乱鳥の書きなぐり

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34; 王朝の歌人 4 『歌ことばを創る 紀貫之』 藤岡忠美著  集英社 1985年

2011-03-19 | 紀貫之


三月初めに読んだ本の記録を、忘れない間に記録しておきたいと思います。


34; 王朝の歌人 4 『歌ことばを創る 紀貫之』 藤岡忠美著  集英社 1985年





 王朝の歌人 4 『歌ことばを創る 紀貫之』

 藤岡 忠美 著

 藤岡忠美(ふじおか ただはる)
 1926年、東京生まれ。東京大学文学部卒業。北海道大学助教授、神戸大学教授、
 昭和女子大学教授を経て、現在、神戸大学名誉教授。平安朝文学専攻。著書に、
『平安和歌史論』『和泉式部日記』『伊勢物語・竹取物語』『袋草紙』『躬恒集注釈』
『忠岑集注釈』『平安朝和歌――読解と試論』などがある


 集英社

 1985年07月

 252P 1,682円







 王朝の歌人 4 『歌ことばを創る 紀貫之』を読了。

『歌ことばを創る 紀貫之』は 竹西 寛子著の 同時代ライブラリー298 『古今和歌集』との重複が多々ある。

 出版は『歌ことばを創る 紀貫之』は1985年、同時代ライブラリーの『古今和歌集』は1997年。

『歌ことばを創る 紀貫之』では『古今和歌集』に加え、『土佐日記』まで入る。




 本書で、貫之がなぜ『土佐日記』を書いたか、どのような状態で記したかがうすぼんやりとわかる。
 この本の半ばで藤原忠房や他との親密な歌のやり取りによって、思わぬ方向に事を知る。(139、140、187 他)

 子どもの会社帰宅後、声を出し読む。

 彼女も、事の深層にほくそ笑む。



 上に関係あるが、『土佐日記』の女装文学について割合詳しく書かれていた。

 よくいわれている言葉遊びの物名歌や滑稽な俳諧歌の世界に近い旨、貫之の得意とすると 著者はくくられる。

 また地域の古典講座でも何度も聞いたが、この本でも 一月十三日の入浴描写など、女装文学がばれていると記されている。

 藤岡忠美氏は こういった卑猥なジョークを漏らし、読者を笑わせようとした作者の手の込んだ趣向とまとめられている。



『土佐日記』は儀礼と内心、建前と本音、精神と物品などといった対立をとらえ、揶揄と風刺を働かせて、言葉の洒落をからませていきいきとえがいていくところに作者の本領があった。(212)



『歌ことばを創る 紀貫之』始まってすぐに 貫之の名前に着いてく詳しく書かれていた。

 なるほどと読み進むうちに、貫之は貫く云々と書かれていた。

 先日このブログで『古今和歌集 春 紀貫之のみ』を終え次に何に仕様かと阿呆なことを書いていた。
 
 その際、「貫之で貫き通す」と駄洒落のつもりで書いた。

 間違い。そのままだったと本書で気づかされる。

 無知とは楽しいものだと笑いでごまかしながら、赤面する。

 

『古今和歌集』では気になる歌が多くあったがここではほとんどを省略。



 ことばと幻想(121)での「眼前の景物から連想を展開し、見えない世界へ幻想をうたう」「嘆美と理知とをひとつにした体」とした下の歌は興味深い。


      吹くかぜと谷の水としなかリせばみ山がくれの鼻を見ましや  (春下)



   似

        春立ける日詠める

      袖ひちて結び清水の氷(こも)れるを春たつ今日のかぜやとくらむ  (春上)


        山寺に詣でたりけるに詠める

      宿りして春の山辺に寝たる夜は夢のうちにもはなぞ散りける  (春下)


        秋立つ日、うへのをのこども、賀茂の河原に川逍遥 (かはせうえう)しける供にまかりて詠める

      河風の涼しくもあるかうち寄する波とともにはや秋はたつらむ  (秋上)

   







 気になる事が他にも多くありましたが、長くなりますのでこのへんで終わります。


 記録におつきあい下さいましてありがとうございました。

 心よりお礼申しあげます。





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