感想:ToHeart2 ダンジョントラベラーズ その1

2015-05-29 02:14:17 | ゲーム(VITA)



公式サイト

PSPから移植したダントラ2がヒットしたので
さらに後発で1が移植。
ゲームショップでもけっこうな数が入荷されてた。
良い作品が口コミで広がるのは実に嬉しいな!


ゲームは3DダンジョンRPG。
なのだけれど、キャラやストーリーはToHeart2の外伝的作品。

つーか俺、ToHeart2全然やったことないんだよなー。
キャラは確かにみんな可愛いのだけれど、
頭おかしい女が多いギャルゲーは苦手。
たとえば口調や口癖は許せても
変な語尾がついてるキャラは例外なく無理だわー。

そのへんを考えると今作は環や愛佳が
普通に有能なキャラでよかった!


同じシステムの2をやりこんだあとなので
有効な戦略を踏襲してすげえサクサク進んでる。
PSP版はクリアしたあたりでやめてしまったので
今回はじっくり腰を据えてのプレイ。
「クリアしてからが本番!」とパッケージにも書いてあるしね。

じわじわと強くなっていく感覚と
それに見合った強さの敵が次々出てくるのが中毒になる楽しさ。





あと、ボスを倒したときのエロ絵が2よりいいと思う。
1のほうで可愛いキャラを優先して使ったせいで
続編の2はどうしても余り物的なキャラが
多くなってしまったのが理由だな。


で。
ろくにレベルも上げずにガシガシ進んだせいで
ダンジョン最下層の四天王に一人も勝てず足止め中。
「奴は四天王の中でも最弱」のセリフすら言えない…。


■現在の進行状況■



トロフィー66%
実績31/50

それにしても今回のトロフィーコンプは
裏まで完全クリアする必要があるから鬼畜だな…。


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聖地巡礼:たまゆら~もあぐれっしぶ~ 竹原

2015-05-21 23:42:16 | 聖地巡礼


2014年8月。2回目の竹原。




さすがに看板は色あせてきたけれど
たまゆら推しは変わらず。




町並み保存地区の入口。
今回の劇場版で占いをやってた場所だね。




「ほぼろ」のモデルである「ほり川」。
この日は開店が5時からとのことで、今年も入れず。





このときは「マッサン」の放送が決定した時期で
たまゆらと並行しての町おこしが始まってた。
マッサンもものすごく面白かったよな!!




中国地方限定、ジョージア「ぶち」。
かなり濃い目のコーヒーに、砂糖大量の甘さで個人的に超好みな味。


休憩しながら、地元の爺さまと雑談。

「若い人がたくさん来てくれるようになって嬉しい」と言ってた。
形はどうあれ、地元の文化を継承できるのはありがたいことなのだろうね。

あと「『ほり川』さんはタイアップのため松竹に***万円くらい払った」とのこと。
その情報は聞きたくなかった!!!





たまゆらラッピングバス。
今は劇場版に合わせて別な絵なのかな。見てみたいな。




ももねこ様いっぱい。
左側のコケてるやつもそれっぽくていいね。




儀武ゆう子さん結婚おめでと~!!!

でも最近この人の別名義を知ったらドン引きした。
この俺が下ネタネームで負けることってあるんだな…。




完結編制作決定の張り紙。
ずっと楽しみにしてた期待にふさわしい出来でした!!






アニメにでてきた場所も色々。

適当にブラブラするだけで楽しめる土地。
四部作の真っ最中なので今年はもっと盛り上がってそうだな。
なんとか時間を作ってまた行きます!!

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感想:たまゆら~卒業写真~ 第1部 芽-きざし-

2015-05-20 22:30:37 | 劇場アニメ




公式サイト


たまゆら~卒業写真~ 第1部 芽-きざし- を見てきました!

つーか新潟の上映開始が遅すぎんだよ。
待ちきれずにBD買おうかと思ったわ。


完結編4部作の1作目。
高校3年になっての新しい生活と
将来へ向けた不安がテーマ。


巨乳になったのりも
髪を切ったかおるも
口数の増えた麻音も
新入部員の2人も
みんなもれなく可愛いが!!

