舞台はまだ90年代。
戦後に自然水の販売で巨大な財を成した沢城一族。
そのひとりである沢城隆二が不審な死を遂げる。
小次郎は当主の沢城荒原の依頼で、事件の調査を始める。
一方、突然街を暴走し始めた車を止めたまりなだが、
海に落ちた車が謎の大爆発を遂げる。かつて存在しえなかったその爆薬。
CIAとの交渉のなかで次々と新たな事実が現れていく。
シリーズ伝統の好きなタイミングで小次郎とまりなを切り替えられるシステム。
片方で行き詰まったときにもう片方の捜査を進行することで
シナリオがクロスして先に進めるようになる。
前作をプレイしたとき、作中で日付が進んだタイミングで
小次郎とまりなを切り替えたほうが楽しかったなーと反省したので
今回はそのとおりに実行。
しかしそのせいもあって、
ストーリー構成上のトリックが明かされる前に気づいてしまった……。
むかしこの手のミステリをたくさん読んだしなー。
そういうネタも嫌いではないのだけれど
この作品にはあまりそぐわない気がしたな。
とはいえ、トリックが読めたからといって面白さ自体が削がれるわけではないのが
このシナリオの骨太っぷり。
まりなの部下、アホカワの杏子ちゃんが今作も登場。
おっさんが好きなタイプの女子を良くわかっているキャラだw
序盤の重要キャラである小次郎の依頼主、沢城荒原。
大富豪ながら既によぼよぼの死にかけジジイなのだけれど
この手のキャラのセオリーである嫌味で悪辣な感じがあまりなく
女好きで冷静で頭脳明晰という魅力的なキャラに仕上がっているのが実に良かった。
ジジイキャラを魅力的に描いてるシナリオほんと好き。
旧KGBのスパイであるイヴァンカ。
結構な歳なのに小清水の若々しい演技とのギャップがたまらん。
このゲームが発売延期になったのってロシア情勢を様子見したからなのかな……。
見えてないじゃん!! 見えてないじゃん!!
『Burst error』ではこれでもかというほどパンツを見せてたのに
サービスカットが著しく減少している!!
まあ俺はパンツは別に好きじゃないので
おっぱいさえきちんと見せてくれれば不満はないです。
そして。
ストーリー後半以降で一気に顕著になる「親子の絆」という作品テーマ。
今までのシリーズに共通していたソリッドな雰囲気とうってかわって超ウェット。
さらに、過去作ですでにクローンが作成されてしまっている世界観なので
「実はこのキャラとこのキャラが親子」という意表を突こうとするネタも
さすがに数が多すぎてぐったりしてしまったw
もっとも、このシリーズのファンは当然のようにみんなおっさんだろうから
「親子」というネタに弱いのを見越してのテーマなんだろうな。
90年代末という時代を懐かしむ余裕のある大人たちへのバラード。
『EVE』らしくないなんて野暮なことを言うファンはいないだろう。
近未来的なモチーフから深まっていく謎。
派手なガンアクション。
集まったヒントから一気呵成に解き明かされるミステリ。
シリーズ共通の爽快感が前作からしっかり引き継がれていて
日々の疲れが吹き飛ぶほど面白かった。
シナリオ的に続編もまだまだ作れそうなので期待!
あと、クリア後に『DESIRE』がまるまる1本オマケとして遊べる。
作中でこの2作品が共通の世界観であることが明かされたが、
『DESIRE』の内容を考えると、ストーリー自体を交わらせなかったのは英断。
リスペクトとはこういうことだよな!