感想:アヒルと鴨のコインロッカー

2016-01-26 19:09:14 | ミステリ


アヒルと鴨のコインロッカー 伊坂幸太郎
2003年作品


【絶対に読みたい】おすすめ面白ミステリー小説 20選【日本・最高傑作ランキング(自薦)】

↑からのチョイス3冊目。

同じ伊坂原作の映画「グラスホッパー」面白かったです。



大学進学のためにアパートに引っ越してきた椎名は
唐突に知り合った隣人・河崎にそそのかされ
わけもわからないうちに本屋強盗の片棒をかつぐことに。
狙ったものは広辞苑一冊。
強盗は首尾良く成功し、罪悪感を抱えつつも
いつしか日常へと戻っていく。


それと交互に語られるのが二年前に遡っての
琴美とその彼氏であるブータン人ドルジの視点。
世間を騒がせるペット殺しの犯人である若者グループを突き止めるが、
身元がバレたことにより逆に危険に晒されてしまう。


理知的で正義感の強い琴美。
全ての女性にリスペクトを持つ河崎。
泰然自若の純朴さと実直さを備えたドルジ。

三者三様の思想が気高くて美しく
特にブータンという日本人には馴染みのない国の
思想と宗教観を持ち込むことで
エキセントリックに作品全体が引き締まっている。

こんなに頭が良くて世の中に達観しきった若者どもがいるか!!
と思わんでもないけどw
「頭のいい人間」を誤魔化し抜きできっちり創れる作家は
やっぱ憧れますわ。


作品の後半に、椎名に対しての
「君は、彼らの物語に飛び入り参加している」
という台詞が出てくる。

強盗という犯罪に巻き込まれたにもかかわらず
椎名はあくまでストーリーの見届け人で
琴美、河崎、ドルジの3人を軸とした物語。


話の先が気になって熱心に読みすすめたせいで
基本的なトリックを見落としていた。
本来ならばミステリ読みとして致命的なレベルのミス。
しかし、それを抜きにしても非常に面白いストーリーだった。


この一冊だけでも瀟洒でスタイリッシュで洋楽かぶれな
伊坂の作風が充分に理解できた。
美男美女主演でたくさん映画化されてるのも納得の作品群。
誰でも気持ちよく読める小説を書ける能力ってのはやはり重要。
もう何冊か読んでみたくなったので近いうちに買い込む予定。



さて。
冒頭のサイトの推理小説一覧なのだけれど
自分が過去に読んだ『ロートレック荘』『十角館』『葉桜の季節』
が入っている時点で気づくべきだったが
特定の共通項があるんだよな…。

この一覧をもとに読んだ3冊はすべて素晴らしい作品だったけれど
「推理小説」の「最高傑作」として連ねたくはないので
感想は今回で打ち止め。好きな作品を読むスタイルに戻ります。

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感想:ガラスの花と壊す世界

2016-01-21 14:57:59 | 劇場アニメ


公式サイト


観てきました!!


舞台は「ViOS」なるシステムの内部。

世界の歴史や文化のバックアップを集めた「知識の箱」。
ウイルスに感染したファイルを削除する使命を帯びた
アンチウイルスプログラムであるドロシーとデュアルが主人公。
そして、ある歴史を消去した際に「リモ」という謎の少女が現れる。



ウイルスの感染をチェックするためにその世界の住人になって
感染が発覚した時点で世界ごと抹消しなければならない。
当然、住んでいた世界の人々との永遠の別れが発生するわけで、
「感情を持たないプログラム」という設定なのに
最初からバリバリ感情丸出しなのはどうかな…。


あらゆる世界のバックアップを好きに引き出せるので
作中の素材自体は実質無限のようなもの。
様々な歴史・風景の中を3人で遊び回る描写はいかにも映画的。

キャストはメインの2人が佐倉・種田と安定の実力派に対し、
リモ役はあまり馴染みのない花守ゆみり。
劇中歌を華麗に歌いきってたのが印象的だったし
演技の幅もかなり広かったので今後けっこう売れそう。
「ローリングガールズ」の千綾役も良かったしね!


