かなり硬く、酸味と香草、花がきれい。
グルメッロ:このソットゾーナもかなり良い。Rocciosoはやや抑えられ、もう少しシンプルになり、フルーツが出てくる。
インフェルノ:地獄の意味で、夏はそれは熱いということから来ている。ややボディあり。
ヴァルジェッラ:シンプルな感じになる。
となる。

”ヴァルテッリーナ・サッセッラ・ヴィーニャ・レジーナ・リゼルヴァ 1999” アル・ペ・ペ

2008-07-01 00:42:42 | Lonbardia, Valle d'Aostaロンバルディア他
“Valtellina Superiore Sassella Vigna Regina Riserva 1999” Ar.Pe.Pe.
アルペペは、前にも一番ベースのワインのことを書いた。
非常に面白いワインなので好きである。

ヴァルテッリーナは、ロンバルディア州の一番北、ちょっと行くとスイスという場所になり、そこにもネッビオーロがある。しかし、地元ではキアヴェンナスカと呼ぶ。
ランゲのネッビオーロとは違い、一般にもう少しデリケートで、軽めだが、陰干しぶどうで造るスフルツァット(スフォルツァート)も含めて興味深いワイン産地。

これはリゼルヴァで、良い年にしか造らない。
品種はネッビオーロ(キアヴェンナスカ)100%
色は、かなり薄いガーネット色。つやがとても良い。
香りは、鉄分、ミネラル、薬草などで、ややくさめ。花とフルーツも出てくるが、バナナ、柑橘系があり、オレンジマーマレード風。他、紅茶の葉の香り、丁子、海藻というか、海苔の香りなど。揮発酸が強いので、エレガントで、繊細に感じる。
味は、酸が強く、梅干し風を感じるのは日本人だけ??タンニンはエレガント。後味にも酸が残り、オレンジジュースだったり、梅干しだったり。。
熟成の樽に栗の木とオークを使用。もちろん大樽。
ワイナリーは、完全ビオ。最初はこれなに?と思うかも知れないが、飲んでいて疲れないワイン。

”ヴィニェート・カ・ブリオーネ 2001” ブレセスティ・グイド

2008-04-06 18:01:39 | Lonbardia, Valle d'Aostaロンバルディア他
“Vigneto Ca' Brione 2001” Bresesti Guido -Lombardia
これもS氏の「あまり趣味の良くないラベルのワイン」に出てきた、強烈なラベルのワイン。
最初の印象はカラーコピー?? でも、きっとワードで造って印刷、が正解のような気がする。
まあ、生産数が少ないから仕方がないというか、それなりに頑張ってラベルを造り、多少皺が寄ってもがんばって(?)張っているのがわかる。
見ようによっては、かわいい手作りラベルとも言えなくない。

肝心なワインの方は、ヴェルテッリーナで造られるネッビオーロのワイン。ネッビオーロは、バローロ、バルバレスコの品種で、地元ヴァルテッリーナではキアヴェンナスカと呼ばれる。
色は、2001年ということもあってガーネット色で、爪はオレンジ色。かなりの澱が見れる。
香りは、アニマル臭をはじめとして、結構臭みがある。面白い香りが多く、リコリース、キノコ、トリュフ、オレンジ、丁子、ゴム、オリーブ、肉、タバコ、バルサム臭、土、血など。でも、香の変化が大きく、決して悪くない。
味は、酸がきれいに出ている。タンニンはまろやかになり、かなりデリケート。塩味があり、後味も決して悪くない。

