細川重男『北条氏と鎌倉幕府』(講談社選書メチエ、2011年3月)
北条氏はなぜ征夷大将軍にならなかったのか?その理由を江間(北条)義時・北条時宗の生涯をたどることで考えてみようというのが本書の主旨ですが、そっちよりも鎌倉武士のDQNっぷりの方に目が引き付けられてしまいます(^^;)
飲み屋での悪ふざけから一触即発の状態にまで至った三浦一族と小山一族。どちらが格上かをめぐって「オレを誰だと思ってやがる?!ナメるんじゃねェー!」(本書44頁より)と、年甲斐もなく喧嘩をおっぱじめた幕府の宿老足利義氏と結城朝光。悪の帝王学により世紀末覇者のごとき独裁者となり、蒙古襲来にも打ち勝った北条時宗。そして文弱で悲劇の貴公子というイメージが持たれる源実朝すら、「幕府、ナメてんのか?!」(本書73頁)と御家人相手に啖呵を切るなど、実はしっかりDQNの親玉を務めていたことが明らかにされています。
本書によって鎌倉武士=DQNというイメージが私の中で更に確固たるものとなりました(^^;) なお、本書の著者は同時期に『鎌倉幕府の滅亡』(吉川弘文館歴史文化ライブラリー)も刊行しています。ネタ本としては『北条氏と鎌倉幕府』の方が上ですが、論考としては『鎌倉幕府の滅亡』の方が優れてますね。
渡邉大門『戦国誕生』(講談社現代新書、2011年5月)
こちらは戦国の始まり、すなわち日本の中世の終焉は15世紀の半ばであった!ということで、応仁・文明の乱の推移を中心に論じていますが、足利将軍家や斯波氏・畠山氏・細川氏などの家督争いのカオスっぷりに目が引き付けられてしまいました。それぞれの利害が入り乱れすぎていて、最早略系図片手に関係者を追っていっても何が何だかよく分からなくなる始末……
以下、本書で気になったエピソード。赤松満祐は嘉吉の乱の際に南朝の後裔を天皇に推戴し、足利義尊を将軍に擁立しようとしたとのこと。「足利義尊って誰?」と思ってググッてみたら、足利直冬の孫(らしい)ということですが、そんな人物がいたのですか…… そして応仁の乱の際に西軍がやはり南朝の後裔を天皇に据えようとしましたが、当時にあってもその年齢すら正確に把握されていなかったらしく、さすがに色々とムリがあって断念したとのこと。……やっぱりカオスですね。
以上、ここで紹介した書籍により、鎌倉時代はDQNの時代、室町時代はカオスの時代であるとそれぞれ位置づけられるのではないかと思いました(^^;)
北条氏はなぜ征夷大将軍にならなかったのか?その理由を江間(北条)義時・北条時宗の生涯をたどることで考えてみようというのが本書の主旨ですが、そっちよりも鎌倉武士のDQNっぷりの方に目が引き付けられてしまいます(^^;)
飲み屋での悪ふざけから一触即発の状態にまで至った三浦一族と小山一族。どちらが格上かをめぐって「オレを誰だと思ってやがる?!ナメるんじゃねェー!」(本書44頁より)と、年甲斐もなく喧嘩をおっぱじめた幕府の宿老足利義氏と結城朝光。悪の帝王学により世紀末覇者のごとき独裁者となり、蒙古襲来にも打ち勝った北条時宗。そして文弱で悲劇の貴公子というイメージが持たれる源実朝すら、「幕府、ナメてんのか?!」(本書73頁)と御家人相手に啖呵を切るなど、実はしっかりDQNの親玉を務めていたことが明らかにされています。
本書によって鎌倉武士=DQNというイメージが私の中で更に確固たるものとなりました(^^;) なお、本書の著者は同時期に『鎌倉幕府の滅亡』(吉川弘文館歴史文化ライブラリー)も刊行しています。ネタ本としては『北条氏と鎌倉幕府』の方が上ですが、論考としては『鎌倉幕府の滅亡』の方が優れてますね。
渡邉大門『戦国誕生』(講談社現代新書、2011年5月)
こちらは戦国の始まり、すなわち日本の中世の終焉は15世紀の半ばであった!ということで、応仁・文明の乱の推移を中心に論じていますが、足利将軍家や斯波氏・畠山氏・細川氏などの家督争いのカオスっぷりに目が引き付けられてしまいました。それぞれの利害が入り乱れすぎていて、最早略系図片手に関係者を追っていっても何が何だかよく分からなくなる始末……
以下、本書で気になったエピソード。赤松満祐は嘉吉の乱の際に南朝の後裔を天皇に推戴し、足利義尊を将軍に擁立しようとしたとのこと。「足利義尊って誰?」と思ってググッてみたら、足利直冬の孫(らしい)ということですが、そんな人物がいたのですか…… そして応仁の乱の際に西軍がやはり南朝の後裔を天皇に据えようとしましたが、当時にあってもその年齢すら正確に把握されていなかったらしく、さすがに色々とムリがあって断念したとのこと。……やっぱりカオスですね。
以上、ここで紹介した書籍により、鎌倉時代はDQNの時代、室町時代はカオスの時代であるとそれぞれ位置づけられるのではないかと思いました(^^;)