最初からメディア展開を狙った「アニメ化大賞」の大賞受賞作ということで
おそらく原作者はかなり若く、世界観もストーリーも瑞々しさを感じた。

四方を遥か彼方まで不思議な色の空と海で囲まれた家に住み
現実と仮想のディストピアを局所的に表現するという
原作者の求めた世界観を丁寧に構築した映像美は心の奥をくすぐられる。
うん、若いころはこういう風景をよく夢で見ていた気がする。


と、ここまで書いて
むかし自分が演劇部だったときに高校演劇で
こういう話を多く見たことを思い出した。
演じる人数も少なくて済み、同世代のシンパシーを得られる空気のつくり方。

つまり意地悪な言い方をすれば「雰囲気アニメ」ではあるものの
閉鎖空間のセカイ系としては割とよくできたシナリオで
レイトショーで観て帰ると気持ちよく眠れそうな出来の良さ。

スタッフを見る限りかなり力を入れた作品だとわかるので
これは是非若い人に観て共感して欲しいし
次代のクリエイターへ向けたアニメ化大賞の存続も期待したい。

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2016冬アニメ感想

2016-01-17 10:58:21 | アニメ特撮
ちょっと遅れたけど各1話感想。

過去の感想はこちら



ルパン三世(2クール目)

一話完結でしっかりロマンを作れる脚本が熱い!
作画のクオリティを相変わらず維持できてるのも感動。
2クール目も新キャラを軸に話を作ってくのかな。


うたわれるもの 偽りの仮面(2クール目)

やっとストーリーが動き始めたか。
中だるみのせいでかなり印象が悪い状態なので
それを払拭するほどの派手などんでん返しに期待してる。


おそ松さん(2クール目)

もはや笑いを取るためなら手段をいとわない、
ここまでの暴走とその人気の下積みがあるからこそ
さらにアグレッシブに攻められる上昇スパイラル。
どこまでいくんだこのアニメ…。


GATE 自衛隊 彼の地にて、斯く戦えり(2クール目)

なんか普通に「先週の続き」みたいに始めやがったw
でもまぁこの1話は「設定に基づくパフォーマンス」な感じ。
シナリオも詰まってるし異世界の陰謀も面白いし
だいぶ熱い展開になりそうで楽しみだ。


ハルチカ

企画自体はそれより前から決まってたんだろうけど
ユーフォニアムに被せてしまったのはいくらなんでもまずくね?
と、最初は思ったもののジャンル自体が違うんだな。
少なくとも1話は全然面白くなかったしキャラデザもくどい。
P.A.だからどこかできっと盛り返すと信じてる。


だがしかし

もともとサンデーとはあまりソリが合わないこともあり
ノリがいまいち好きになれない。
でもおっさんのツボを押さえた駄菓子チョイスのおかげで
次も観たくなる!!


僕だけがいない街

しばらく前から作者のファンだったのでこの作品で花開いて嬉しい。
アニメのスタッフが優秀な人たちなのはわかるけれど
原作の面白さが色々と潰されてる気がする。
特に主人公に声優を使わなかったせいで違和感が大きすぎる。
序盤はいいだろうけど先が不安だ…。


ナースウィッチ小麦ちゃんR

今の時代にこれを復活させる意味がわからんけど
それなりに楽しみに待ってた。
でもコテコテのキャラデザ・展開・キャストが売りだったのに
全部が全部劣化してんじゃねえか。
どうせやるならちゃんとやれ!!


無彩限のファントムワールド

「境界の彼方」のリベンジみたいな設定だな…。
ストーリーはくっそつまらんけれど
さすがに動きのクオリティは一流。
ていうか京アニが乳アニメに本気出したら手がつけられんw


少女たちは荒野を目指す

ゲームのほうを買おうと思ってたけどアニメが先なんだな。
演出しっかりしてるし女の子可愛いしセリフ面白い。
エロゲーには詳しくないが文化として衰退してほしくないので
啓蒙的な期待も込めてこの作品を応援したい。


灰と幻想のグリムガル

メインタイトルとサブタイトルからしてWIZオマージュか。
純朴な感じのキャラデザと背景が好き。
ただ、この設定できちんとやると1クールじゃ絶対無理だな。
新米冒険者の心理描写アニメ希望。


蒼の彼方のフォーリズム

原作のほうをやりたいが時間がなかったのでアニメ化感謝。
作画は綺麗だし空気感も気持ちいい。
ストーリーらしきものがまだ出てないので評価は保留だけど
この出来の良さなら期待できる!


