在イタリア、ソムリエワインノートとイタリア映画評論、他つれづれ appunti di degustazione

ソムリエ 20年、イタリアワインのテイスティングノートと、なぜか突然のイタリア映画評論、日本酒、日本茶、突然アートも

Gaspare Buscemi 10 vini ガスパレ・ブシェーミ10種

2015-01-31 21:31:58 | Friuli フリウリ
Gaspare Buscemi - Friuli  ガスパレ・ブシェーミ

Zero solfiti rosso 2011
Alture rosso 2011
Alture rosso 2003
Alture Riserva Massima rosso 1988
Perle d’Uva 2011
Perle d’Uva 1998
Zero solfiti bianco 2011
Alture bianco 2011
Alture bianco 2003
Ossidazione estrema da uva verduzzo 1988



久々に新鮮だった。
ローマの老舗エノテカTrimaniで行われたBuscemiの試飲会。
試飲会はトリマーニの兄弟の中でもパオロがオーガナイズするものが多いのだろうが、パオロがオーガナイズするものは大抵面白い。
今回はフリウリの超ビオと言えるGaspare Buscemiの試飲会。一番古いワインが1988年のものだったので、25年の歴史を10のワインを通して、というものだった。
ブッシェーミのワインは飲んだことはあると思うが、あまり記憶にはない。ただ、最近、広い範囲でワインをかなり飲み込んでいる友人ダヴィデが時々話題に挙げることがあるので、非常に興味があった。

ガスパレ氏も参加の試飲会。彼にしてみればビオやビオでない、なんて関係ないんだろうなぁ、という印象。つまり、彼にしてみればワインを造ることが普通で、造るワインは手作りの自然なものであるべき、ということだけだと思う。つまり、ワインはワインであるべきで、現在の多くのワインはワインではないだろうなぁ。
人工的な飲み物だったり、工業製品、ステイタスだったっり、まるでお金を飲んでいるようなものだったり。。。

使っている品種は赤が主にメルロー、白がヴェルドゥッツォやその他で、品種を聞いても、xxとかその他、といような答えで、つまり、ある意味適当に(もちろん本当に適当という意味ではなく)植えてあり、毎年、割合も含めて違うというし、発酵の際は基本混ぜるそうで(収穫にあまりのばらつきが出た場合は2度に分けることもあるそう)昔からの自然な造り方をモデルにしているという。

もちろん造り方は多少変えているようであるが、試行錯誤を繰り返し、という同じくフリウリのグラヴネール氏とは似ているようだか違うと思う。
また、使うのはステンレスのタンクのみ。セメントを使うわけでもなく、大樽を使うわけでもなく、今流行りのアンフォラでもなく、ある程度たったら瓶詰め。それだけ。あとは瓶での熟成のみ、というあたりは、マルケのコッレステファノに似ているようだと思った。

ワイナリーには未だに1982年のワインから貯蔵されているようだが、今回は1988年が一番古いヴィンテージ。ただし、1988年が2本もある。
縦のみ試飲で徐々に古いヴィンテージというのも面白いが、今回は、いきなり新しいヴィンテージから古いヴィンテージへ移行し、この趣向がまた面白かった。
なお、試飲は最初に赤、挟んでスプマンテ(白)、そして白の順だった。このやり方は、やはりかなり有能だと思うSangiorgi氏が使うが、個人的には賛成である。試飲会で、赤を飲んだらもう白は飲めない、と思う人が多いが、そんなことはない。

10本のうち2本が亜硫酸無添加。Zero solfitiは亜硫酸無添加のことである。
亜硫酸を使わないことに、個人的には何の意味もない(というと言い過ぎだが、つまり、あまり重要性を感じない)と思っている。ビオワインは亜硫酸無添加のことと誤解したり、本当のビオワイナリーは亜硫酸を使わないよね、と思う人も多いがそうではない。ビオ、自然派の造り手に亜硫酸を使わないという考えの人が多いだけで、ビオワインであることと、亜硫酸を使うか使わないかは関係がない。ビオであることは、畑の栽培だけのことであり、造り方は左右されないからである。
そこで、昨今、畑が有機栽培、つまりビオの承認を持っているが、醸造はごく普通のニセ(これも言い過ぎではあるが、つまりモドキ)ビオワインが多かったり、逆に無理に亜硫酸無添加にしてワインを壊してしまったり、いろいろである。
また、ビオワインは臭くて当たり前、または、臭いのがビオワイン、という間違った考え方も見られたりする。