やっぱり楓がいちばん可愛いですわ。
子供っぽいままなのにしっかり高3らしい雰囲気を出せているのは
さすがのサトジュン。かぐわしき風そよぐ変態。


中学生になったこまちや大学生になったかなえ先輩をはじめ、
シリーズ作品のキャラクターも総出演で嬉しい。
メインキャラもそうだけど、時間が経過したことによる
「ちょっと変化した部分」がどのキャラも明確になっていて
若者の成長をリアルに感じられるだけでも観た甲斐があった!!


今回も「桜のモンブラン」や「竹の子のババロア」など
季節のオリジナルスイーツが素晴らしい。
現地に行けば食べられるんだろうか。


どのスタッフも全力で、脚本も背景も音楽も完璧。
いやー、今作も相変わらず素晴らしかった。
中年オヤジのドロドロした心から悪いものが全部流れ出たよ。


ところで。

おととしに竹原に聖地巡礼に行ったのは書いたけれど、
実は去年も行ってたんだよね。

そのときの様子をあらためて明日書いてみたいと思います。。。

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2015春アニメ感想 中盤

2015-05-16 11:09:07 | アニメ特撮


過去の感想はこちら


ジョジョの奇妙な冒険 スターダストクルセダーズ エジプト編(2クール目)
B 82

ゲーム画面をCGにせず手書きにこだわるのが「わかってる」なw
声優も相変わらず演技派を押さえてるし
キメるシーンの作画も納得のいくカッコよさ。


Fate/stay night -Unlimited Blade Works- 2ndシーズン
B 81

1クール目をのんびりやったくせに急に駆け足だw
エフェクトバリバリの視覚効果はズルいけどかなり好き。
左脳に気持ちよく響くセリフ回しも実に上手い。
作品の完成度というものをかなり強く意識してるっぽいね。


ハイスクールD×D BorN
C+ 70

熱血×エロ×シリアス×ギャグ×バトル。なるほどなあ。
でも「なるほど」以上の感情がわかないのが正直なところ。
うまいこと期待感を引っ張るシリーズ構成が素晴らしいので
後半がどうなっていくか非常に楽しみ。


ニセコイ:
C+ 71

キャラクターの魅力とそれによって発生する説得力は
流石ジャンプ作品といったところ。でもまぁストーリーがね…。
原作の評判を聞くかぎり、今後にも期待はできなそう。
ただのキャラアニメに終始してしまうのはもったいないなぁ。


シドニアの騎士 第九惑星戦役
B 80

既存の世界観を作者のエゴイズムでガシガシ壊していく作品って面白いよね。
シュールな笑いが多いのもポイント高い。
ガウナになった星白が可愛く見える奇妙な感覚は
他の作品ではなかなか味わえないセンス。


グリザイアの迷宮/グリザイアの楽園
C+ 74

エロゲの雰囲気をかなり再現できててとてもいい。
軍隊所属の風景がいかにもそれっぽいのも楽しい。
戦争モノ単体であれば実写映画にはかなわないけれど
ところどころ入るコミカルな描写こそがアニメの強み。
俺が求めてたエロゲアニメはこういうのだったのかも。


ハロー!!きんいろモザイク
C 65

相変わらずキャラの掛け合いでまったく笑えない!!
とはいえ、そこに価値を置くアニメじゃないのは理解してる。
他の萌えアニメと比べてもきらきらオーラが別格で凄い。
好きなキャラが一人でもいればもっと楽しめたんだろうけどなー。


ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか
C+ 72

あらゆる部分に手が込んだ丁寧な佳作。
でも主人公が善人すぎて気持ち悪いなw
そしてヘスティアの人気が何故か凄い…。
絶妙な垢抜けなさの元気キャラはいつでも需要があるってことか。


食戟のソーマ
C 66

5話観て終了。
王道少年漫画な展開をしっかり積み上げていくのがいい!
でも演出に違和感があったので原作を読んでみたら
そっちのほうが全然面白かった。
アニメが勝ってたのはお風呂シーンだけだわ。
つーわけで今後は原作を追っかけるのでアニメはここまで。


プラスティック・メモリーズ
D+ 54

4話観て終了。
数年で唐突に死ぬことを承知でアンドロイドを買う設定が
あまりにインチキ臭すぎて、ストーリーをどう取り繕っても
違和感しか残らない。泣き作品として致命的。
世界観を誤魔化すとその世界の中で生きる人たちの心理まで
偽物になっちゃうんだよな…。


