(写真は 夕暮れ。 散歩中に、家の近くで。
忠信や 尾を振り化けり 枯れすすき )
記録だけ 2007年度 108冊目
『江戸ことば百話』
東京美術選書 58
西山 松之助 編
西山 松之助
比留間 尚
小木 新造
吉原 健一郎
岩田 秀行
宮田 登
竹内 誠 共著
1989年5月30日 第1版
211ページ 1200円 +税
とても面白く、興味深く読んだ。
この本は七名の学者によるの共著。
そのなかに、私の今興味を持っている 宮田登氏の名を見つけた時には、正直、嬉しかった。
なぜか親しみを覚える宮田登氏。
この本が一層身近に感じられる。
江戸文化や浮世絵、芝居の話が多く載せられていた。
芝居は全部馴染みの演目で、書かれていることがよくわかった。
今年三月に、南座で観た『霧太郎天狗酒盛』
http://blog.goo.ne.jp/usuaomidori/e/95cac02fcb223bbeeb7fcb87a286cf6d(乱鳥の『霧太郎天狗酒盛』記録)
を十二月三日にも テレビ(歌舞伎チャンネル)でみた。
結構前半で、早乙女神事に選ばれた女に、顔見知りの女が、
通行女「お前もかいな。心中物かいな・・・。」
早乙女「心中物じゃわいな。」
といった会話が出てくる。
今まではこの場面、あまり必要ではないと思っていたが、この本には『心中』の項目も設けられており、分かりやすく二ページで説明されていた。
その中に 面白い記述が載せられている。
心中 (岩田 秀行氏 書く)
「心中」という字は「忠」の字に通じるものであるから、道に外れた恋愛の末に死に行く行為を「心中」と呼ぶのは、不届き千万・・・・・・。
『正宝事録』などにも「相対死御仕置之事」のように、 「相対死(あいたいじに)」と よばれていたようだ。
これで納得。
『霧太郎天狗酒盛』は初めから最後まで、忠義の世界を、色々な演目のパロディも交えて、描き続けている。
つまり、出だしで、
『この話は心中物ではなく、忠義の話なのですよ。』
と婉曲に説明していたのだった・・・。
これで、以前から疑問に感じていた 台詞のやり取りが、納得いくものとなる。
三流脚本とまで言われている この演目も、なかなかどうして。
細部にまで神経を使い、ひねって作られた話だったというわけである。
他にも興味深い項目が多数載せられている。
一つ一つ、頭に叩き込むつもりで、丹念に読んだつもりだが・・・。
さて、どれくらい覚えているものやら。
読んだ尻から 何せ右から左に素通りの私のこと。
ちと、疑問である。