なお、Zero solfiti以外は亜硫酸を使っているわけだが、かなり少なくせいぜい50mgとのこと。
PHが非常に低いので亜硫酸を使わずに造れる、ということ。そして、マセレーションはかなり長いそう。

ガスパレのワインはビオでも臭くない。全体にオレンジ系の香り、つまり酸味が上がるが、アニマル臭はない。アルコール度が決して高くなく、酸っぱくない程度の酸味が引き立ち、強いインパクトを持つわけではなく、すばらしい持続性があるわけでもないのだが、優しく、自然とも対話、という感じである。

+++が基準で、良い。あとはプラス、マイナス。

Zero solfiti rosso 2011 ++(+)
メルロー、カベルネ、レフォスコ。亜硫酸無添加。色がかなり若く、明るい綺麗なルビーで、透明感と光沢がある。花とフレッシュな森の木の実。酸味が際立ち、余韻にも残る。

Alture rosso 2011 +++
メルロー95%。(残りは?いろいろ)ややガーネット色を帯びたルビー。品種は微妙に違うわけだが、先の亜硫酸なしのものの方がより若さを保っているのは面白い。香りに甘い感じが上がる。フレッシュ感が先のものより劣り、太さが出て、タンニンの存在感が増す。
Alture rosso 2003 1本目+++ 2本目+++(+)
2011年からどーんと2003年にさかのぼる。さすがにボトルごとに違ってくるので、まずまずのボトルにあたったテーブルがあり、1本余計に開けたのも飲むことができた。
どちらもオレンジ色を呈している。2本目の方がより光沢がある。チース風の香りもあるが、オレンジ、オレンジチョコなどで、全体にまだ若いくらい。重たさが全くなく、エレガント。

Alture Riserva Massima rosso 1988 ++++
メルロー主体。完全にオレンジ色。光沢はまだかなりある。どのワインもステンレスに冷たさのような香りがあるが、これは、プラスチック風の冷たい香りも加わる。さらにオレンジチョコに加え、カラメル風の香りがよぎる。タンニンの存在がまだしっかり感じられ、余韻は反して甘い感じでもある。かなり不思議な感覚。

Perle d’Uva 2011 ++
ピノ・グリジョ、シャルドネ、ソーヴィニオン、ヴェルドゥッツォ、マルヴァジアなどなど。
スプマンテ。瓶内2次発酵方式で、そのまま。そこで、プロセッコ・コルフォンドのように濁りがあり、独特の香りがあり、まるで甘くないカルピスのよう。味の余韻は長くない。
2011年となっているが、実際に使われたワインは2007年、2008年、2009年などで、それを混ぜてベースワインにしたのが2011年なのだそう。
炭酸の勢い余って、開けるボトルが次々吹き出し、こちらは笑いで吹き出してしまった、という感じ。
Perle d’Uva 1998 +++
またいきなり1998年までさかのぼる。ただ作り方が完全に違い、2005年のズボッカトゥーラ。つまり、こちらはシャンペン方式となる。色がきれいで光沢がかなり良く、2011年と違って濁りがない。ほんのりパンの香りに、おなじみ、柑橘系の香りが強い。味はタンニンを感じるくらい。余韻は悪くない。

Zero solfiti bianco 2011 ++(+)
ヴェルドゥッツォ主体。亜硫酸無添加。光沢がかなりある。酸味が際立ち、酸味の強いワインが好きでなければ別だが、なかなかよい。

Alture bianco 2011 +++(+)
ヴェルドゥッツォ、トカイ、シャルドネ、ピノ・ビアンコなど。色は濃い目。珍しくアニマル風がやや出ているかも?という感じに、たるなど使っていないのだが、カラメル風の香り、これもまたタンニンを感じる。
Alture bianco 2003 +++(+)
またいきなり大きくさかのぼる。色はかなり濃いめで光沢がかなりある。結構ボディがある感じに仕上がり、余韻も結構長い。かなり面白い。

Ossidazione estrema da uva verduzzo 1988 ++++
さらに面白いのがこれ。極端な還元、というのでサルデニアのヴェルナッチャを想像していたら、だいぶ違う。アルコール度11,5%。だから軽めで重たさがない。わずか甘い感じがかなり心地よい。シェリーのよう、という感じだが、より軽やかな感じで飲みやすいと思う。