阪口直人の「心にかける橋」

衆議院議員としての政治活動や、専門分野の平和構築活動、また、趣味や日常生活についてもメッセージを発信します。

宮本恒靖氏の挑戦ー民族融和と多文化共存を目指すモスタル市のスポーツ・アカデミーを見学して

2018年01月01日 06時11分18秒 | 政治

 あけましておめでとうございます。今年も宜しくお願い致します。

 今日はボスニア・ヘルツェゴビナ西部のモスタルに行き、『マリモスト』というサッカーアカデミーを見学しました。このアカデミーはサッカー日本代表でキャプテンを務めた宮本恒靖氏がFIFAの大学院でグループ研究したテーマが発端です。「ボスニア・ヘルツェゴビナのモスタルに、民族融和と多文化共存に寄与するような子ども向けのスポーツ・アカデミーを設立できるか」というのがそのテーマ。十分に可能との結論になり、モスタル市のスポーツ協会をパートナーにしてスタートしました。現在は7歳から13歳までの子どもたち約60人が学んでいます。そのうち10人が女の子だそうです。

 モスタル市に留学し、現地の女子リーグ所属しながらこのアカデミーにおける女子チーム設立準備を進めている山口さんが時間を作って下さったので、アカデミー、そして街の案内をして頂きました。

 モスタルは旧市街が世界遺産登録されている美しい街です。しかし、内戦の結果、ムスリム側とクロアチア側に分断されてしまいました。歴史的要因、豊かなクロアチア側との大きな経済格差に加え、ネレトバ川の近くの道路が境界線になっている街の構造自体が交流を難しくしています。例えば同じ学校でも入り口、教室、授業のプログラム、使う言語、時間が違い、先生も違うそうです。学校のプログラムが民族によって違うのはボスニア全体に共通することですが、山口さんによると学生のデモがきっかけで現在では60校近くが共通プログラムで授業を行うようになったそうですが、モスタルの人々は紛争再発の恐れから、このようなシステムを変えることには特に消極的だそうです。また市議会が機能しないなど、政治自体が共存を阻害する要因になっているそうです。

 民族の異なる子どもがひとつのボールを追いかけ、チームワークやフェアプレーを学ぶ機会、それは、民族融和への一歩になるはずです。最初にこの試みを知った時、スポーツを通した民族の融和、そして他民族の共存を目指すチャレンジのモデルになる可能性があると感じましたが、実際に見て、その思いはさらに強くなりました。マリモスト(小さな橋)の挑戦、今後ともウォッチし、私ができる方法でサポートしていきたいと思います。是非、皆さんも知って頂きたいと思います。