”ヴェルテッリーナ・スーペリオーレ・ヴァルジェッラ 2001” ファイ

2008-02-27 01:28:37 | Lonbardia, Valle d'Aostaロンバルディア他
“Valtellina Superiore Valgella 2001” Fay –Lombardia
購入後、かなり長く保存しておいた1本。良い味になっていると嬉しいと思って開けたが、期待を裏切らなかった。
品種はネッビオーロ100%。バローロと同じ品種のロンバルディア版。地元名でキアヴェンナスカという。
色はガーネット色で爪がややオレンジかがる。全体にきれいに透明感があり、ツヤがきれい。
香りに良い熟成が出ている。革、熟したフルーツの香り、森の木の実、ブラックチェリーなど。カラメルっぽい香り、アメのような甘さ、スパイス臭がきれい。
味は、インパクトがきれいで、十分なボディがある。そして、とても柔らかい。まだ酸がきれいで、程よい塩味があり、タンニンも感じるが、きれいにまろやかさが出ている。後味も心地よい。
ピエモンテのネッビオーロと違って、気取らず飲みやすく、日常消費用にはぴったり。

”ネポムチェーノ 2003” カントリーナ

2007-12-28 06:17:56 | Lonbardia, Valle d'Aostaロンバルディア他
"Nepomuceno 2003" Cantrina -Lombardia
ピノ・ネーロのデザートワインを造っているワイナリー、カントリーナのワインをもう1本紹介する。
これも、面白い。
品種はメルロー100%だが、このうち50%のブドウを30日間陰干しする。メルローを何も陰干ししなくても。。と思うのだが、ロンバルディアのブレッシャ近辺では、えー、この品種を陰干し??とびっくりすることが結構ある(ので、驚かないが。。。)。お隣の州で造られているアマローネにあやかっての造りなのかは知らない。。。
色は当然かなり濃い目のルビー色。ドライのバラ、赤と黒のコショウ、トウガラシ、プルーン、マラスカmarascaのコンフィ、タバコ(黒)、ナツメヤシが少し、トースト臭、燻製、インク、辛口チョコ、と結構複雑。
味は、ボディがどーんとあり、インパクトがある。アルコール15%だしで、結構熱い。タンニンもどーんと。そして、後味はトウガラシ風。

”エレティコ 2003” カントリーナ

2007-12-28 05:57:46 | Lonbardia, Valle d'Aostaロンバルディア他
“Eretico 2003”Cantrina -Lombardia
世の中には変なワインが存在する。
いったい何を理由にそんなワインを造るのだろう?と思われるものが。
昔、日本の某ワイナリーが造っている(まだ造っているのだろうか?)メルローの白を飲んだ時にもちょっとびっくりしたが(これ、造るの結構大変なんですよ!と言っていた)、このワインほどではなかったと思う。
このワインは赤のデザートワインである。デザートワインは白が多いので、赤であることでまあまあ珍しいわけだが、品種がなんとピノ・ネーロ。
何も、ピノ・ネーロを使って甘いワインを造らなくても。。。と思うのは私だけではないと思う。。(そうでもない??)
でも、(幸い、と言っていいのか。。)そう悪くはない。
アルコール度は15%。
色は、ルビー色でかなり色が濃い。
香りは、アルコール度15%でもあるし、すぐに除光液の香り。その他の香りはちょっと閉じている。フルーツが出てくると、スミノミザクラvisciole、レッドベリー、ブルーベリーなどのコンフィ、緑の香りは草、木の香り、そこから生木風の香りのもある。
甘さは、そこほどきつくはない。そして、酸味はきれい。ボディがあり、アルコールが熱い。後味に、革、チョコなど。
ぶどう陰干し1か月半で醸造。リリースは2007年。だから、かなりの熟成期間を経ての発売となる。生産数はたったの1000ボトル。裏のラベルに、実験的生産、とある。
もう造られることがなければ、幻のワインとなるのかも。。。