この素晴らしい世界に祝福を!

あー無理だわーこのノリ無理だわー。
テンプレ異世界ラノベってだけならまだしも
引きこもりがコミュ力発揮する不自然さが超嫌い。
ファンタジーとしてしっかり楽しませてくれれば評価できそう。


魔法少女なんてもういいですから。

大森日雅ちゃんの声が聴きたくて観ることにしたが
内容も思いのほかよく出来てた。
まだまだアーススターには頑張って欲しいので
しばらくプッシュしていく予定。




「僕街」は4巻まで読んでその後は買って積む状態だったのだけれど
アニメを観るにあたって一気に読み返したら
むしろ「積んで良かった」と思えるほど面白かった。

アニメ版はリアル志向のノイタミナ枠のおかげで
若干雰囲気に変化をつけてきているけど
さて、今後どうなるかな…。

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感想:傷物語 Ⅰ鉄血篇

2016-01-14 22:49:30 | 劇場アニメ


公式サイト

観てきました!!


いやもうなんつーか。

作画すごい。

予告編の作画がかなり凄かったので
「どうせ凄い部分だけ抜き出しの編集だろ?」と疑ったけど
本編は予告以上に凄かった!!!


不安を孕みながら歩く重心の変化や
会話するだけのシーンなのにずっと強風に髪をなびかせたり
顔のシワひとつひとつを使った感情表現の描写など
「そこまでやるか!?」と叫びたくなる重厚なオーラ。


背景美術もすごい。
キャラクターとの位置関係の取り方もあって
最近ルパンのOPで話題になった「片目で見る立体視」が可能。
…というのは俺の気のせいかもしれんけど、
それだけパースの正確性も素晴らしいってことだよな。
これから観に行く人は試してみて。



「委員長と初めて出会う」「瀕死の忍に血を与える」
前半のストーリー内容は本当にこれだけなのに
作画枚数が異常すぎる。

「終物語」に費やすべきエネルギーを全てこっちにつぎ込んでたのか。
エンドロールの原画動画スタッフの数が多すぎワロタ。


そして音楽は復活の神前暁。
求められたレベルに対し、それをはるかに上回る仕事で応える天才。
音楽だけ聴いても楽しめるクオリティなのに
場面ごとに「曲が合っているのか、合っていないのか」と不安になる
このシリーズ特有の雰囲気を完璧に抽出する能力。
これから他のアニメでも活動再開していくだろうし、全力で期待。


あとは。
やっぱ坂本真綾の演技ってとんでもなくレベル高いんだな…。
高潔な吸血鬼から幼女に変化しても違和感をまるで出さない
清廉な声質と脚本の理解力。
忍の声優が変更された理由はわかるようでわからないけど
少なくとも結果はオーライだと信じておく。



///ここから小声///

前半が凄いのは書いたとおりだけど
後半の暦・メメ・忍の三人の会話シーンは
画面が暗いのと淡々とした話し方のせいで
徹夜明けだったこともあり半分くらい眠ってしまった。

もともと60分上映と短めの作品なのに
前半で力を集中させて後半は尺を伸ばすための部分、
という意味合いが強い気がした。
魅せる点でメリハリをつけたおかげでインパクト抜群だったので
その意味では正解だったと思ってる。

////


敵キャラ3人を示唆して終わったので
次回以降はジャンプバトル的な展開になっていくのかな。
キャラ立てがすごく面白そうなので楽しみだ!!!

あと入場特典は品切れでもらえませんでした…。
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感想:限界凸起モエロクリスタル その3

2016-01-12 09:13:31 | ゲーム(VITA)

