阪口直人の「心にかける橋」

衆議院議員としての政治活動や、専門分野の平和構築活動、また、趣味や日常生活についてもメッセージを発信します。

憎悪は憎悪によってではなく、ただ慈悲によって消え去るものー対日賠償請求を放棄したスリランカ代表に思う

2014年09月05日 17時22分02秒 | 政治

 私は党の国際局長を務めていますが、11日から国際局の活動としてベトナムとスリランカ(有志)に行く計画を立てています。 

 ベトナムに行く理由は、共に中国と領有権に関する困難を抱える国として「平和的解決を実現するためどのように知恵を出し合うか」政治リーダーや研究者と意見交換をすることです。

 一方、スリランカは反政府武装勢力「タミルイーラム解放のトラ(LTTE)」と政府軍の長年の内戦が終結し、今、国土の復興や民族の和解に取り組んでいる最中です。武装勢力を徹底的に壊滅させることで内戦は終結しましたが、その代償は大きく、憎しみの負の連鎖が解けない状況が続いていると言われます。戦場になった北東部を訪問、NGOの活動などをフィールド視察して今後の課題を把握するとともに、日本として何ができるのか国会で提案することを目的としています。

 日本ではあまり知られていませんが、日本にとってスリランカは大きな恩がある国と言えるでしょう。

 スリランカのジャヤワルダナ元大統領(当時は大蔵大臣)は、1951年のサンフランシスコ講和会議において、第二次世界大戦後の対日戦後賠償を「憎悪は憎悪によって消え去るものではなく、ただ慈悲によって消え去るものである、「hatred ceases not by hatred, but by love)という仏陀の言葉を引用し、対日賠償請求権を放棄しました。

「日本に今、この段階で平和を与えるべきではない」「日本は南北に分割して統治すべき」など、さまざまな対日強硬論が中心であった中、上記のブッダの言葉を引用し訴えました。

「戦争は戦争として、終わった。もう過去のことである。我々は仏教徒である。やられたらやり返す、憎しみを憎しみで返すだけでは、いつまでたっても戦争は終わらない。憎しみで返せば、憎しみが日本側に生まれ、新たな憎しみの戦いになって戦争が起きる」

 「戦争に対して憎しみとして返すのではなく、優しさ、慈愛で返せば平和になり、戦争が止んで、元の平和になる。戦争は過去の歴史である。もう憎しみは忘れて、慈愛で返していこう。」

 と、対日賠償請求権の放棄を明らかにするとともに、わが国を国際社会の一員として受け入れるよう訴える演説を行いました。この演説が、多くのアジアの国々を動かし、対日賠償要求を放棄するきっかけを作りました。仏教的な価値観に基づき、罪を応報的に裁くよりも、慈悲の心で赦しを与えることを仏教では重視しているのです。

 スリランカが厳しい状況にあるからこそ、日本は恩返しをしなければいけない。その方法を探ることが今回の目的です。フィールド活動の後はアントニオ猪木議員とも合流し、ラジャパクサ大統領とも会談する予定です。

 私は2012年10月、カナダ・ケベックで行われた国際会議の中でジャヤワルダナ大統領の言葉を引用して、アジア的価値観に基づいた紛争後の和解の在り方について問題提起するスピーチをしました。スリランカからの代表団が立ち上がって拍手をし、握手を求めてきてくれたことに感激しました。その時に約束した訪問が実現すること、嬉しく思っています。下記のURLはその時のスピーチの内容を含む当時のブログです。


http://blog.goo.ne.jp/xday0321/e/a49469715d9a7d9350d2e7693c187ab0

http://blog.goo.ne.jp/xday0321/e/88fbc305cfd57769db45629b835bcaf0


ケベックでの列国議会同盟でスピーチをする私。100年を遥かに超える伝統のある国会議員による世界会議です