”ヴァルテッリーナ・スーペリオーレ・サッセッラ・ステッラ・レティカ 2000” アル・ペ・ペ

2007-10-30 23:29:17 | Lonbardia, Valle d'Aostaロンバルディア他
"Valtellina Superiore Sassella Stella Retica Riserva 2000" Ar.Pe.Pe -Lombardia
少し前にベースワインを飲んだ。これは、もう少し上級クラスのワイン。
最近は、こういう自然なワインが好きである。無理に造ったようなワインは、それはそれで美味しいが、食事の間に飲んでいて疲れてきてしまう。
しかし、こういうワインは、理解してもらうのがとても難しい。色、香り、味、どれもが、一般的なイメージとしてのワインとは違うのだと思う。
品種は、ネッビオーロ100%。地元の名前でキアヴェンナスカ。
色は、かなり薄い。この薄さを見て、色の濃いワイン=ボディがあり、良いワイン、というイメージを持っている人には、それだけで、ペケになるだろう。ガーネット色で、爪は、やや透明感を持ったオレンジ色。つやは大変良い。
香りは、熟したフルーツの香りが一瞬きれい。しかし、さほど強くはなく、全体に優しさのある香り。ドライの花(小さなスミレ)、フルーツはやや酸味を含むサクランボの一種、visciole、レッドベリーなど、揮発性volatileあり。他、タバコ、古い革、血の香りが少し、ブロード、ややアニマル臭、土、腐葉土など。
味は、酸がすぐに広がる。しかし、口当たりが優しい。決して誇張せず、程よく主張がある。フルーツがふわっと出て、タンニンはやや渋いが、悪くない。後味に、森の木の実がきれいに残る。

”ピノ・ノワール 2006” ラ・クロッタ・ディ・ヴェニェロン

2007-10-12 22:04:29 | Lonbardia, Valle d'Aostaロンバルディア他
“Pinot Noir 2006” La Crotta di Vegneron –Valle d’Aosta
フランス語併記の州なので、ピノ・ネーロではなく、ピノ・ノワールとなる。
イタリアで非常に良いピノ・ネーロは残念ながら少ない。ヴァッレ・ダオスタでもまあまあ見られるが、全体にとうしても単調な味わいである。奥深い味わいのあるものは、期待できない。それでも、よく健闘していると思う。
色は薄めで、ピノ・ネーロらしい色。つやのある明るくきれいなルビー色である。
香りは、揮発酸volatileが上がるせいか、梅、シソの香りも感じるが(おにぎりが食べたくなる)、他、レッドベリーなどの小さな森の木の実、そして、米ぬか風の香りに、奥にはガソリンっぽい香りもあった。と言うと、これはいただけないと思うかもしれないが、決してそんなことはない。
味は、優しい。シンプルで、全体にこじんまりしている。タンニンはやや渋い感じがあり、味の持続性は決して長くないが、最後は適度に心地良い。

”シャンバーヴ・ミュスカ 2006” ラ・クロッタ・ディ・ヴェニェロン

2007-10-11 20:08:08 | Lonbardia, Valle d'Aostaロンバルディア他
“Chambave Muscat 2006” La Crotta di Vegneron –Valle d'Aosta
ヴァッレ・ダオスタは小さな州で、ワインの生産量も少なく、かなりマイナーだが、それなりに良いものを造っている。そして、個人的にはかなり好きな州である。
ラ・クロッタ・ディ・ヴェニェロンは、中でも生産量の多い、また、多くの種類を造っているワイナリーである。
ヴァッレ・ダオスタにはそれは多くの品種がある(ネッビオーロもある)。それらをほとんど単一品種で造るものだから、少し大きなワイナリーになると、当然造るワインの種類が多くなる。クロッタでは、約15種のワインをリリースしているが、白、赤、辛口、デザートワインと種類もバラエティに富んでいる。
なお、ヴァッレ・ダオスタではフランス語が併用されていて、ラベル標記はフランス語が先に来る。それで、MoscatoではなくMuscatとなる。
品種はモスカート100%。
モスカート100%と聞くと、自然と甘いデザートワインだと思うだろう。しかし、これは違う。ヴァッレ・ダオスタでは、モスカートで甘口も造るが辛口も造る。これは辛口。
色は、普通の麦わら色。つやが良い。
香りは、当然マスカットの香り。一瞬甘く、あれ?デザートワイン?も思わせるところある。しかし、漂うような甘い香りはないし、スパイス臭が出てくるしで、辛口だとわかる。他に花の香りもあり、全体にシンプルで、香りの変化はあまりないが、きれいに仕上がっている。
味は、当然辛口。マスカットの味が広がるのに辛口で、一瞬あれ?とくるかも知れない。酸がきれいで、塩味がかなりある。後味に、花、フルーツと共にほろ苦さが広がる。