放課後のプレアデス
C 66

ストーリーとか萌えとかどうでもよくて
環境映像アニメとして凄く楽しい。
「来週はどんな美術を見せてくれるんだろう」
という期待だけで1週間耐えられる。
一瞬の中割りで見逃しそうなキャラクター達の表情も秀逸。


アルスラーン戦記
C+ 75

まあ誰が悪いわけでもないんだけど
この絵のせいで観る意欲が下がってしまったのは事実。
それでもストーリーが面白すぎてやめられない!!
というか、何クールやるんだろうこれ…。


響け!ユーフォニアム
B+ 84

新しい学校や学年が始まっているこの時期に
いたずらに不安を煽るような内容をやってほしくない!!
…と思ってたらメチャクチャ気持ちいい展開に度肝を抜かれた。
上達するために厳しい練習を積ませる点と、若干萌えを抑えたデザインは
「けいおん!」に対するアンチテーゼなのかな。


SHOW BY ROCK!!
C+ 72

毎回ライブシーンのクオリティが変態すぎ。
ライブシーンがない回はものすごくガッカリする。
微妙なキャラデザも狙いのうちなんだろうなー。
わけわからんうちに巻き込まれるタイフーンのようなアニメ。


パンチライン
C 66

気まぐれで観てみたらけっこう面白かった。
パンツありきの話だし、音楽はまさかの小室だし、
ノイタミナがなんか色々振り切ってるな。
でも出オチ感が強かったせいか、中盤以降の展開が不安。
大きく裏返ってくれるサプライズが欲しい!




『響け!ユーフォニアム』の作画が異常すぎる。
ちょっと顔の向きを変えるだけなのに中割り5枚くらいとか
京アニの製作体制はどうなってるんだ…。

内容もかなりストレートで好感がもてる。
努力が報われたり報われなかったりするのが部活動モノの醍醐味なので
久しぶりに真っ当な展開のアニメが見れて満足。
やはり「けいおん!」の功罪は色々大きかったんだなぁ。


あと、『食戟のソーマ』1話の料理が旨そうに見えないと書いたけど
実際に作った人がいるらしいw
そうか、旨いのかー。俺も自分で作ってみるかな。


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感想:冴えない彼女の育て方 ~blessing flowers~ その1

2015-05-14 21:42:05 | ゲーム(VITA)


公式サイト


アニメを観てかなりハマってしまった作品。
加藤ちゃんの声がもっと聴きたくて買ってしまった。


OPムービーがアニメと同じものを使っていてグッド。
元々の出来がいいのだから、わざわざエロゲみたいに
一枚絵のスライドショーにする必要なんてないよね。

ストーリーはアニメでは製作中のまま終わってしまったギャルゲーの
体験版の配布~完成後の頒布までを描いたもの。
アニメより後のストーリーになっているけれど
二期も決まってるようだし
あまりオリジナルとして進められないってのはあるのかな。


1周のプレイ時間もさくっと終わる程度。

もちろん初回は加藤狙いで行ったのに、なぜか出海エンド。
ミニゲームをちょっとでもしくじると駄目なのかな。
もしくは周回プレイ前提ってことなんだろうか。
いずれにしろメインヒロインを
たかが2時間のプレイで落とせたらつまらんし本番はこれから。

目標はもちろんトロフィーコンプ。
一枚グラも結構多めで回収が楽しみだ。

ていうか版権ゲーだからというのもあるのだろうけれど
Vitaのスクリーンショット機能が使えないのはちょっと痛い…。



あと。

アニメではなくテキストで読んで思ったんだが
これってもしかして原作もものすごく面白いんじゃないか…?
ゲームに興味のない彼女をゲームにハマらせる過程がかなりリアル。

加藤が男にとって都合のいいキャラに見えるけれど
きちんと女の子として芯が通ってるのがいいね。
理想と妄想のバランスが上手いんだろうな。
ラノベだからと毛嫌いしてたが時間ができたら読んでみるか。

