在イタリア、ソムリエワインノートとイタリア映画評論、他つれづれ appunti di degustazione

ソムリエ 20年、イタリアワインのテイスティングノートと、なぜか突然のイタリア映画評論、日本酒、日本茶、突然アートも

ビーニのワイン3種

2008-02-28 04:50:13 | Sicilia シチリア
ちょっとは知られたビーニBiniのワイン。(と言っても、自然派ワインの好きな人たちの間だけであるが。。)見たところ、TripleAのワイナリーのリストには載っていない??ようであるが、それ並みである。
ビーニはパンテッレリア島でカッペリ(ケッパー)の生産者をしている。セッラギアにある。パンテッレリア島は、シチリアのかなり南に位置する小さな島。でも、ワインの生産では有名な島である。(ご存じサルヴァトーレ・ムラーナが有名)
ビーニ氏の生まれはトスカーナ、育ちはミラノとのこと。最近(一部で)流行りと言えなくはないが、アンフォラanfora(素焼の壺)でワインを造る。
それを3種飲んだ。
なお、ラベルの写真は忘れたのではなく、貼ってなかったのでした。

① “Serraghia Rosso Carignano 2007”
品種はカリニャーノ。サルデニア島でよく見る品種である。それが、また何故シチリアの果てのパンテッレリアに??
色は、まだ赤紫がかったルビー色。香りは、甘く、よく熟したフルーツの香りで、できたて新鮮ワインの香りvinosoがある。花、ケッパー(生産しているとワインに移るのか??なまじ、嘘とは言えない)、やや湿気を含んだ紙の香り、魚の香り(頭がおかしいとは思わないでください。。)、アニマル臭など。味は、甘く、新鮮ワインの香りと、熟したフルーツの香りが広がる。すでに柔らかさ、というか優しさを含む。後味も良い。
② “Moscato 2007”
品種はモスカート。
色は、濃い目の黄金色で、コハク色に近い。つやがとても良い。香りは、甘く熟した柑橘、蜂蜜、ドライの花などで、とても良い複雑性がある。味も程よく甘く、ボディもあり、酸とのバランスが良い。かなりピリピリ来る感覚が面白い。ナッツ風の味もある。
③ “Zibibbo 2007”
品種は、モスカート・ディ・パンテッレリア、地元でズィビッボという。シチリアに多い品種で、特に、パンテッレリアで有名。つまり、②もモスカートだから、名前は違うが、同じ品種ということになる。しかし、全然違うワインになっている。
フィルターなしで、色は、完全に曇っている。麦藁色から黄金色。香りは、ふくよか。かなり臭いと言える。臭い中に、桃、柑橘、デリケートな柑橘の花の香りが混じる。そして、ミネラル臭。モスカートだから、もっと甘くて良い感じなのに、あまり甘い香りではない。で、味は、完全に辛口。ヴァッレ・ダオスタ州で、辛口モスカートを造るが、それに似て、香りと味がアンバランス。しかし、何とも言えないモスカートの甘さが残る。そして、後味に鉄分か、チーズを思わせる味。
と、書くと、まずそ~!と思う方がいると思いますが、そんなことはありません。とても美味しいです。

こういう、体に優しいワインは嬉しい。(ちょっと臭いけど。。)


面白い試飲会

2008-02-28 03:43:23 | もろもろ、つれづれ
S.S氏の主宰する試飲会は面白い。テーマはだいたい決まっているが、今回、テーマの決まっていない6回コースに参加している。
試飲会にはタダのものもあるが、一般に安くない。だから、たいていの人はテーマを見て、時にはワインまで見て、調べて、参加するかしないかを決める。だから、今回のように、テーマがない(わからない)試飲会に参加しようと思う人は少ないので、いつもよりは参加者が少ない。
しかし、面白い。本当に面白い。第1回目は、講義が始まって、すぐにテーマを教えてくれた。2回目は、テーマは自分たちで発見すること、と言われた。第3回目もテーマがわからず、みんな、このワインはなんだ??とシチリア?ヴェネト?バジリカータあたり?とドキドキだったのだが、なんとテーマは「自家製ワイン」。ふたを開けてみると、8本のうち、5本までが流通していない自家製のワインだった。
出てくるワインは必ずブラインド。そして、1本1本飲んでいくのではなく、まず、いくつかのテーマに分けた、テーマごとのワインの色を比較、香りを比較、味を比較と、比較しながら飲み込んでいく。そこに、いいコメントも悪いコメントも混じる。
商業路線まっしぐらの有名大手協会の試飲会とは根本が違って、実に面白い。