”スフォルツァート・ディ・ヴァルテッリーナ・カヌア” セルトリ・サリス

2007-10-04 05:25:13 | Lonbardia, Valle d'Aostaロンバルディア他
“Sforzato di Valtellina Canua” Sertoli Salis -Lombardia
セルトリ・サリスの試飲会があった。ローマでこういう試飲会を行うのは初めてとのこと。ヴァルテッリーナ・スーペリオーレ2種に、スフォルツァート・カヌアのヴェルティカーレverticale(縦型試飲)、4ヴィンテージが紹介された。
ヴァルテッリーナのワインは、ローマからだと距離的な問題があり、まだあまり多くのワイナリーが紹介されていない。しかし、サリスはとても良いワイナリーの一つである。
17世紀から続く名家ということだが、かなり立派な宮殿を持っている。ワイン造りの歴史も実に古い。シャルドネとネッビオーロ(キアヴェンナスカ)で造ったスプマンテ、ネッビオーロの白ワインも含めて、バラエティに富んだワイン造りをしているが、看板ワインがカヌア。スフォルツァート、つまり、力を加えた、手をかけたという意味の陰干しワインで造った辛口赤ワインである。ワイナリーからスイスまで3キロの距離とのことだが(つまり歩いて45分??)、イタリアで最北の一つに位置し、標高も高い訳で、ボディのあるワインを造ろうと思うと、ぶどうを陰干しすることになる。(醸造のコンセプトはアマローネに似ている。)
品種は、地元名でキアヴェンナスカ、つまり、ネッビオーロ。ネッビオーロの歴史は、このあたりの方がピエモンテより古いのだそうだ。
まず、2003年。
色はガーネット色に変化中。やや透明感のある赤。
香りは、フルーツがきれい。そして、花。リコリースがはっきり感じられる。他に、チョコ、ギンバイカmirtoなどの緑の香り。
味は、インパクトがほの甘いくらい。まろやかさがあり、また、タンニンがまだ若くはっきりしている。酸がきれい。フルーツの後味が心地良い。
2002年。他はともかく、ヴァルテッリーナでは非常に良いヴィンテージ。
色が濃い目で、ガーネット色。
香りは、フルーツがコンフィになっている。森の木の実、プルーン、ベリー系、赤リンゴなど、フルーツコンポのよう。他、スパイス、タバコ、リコリース、バルサム臭balsamico、チョコ、トースト臭、カフェ、栗など、奥行きが実にきれい。
味は、柔らかく、甘く感じるくらいで、ボディがある。タンニンがしっかりしていて、味の強さ良く、持続性も申し分ない。凝縮感があり、ワインの肉厚さpolpaを感じる。
2001年。
再び薄め、透明感のある色。ガーネットで、爪がオレンジがかるくらい。
香りは、キナ、ベルガモットなどで、ほろ苦さを感じる。他にサクランボのコンフィ、バルサム臭などのスパイス、ミネラルなど。全体にかなりエレガント。
味もエレガントさが勝る。酸がとてもきれいで、タンニンがあるが、隠れるくらい。結構塩味有りで、味の持続性がとても良い。やや細めだが長い。
1997年。
ガーネット色。かなり濃い目。年により、こうも色が変わるとは。
やや緑がかった香りあり。最初はやや閉じているが、しばらくして、スパイス、チョコ、タバコ、腐葉土、ミント、アメリカンチェリー、トースト臭など、いろいろ出てくる。
味は、タンニンがだいぶ柔らかくなっている。酸がきれい。エレガントで、カカオとフルーツの混じった後味がとてもきれい。きれいに熟しているが10年経っているとは思えない。また、2001年と4年の差とは思えないくらい、まだ若さが端々に残る感じ。

