朝から素晴らしいお天気の日曜日、何となくのんびりしていたが、(そうだ、今日
美容院を予約したのだ)と気づいた。最近物忘れが多く、自分でもおそろしくなる
ので、大きなカレンダーに書いているが、書いてあっても忘れたことがあった。
「私頭かけに行くの」と夫に言ったら、「頭に何をかけるの?」と、ニヤニヤ
しながら即答えた。言語障害で、幼児性の強い私をからかうのが、認知症の夫に
とっては、良い刺激で頭の活性材料になっているようだ。
それは一事が万事で彼は認知症のくせに、頭の回転は実に素早く、小憎らしいほど
だが、そのため二人はいつも笑っている。今回は下らない会話をご紹介。
「あなたが先死んだら、私淋しいから怖くないように、すぐに迎えに来てね」
「オレ先に死ぬの?」「だって年齢も違うし、あなた病気いろいろあるし、男女の
平均寿命の差も7・8年あるのよ、それに私みたいに介護してくれる人誰もいない
でしょ、でもね。あの世とやらも楽しそうよ」「そうだね、だって帰ってきた人いな
いからね」なるほど。
薬を飲ませるのは、ちょっと大変。
「薬はあなたの命の様なものよ、飲まなければ死んじゃうからね、すぐに飲んでね」
「別に飲まなくても死なないよ」「あなたは薬飲まなければすぐ死ねるからいいわね。
私健康だから、何も飲んでいないから、なかなか死ねないの」
「そうか、病気も寄り付かないんだ」
「オレ地方症じゃないよ、北沢生まれ、梅が丘育ちの都会症だからね」
息を弾ませて部屋へ入ったら「どうしてそんなにハーハーしているの?」
「階段上がってきたの、エレベーターの電気代節約しようと思って」
すると、バカにしたようにゲラゲラ笑った。
鉢植えの根元に小さな草が生えていたので「ワー可愛い!」と、思わず大声を出したら
「そんなことでいちいち感動するなんて、随分安上がりだね」と言った。
言語障害の私は、即座に名詞が出てこないことがしばしばある。
「あなた、あそこのあれ入れてくれない?」「何のあれなの?」しばらく考えて
「あのね。ガスレンジの魚焼き、網洗ったけど、どうしても入れられないの」
「分かった、魚焼きの網だね」とすぐ入れてくれた。
「ねえ、幽霊とお化けとどっちが好き?」「どこが違うの?」「幽霊は元人間だけど
お化けは獣とか機械とか」「じゃオレ化け物の方が好き」
「女と男とどっちが好き」「両方とも好き、だってオレ男だし、女房は女だから」
「お花と樹木と、どっちが好き?」「樹木が好き」「どうして?」「花はなくても良い
けど、樹木がなくなったら大変だし・・・」「お花は実をつけるじゃない」「人間だって
実を結ぶよ」実に下らないでしょ!これが我が家の日常会話です。
そのため明るいですよ!