…そういや同じ丸戸のホワイトアルバム2も途中で投げっぱなしだった。
きちんと終わらせないと。

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感想:影牢 もう1人のプリンセス その1

2015-05-06 23:10:51 | ゲーム(VITA)



公式サイト


前作の感想はこちら


1年ぶりのトラップゲー最新作。
ステージやキャラクター等、
前作から多くの素材を使いまわしながらも
システムの変更でとても新鮮。


前作は1ステージが結構長くて
あと一歩のところで死んでやり直すのが苦痛だった。
しかし今回は1ステージにつき1つの部屋のみ。
決められたフィールドとほどよいタイムで思う存分暴れられる。

各ステージに3つの条件が定められていて
達成するごとに使えるトラップが増えたり
新しいステージ分岐に進めたりする。
トラップの種類もかなり増えていて非常に満足。

これは実にうまい感じのマイナーチェンジ。
製作者がこのブログを見てくれたのか? というくらい
前作の感想で書いた不満点が解消されている。





また、ストーリー上で過去作のヒロイン達を倒すことで
プレイヤーキャラとして使えるようになる。
性能に若干の違いがあるものの、好きなキャラで遊んで問題なし。
単調さを感じるゲーム内容だけに、
キャラチェンジがちょうどいい気分転換になる。

今作の主人公がドSっぽいBBAと聞いた時点で
「本当に大丈夫か?」と心配してしまったのだけれど
全然大丈夫だった!!


100あるステージのそれぞれで

ステージクリアする→3つの条件をクリアする
→S評価を取る→ネットランキング入りを目指す

という目標が設定されているので
プレイヤーの腕とやる気に合わせてとことんやり込める。


進行状況としては、とりあえず100ステージ全てクリア。
序盤簡単すぎぃ!! と思ったら中盤以降は
絶妙な難易度のバランスに唸らされた。
前作のような理不尽さがなくて、かつ手応えはしっかり残す味付け。
中二感あふれるストーリーも素晴らしかった。

しかしやることがたくさん残っていて全然飽きない。
まだまだ思う存分ピタゴラ虐殺を楽しみたいと思います。




前作も相当ひどかった屈辱系トラップがさらに悪化しててわろた。


感想の続きはこちら


■現在の進行状況■




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感想:満願 その2

2015-05-02 11:14:03 | ミステリ
昨日の続き。
後半3篇の感想。


『万灯』

世界を股にかける有能ビジネスマン。
バングラデシュのガス田開発を命じられるが
障害になるのが村の開拓を頑なに拒む権威者の存在。
彼を疎む他の権威者たちから殺害をそそのかされ、
自分の信念と日本の国益のために倫理を超えた決断をする。

同様に事件に巻き込まれるライバル会社の森下がいいキャラ。
主人公以上に有能にもかかわらずヘタレなので
冷酷に事を進める主人公よりも人間的に感情移入できる。

完全犯罪に見えたが実は小さな綻びから…という
倒叙型社会派ミステリのお約束な展開ではあるものの
積み上げられた伏線からの大どんでん返しが最高。
これは是非2時間ドラマで観たい。


『関守』

その日を食いつなぐために都市伝説を追うライター。
「四年続けて死亡事故が起きたカーブ」の取材のため
山奥の鄙びたドライブインを訪れる。

ドライブインを経営する老婆への聞き込みで展開していき
なかばボケているようでいて物腰やわらかな老婆の昔話に
読み進めるほど引き込まれてしまう。

都市伝説として記事を書くためにはただの事故ではなく
「幽霊のしわざ」等の超自然的なものにあやかる共通点が必要。
意外な形で明かされる「超自然」の正体を知ると
作者のアイデア力の鋭さに感嘆させられる。

夏の暑い時期、人通りすら少ない山奥という舞台設定は
さながら夢でも見ているような空虚さ。
一貫した気怠い文体のおかげで最後まで気怠い気分のまま読み終われる。
寝る前にさくっと読むのがおすすめの一篇。


『満願』

自分の事務所を構えるベテラン弁護士。
学生時代に世話になった下宿の女将が
殺人による懲役8年という刑期を終えて出所してくる。

物語は主人公の学生時代の回想と
事件当時の状況説明が交互に描写され、
駄目亭主を支えるたおやかながら芯の強い女性と
殺人という犯罪のミスマッチに意識を釘付けにされる。