限界凸起 モエロクリスタル トロコンへの道


■心を重ねて!
深層領域を240個クリアーした。



シューティング&ダンジョンを240個クリア。
苦行すぎて終わった時は無我の境地に達していた…。




■好きなんだからしょうがない
全てのモンスター娘と愛を深めた。



全キャラの好感度をMAXにする。
適当なプレゼントをダンジョン内で買い込んで
大量に叩き込めばOK。
この段階になるとお金はほぼ自由だし。




■48手免許皆伝
全ての結合48手を発動した。
■48手の伝道師
全ての裏48手を発動した。



攻略サイトをみながらスキルの組み合わせをひとつずつ潰す。
ノーパンだとスキルがバグるのでちゃんと穿かせたw


こんなゲームで年越しとか…。


■漢の戦い
100人斬りを達成した。

ひたすら本体をシコシコしまくってスクラッチ100人クリア。
すげえ時間かかるんだけど、
こんなもんにタイムアタックつけるとか
ちょっとどうかしてるわ…。





■いろんな奴がいるもんだ
ヘンテコモンスター図鑑をすべて埋めた。



全ての敵を倒す。
倒した中ボスの跡地に新たな強ザコが出るので
全てのダンジョンをしらみつぶしに探し回るのに手間取った。




■別に集めてるわけじゃないからね?
全てのジョブパンツを手に入れた。



ラスト。地獄。
着手時点で残りパンツ34枚。
レアドロップの敵と遭遇するまで30分とかザラだし
二度とやりたくないです。
しかもプラチナのスクショ撮り逃した。最悪。





76時間でトロコン完了。
裏ボスクリアまでは難易度HARDだったし
イベントはきちんと飛ばさず見たし
割とスローペースだったかも。



あとこのゲームでやることといえば。


好感度MAXからの個別イベント5個を消化して
「せいなる木の下」で告白イベントを見ると
その後に宿屋での擬似エロイベントが発生。






これを80キャラか。
こういう作り込みはすごいんだが
ゲームとしてあまりに不親切で精根尽きた。
まあ時間ができたらそのうち…。


■■■現在の進行状況■■■

トロフィー100%


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2015発売ゲーム 俺的ベスト5

2016-01-01 23:31:55 | ゲーム(その他)
あけましておめでとうございます!!


去年はけっこうな数のゲームを買ったので
その中で俺的ベスト5を発表!!





1位 リズム天国 ザ・ベスト

楽曲・SE・レスポンスと
音ゲーとしてのすべての要素が気持ちいい。

「曲に合わせてボタンを押す」という内容は同じでも
ガワを変えるだけで全然印象が違ってくるという
ゲーム&ウォッチ時代からのノウハウを生かした
水平思考は流石としか言い様がない。

けっこうな人数とすれちがったけど
最近になってようやく自分と同じノリカン95の人と出会えた!!




2位 風来のシレン5Plus

「夜」システムをはじめとして
様々なマイナス要素があるけれど
持ち込み不可ダンジョンの面白さは
あらゆるローグライクを凌駕する。

寝起きに「1回遊んでから出かけよう」と思って始めると
いつの間にか日が暮れているという合法ドラッグゲーム。

発売後に追加ダンジョンをこまめに配信するのも
ディープなゲーマーに愛される理由。




3位 影牢 もう1人のプリンセス

前作「ダークサイドプリンセス」のマイナーチェンジ版。
「全100面のステージ性」を前面に押し出したことで
ゲームっぽさが格段にアップし、
「手軽に遊べる」「繰り返し遊べる」「やり込みに熱中できる」
というメリットだらけになった良ゲー。




4位 トゥハート2 ダンジョントラベラーズ

もとはPCのファンディスク内ゲーム。
鍛えても鍛えてもそれより強い敵が存在するという
マゾ仕様のゲームバランスと
ストイックな3DRPGのシステムが絶妙にマッチ。

VITAでは先に発売されている続編の2が神ゲーなので
もし今年出ていたら1位か2位に選んでいたと思う。
新作のダントラ2-2はお蔵入りなのかな…。




5位 閃乱カグラ Estival Versus

5位はだいぶ悩んだけれど圧倒的な存在感でこれに決めた。
萌えエロゲーを遊びまくったなかでも
出色の出来の良さとキャラデザの素晴らしさ。

パッチでのアフターサポートにも力を入れていて
つねに新しい遊び方を提供するこだわりは
「売れるシリーズ」としての余裕と自負によるもの!!




なんだか萌えゲーばかり遊んだ1年だったけれど
1位~3位が非萌えゲー。
キャラと絵で誤魔化すソフトがいかに多いかってことだな。
ちょっと購入チョイスを見直したほうがいいかもしれん。

重厚長大なゲームも遊んでみたいのだけれど
基本的に一度に30分くらいずつしか遊ばないので
今後も携帯機メインでいきます。

つーか積みゲーばかり増える遊び方をしてるのも反省。
しばらくは欲しいゲームが出ないので
一年分の積みゲー消化ブログになるのでよろしく。

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