国立ブンラク劇場 2006/01/09 昼の部
【演目】
1) 寿式サンバソウ
2) タイヘイキ忠臣講釈
3) munagi(33)参間堂棟yurai(むなぎのゆらい)
【演目】
トウジュウロウの『ホンチョウ二十四考』の影響を受け、こどもの頃から苦手なブンラクに一度いってみんとて、いくなり。
まず驚いたのは、劇場の舞台上には、字幕が現れる。
まるでオペラ。
日本語なのに字幕スーパーが出てくるのは、ビックリ。
待ってましたのおなじみの演目が始まる。
【ブンラクのジョウルリについて】
ブンラクのジョウルリは思っていたよりもはっきりと聞こえ、カブキと変わらずに楽しめた。
ただ違うところは、kabukiは情景を語り歌う脇役であり、ブンラクではギダユウが主役のよう。
【ブンラクのジョウルリについて】
ギダユウは表情豊かで、感情移入して歌い語られていた。
私はブンラクでは人形を見たものか、ギダユウを見たものかで、少し戸惑い、興味深くみていた。
ギダユウを見たくなり、人形を見たくなり、ときどき字幕の繰り返し・・・
割り合いにして、
ギダユウ:人形:字幕 = 4:5:1
不安になりまわりの常連らしき観客を見渡すと、全員が人形の方を見ておられた。
真前の幼稚園から小学校低学年らしき女の子は、聞こえないほどの小さな声でギダユウに合わせて口ずさんでいたのがかわいらしい。
とてもかわいらしいおりこうさんの女の子は、素直に楽しんでいた。
静かに座り、頭は左右にリズムを取っている。
みていてほほえましい感じがこちらにも伝わってくる。
その女の子に好感を持ち、三歳の頃からカブキに連れて行った我が子の姿を重ね合わせていた。
【寿式サンバソウ】
『寿式サンバソウ』はアップテンポで進む。
待っていました! の
「とうとうたらりらりら~」
という台詞は十分暗いたったところで歌われた。
三味線がことのほか上手く、大向こうをかけたい衝動に駆られるが、まさか
「三味線」
と声をかける訳にもいかず、静かにゆっくりと流れを楽しむ。
首の使い手は思いのほか難しそうで、驚いた。
リズムに合わせてカブキやノウガクのように足踏みするのですが、一拍或いは二拍近くも遅れる。
これはブンラクの特徴なのかも。
何しろ私はブンラクのことは全く知らない・・・。
聞きなれたリズムにのって、人形たちは踊り、みえをきりなどといった大奮闘の中、幕はおりた。
【taiheiki忠臣講釈】
色々な意味でインパクトのあるこの作品。
私はBUNRAKUのことを全く知らないのですが、お正月に何故この演目を選ばれたのかは、誰かにお尋ねしてみたいような気がする。
【その理由として】
1)夜鷹が数多く出てくる。
2)夜鷹の言葉と内容が少しだけお下品。
3)文化功労賞を受賞されている竹本スミダユウのジョウルリの語は大阪をイメージ。
4)そのため京都の話だとはかなり話が進むまでは知らず、浪速の話だと勘違いしてしまっていたおばかな私。
5) 女性(妻)が意味なく自害せねばならない境地に追い込まれることに対する不満葉のこるものの、お芝居にはこういったパターンが多い。
注) 昔は全面的に男社会であり、妻やこの死はさほど問題視されなかったのでありましょうか。
注) ブンラクの後にカブキが登場し、話の内容をソフトにしたのだろうか・・・近日中に図書館に出向き、調べてみよう。
6) わが子を殺した父親に向かって、祖父(妻の父)が、
「忠義を尽くした」
「でかした」
という言葉には少々複雑な思いもいたしますが、これはお芝居にはとても多いパターンの一つのようなので、これからおいおい学んでいきたい。
【女性用トイレ(国立ブンラク劇場)】
幕間十分間。
トイレは二箇所あるのでまあいいやとたかをくくっていてはいけない。
トイレは狭く、数は観客に対してきわめて少ない。
みんなが紳士用トイレやハンデー・子連れ用のトイレを使っても追いつかない位の人数と極少のトイレ数。