”ロッソ・ディ・ヴァルテッリーナ 2004” アル・ペ・ペ

2007-09-27 16:48:52 | Lonbardia, Valle d'Aostaロンバルディア他
 "Rosso di Valtellina 2004" AR.PE.PE -Lombardia
知る人は知っているワイナリー。知らない人は知らない。(当たり前。。)知らない人の方が圧倒的であるが。しかし、自然派ワインに興味のある方はぜひ知って欲しい。
ヴェルテッリーナは、バローロ、バルバレスコと同じ品種、ネッビオーロを使っているのに、残念ながらちょっと地味な感じがする。でも、なかなか良いものもある。ちょっと珍しいものもある。変わったものもある。これは、変わったものの代表というべきか。
ヴァルテッリーナ・スーペリオーレではない。だから、DOC。(DOCGではない。)品種は、当然ネッビオーロ100%。大樽での熟成3ヶ月。
色が、とにかく薄い。全体がガーネット色で、爪に透明感があり、凝縮感の好きな人、凝縮感がないとね~、という人には、ここでまず大きなペケが付くだろう。でも、ネッビオーロは色素が少ないし、ワイナリーの一番下のランクのベースワイン、10ユーロもしない値段、という条件で凝縮感を期待するということは、別なタイプのワインを期待しているということになる。(つまり、この手のワインを飲まない。)
香りは、熟成香がきれい。しかし、アルコールがかなり立つ。他の香りが隠れてしまうくらい。生のプルーン、レッドベリーなどのフルーツ臭もあるが、アルコール漬けsotto spirito風。そして、野菜系、ミネストラの香り、革、腐葉土、鉄分の香りferro、インクなどなど。適度な複雑性を持つ。
味は、酸が最初に立ち、ちょっとすっぱいくらい。アルコールがある分、ボディを感じる。タンニンもあるが、やや渋いかも。そして、結構塩味があり、味の強さはほどほどだが、後味が意外なことに結構長い。
こういうワインを良いと言うか、良くないと言うかは意見の分かれるところだと思う。
これはベースワインなので、値段が安い分、限界が見えるような気がするが、次は上級クラスワインにトライ。本当の評価はそれからである。
ところで、最近話題のアブルッツォ州の自然派ワイナリー、エミディオ・ペペとは全く違うので、お間違えなきよう。。。(ある人は、あ、これが有名なぺぺのワインね!と言った。。)

”フラ・アンブロージョ” イル・カレーピノ

2007-07-08 01:42:41 | Lonbardia, Valle d'Aostaロンバルディア他
"Fra Ambrogio" Il Calepino -Lombardia
今日は七夕。日本に来て(一時帰国です)一番最初に飲んだイタリアワイン。こちらで選んだものではなく、サービスされたもの。西麻布の某氏経営の有名イタリアンで飲んだ。食事もワインも全てお任せ。ワインは、人によって違うのかも知れないが、のんべえの私たち(キョウコちゃんと一緒)には、ほぼ皿数がサービスされた。
食事の始まりは、当然スプマンテ。もちろん嫌いなら別だが、やはりスプマンテがロマンチックな視覚効果も含めて食事の最初にはふさわしいと思う。イタリアでは通常、こういう場合出てくるのはプロセッコ。ヴェネト州の軽くて飲みやすいスプマンテである。シャルマー式だから、値段も安いし、フルーティーで、軽めアンティパストの邪魔をしない、次のワインの選択の幅を狭めないなど、多くの利点を持つ。
しかし、ここで某氏が出してきたのは、ガルダ湖周辺で造られている、クラシコ方式、熟成48ヵ月のスプマンテ。当然、ど~ん、としている。
ここは日本。フランスも含め、食事をシャンペンで始めることも多いわけだから、まあ、この選択もありだろう。しかし、こう来たか。こう来るとは。。
品種はシャルドネとピノ・ネーロのブレンド。色は黄金色を帯び、泡は細かく、優しく立ち上る。香りは、パンの香り、ほんのりトーストの香り、カラメルの香りと、すりおろしたりんごの香りがある。味は泡が優しく、トースト臭が後味にきれいに残り、それなりの重厚さが出ていて良い。
まあ、ここは日本。こういう始まりもオツなものだと思った。