事件は主人公の預かり知らないところで発生しており
裁判の経過や証拠品から真相を推理していく。
何故殺人を犯さなければならなかったのか、
何故あえて控訴せず、静かに刑を受け入れたのか。

すべてが理外に見える事件の真相を知ると
ぞっとさせる人間の闇を感じることができる。




6篇の共通点として、どれも退廃に向かう人々を描写していて
世間の理不尽さを見事に抽出している。

カチッとパズルのピースがはまる本格推理とは違って
コーヒーに入れたミルクが自然に溶け合っていくような
ファジーな伏線が大量に盛り込まれているのが楽しすぎて
同じ短編を続けて何度も読み返したくなる。

文章も非常に手馴れたレベルで読みやすかった。
『氷菓』のアニメとしての出来の良さもあって
作家としての印象がすこぶる良かったのだけれど
この一冊でさらに好きになった。

今後も継続して追いかける予定。
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感想:満願 その1

2015-05-01 08:36:37 | ミステリ


『満願』米澤穂信 2014年出版



ブログの更新頻度を上げるため
ミステリ小説のカテゴリを追加します。
興味がある人もない人もよろしく。



アニメ『氷菓』を観ているあいだずっと
原作者である米澤穂信の名前を気に留めなかったのだけれど
それより前に読んだ『インシテミル』の作者だったんだな…。
たしかにヒロインの聖女っぷりや
古典ミステリを下敷きにしたストーリー展開が共通してた。


その米澤が一気に世間の評価を獲得した短編集がこれ。

第27回山本周五郎賞受賞
2015年版「このミステリーがすごい! 」第1位
2014「週刊文春ミステリーベスト10」 第1位
2015年版「ミステリーが読みたい! 」 第1位


すごいな!!
『インシテミル』も『古典部シリーズ』も
古典ミステリにかぶれたフレッシュな若者が書いた印象があったのだけれど
この一連の短編はいずれも社会派ミステリとして秀逸。


とりあえず六篇の作品をひとつずつ
あらすじと読んだ感想を。




『夜警』

交番に左遷された警部補が主人公。
物語は殉職した部下・川藤の葬儀の場面から始まる。
なぜ彼は死ななければならなかったのか。

取材にもとづいた交番勤務における業務の描写が興味深い。
コミュ障で小心者、自分のミスを隠したがる川藤のリアルさ。
「警官に向いていない」という言葉で一貫しているけれど
どこの職場にもいるダメ社員の姿と重なり、身につまされる。

後半は川藤の兄との対話で進み、謎の解明へ向かっていく。
お堅い警察業務、言うならば底辺にいる人々も含めて
リアルな人間観察によって成立しているお話。


『死人宿』

近くに自然発生するガス溜まりのせいで
自殺を願う客が最期に泊まる温泉宿。
その露天風呂の脱衣場で自殺をほのめかす遺書が見つかった。
当日の客は3人。果たして誰が書いたものか。
そしてその命を留めることができるのか。

探偵役は以前恋愛関係にあった証券マンと宿屋の仲居。
都会の日常に追われ、彼女のSOSに気付けなかった男と
過去に自分を助けなかった男への冷徹を残す女との
枯れたロマンス風味が温泉宿の舞台にマッチしていて面白い。

ミステリとしては
遺書の文脈から意図を推察していく国語のお勉強。
推理としての大きなスキームはないけれど
ちょっとパンチの効いた展開で胸に余韻を残す。


『柘榴』

類稀な美貌を持つさおりと、その夫で魔性の魅力を持つ成海、
二人の娘である夕子と月子。
4人をめぐる離婚と親権のお話。

物語はさおりと夕子の視点が交互に描かれる。
超美人母娘の愛憎劇かと思いきや
思考回路の違いから徐々に思惑が乖離していく過程を
シャープに抉っていく。

女性の心理の揺れ動くさまと
日常と非日常の境界にある情景描写の美しさが
谷崎潤一郎の筆致を思い起こさせる。

この短編はミステリではないけれど
登場人物ひとりひとりの心情を考えると
それぞれにたまらなくグッとくる妙作。文章力の勝利。



続きは明日!!
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