トイレの絶対量が少ないのですが、係りの若い女性は、
「早く席にお戻り下さい」
の連発で、みんなが少しいらいらしてしまう。
舞台開始の合図が鳴り 舞台が十分程過ぎた頃、ようやく席に戻る。
ギダユウの語りはすでに始まっており、悲しみとショックを感じる。
ブンラクの観客はは女性や高齢者も多いことを考えると、毎日新聞(2006/01/27?)にブンラクにきてくださいという趣旨の内容が一面に記事になっていたが、『足を運んで・・』という前に、数字的に計算して、基本的な設備くらいは整えられた方が良いにかしら・・・と、いらぬおせっかいを考えてしまう馬鹿な私。
【ムナギ(33)間堂棟ユライ(むなぎのゆらい)】
なぎとやなぎが枝を交わして緑という子もうけたという設定から話は始まり、思う浮かぶは『日本書紀。
鷹狩りで足に引っかかった侍が柳を切り倒す。
妻のお柳はもとは柳。
この柳を切り倒されては、愛する夫とも緑(子ども)とも別れなければならないお柳。
お柳が二人と別れるシーンの二場面は幻想的で美しい。
1) お柳が柳の精に姿を変え、寝ている緑のはるかバックがブルーグリーンのなか、お柳が神秘性を持って、抽象的な形で現れる。
2) 柳の葉が点からひらひらと舞い落ちてくる場面。
ここは遠う目で立体性を自分で想像しながら観ていると、
柳の葉は来るっると舞い落ち、葉の連続性がいっそう柳らしさを感じさせる。
ただ、木の葉に簡素手はよく見ると、熊笹の葉よりも少し短いほどに柳とは似ても似つかない代物。
この形がくるくる回り、柳に見えやすくなるということがわかるまでに、一体どれだけの実験をしたことだろう。
多分形だけではあそこまでは回らないはずであろうから、重みや微妙は形の変化も計算しつくされているに違いないと感じた。
3)柳は切り倒されたが、みなの力を借りても動かして引っ張っていくことはできない。
4)そこで夫(なぎ)は扇でで仰ぎ向かえ、緑(子)が引っ張ると・・・・動いたのである。
めでたしめでたし
どんとはらい
すこーんすこーん米団子
5)この演目も言葉遊びが多く笑える箇所が多かった。
【ブンラクの大向こうについて】
ブンラクの大向こうは義太夫に対してであり、首の使い手に対して、登場の時に限り、個人名でかけられていたよう。
大向こうはあくまでも登場の時だけにかかる。
そのかけ方は小芝居に似ている。
前から四,五番目の席から声をかけるの方が多いのも、小芝居と合い通じており、ハンチョウという言葉が適切かもしれない。
ちなみにカブキの場合 日により人にもよるだろうが 二、三階席の後ろからかかることが多い。
ブンラクは世界遺産に登録されたが、舞台といい観客といい、**演劇(小芝居)に近いにおいを感じた。
【ブンラクとカブキとの違い】
1)ブンラクはカブキに比べ、歴史が古い。
言い換えれば、カブキのもとになっている、
2)ブンラクは人形、カブキは男の役者が演じる。
3)ブンラクは聴き、カブキは観る。
4)ジョウルリにおいて、ブンラクは主役であり、カブキはあくまでも脇役であり、状況描写に過ぎない。
5)ブンラクは字幕スーパーが出てくる。
6)大向こうのかけ方が違う。
7)ブンラクは大阪仁ねずいているということがブンラクをみていて感る。
8)カブキに比べ、ブンラクは同じ話でも残酷な内容、表現とクライマックス、表現がストレートのようです。
9)ブンラクはきれいごとではない、人間や社会の本質までえぐりかかれているので、それはそれでまた面白い。
10)ブンラクは舞台に溝(黒衣の歩く道)が掘られている。
11)ブンラクには花道はない。
ブンラクはあまり知らないので以上 上の十点くらいしか気づきませんでした。
以上ブンラク知らずの、独断によるブンラク感想をお許し下さい。
ブンラクを全く知らないため、言いたいほうだいで申し訳ございません。
間違いやお気づきの点がございましたら、お教えくださいませ。