第6章 楊継業殉国(前編)
遼兵が邠陽で宋軍を大敗させた後、蕭太后は気分が晴れ晴れとし、口を開いたかと思うと、なんと宋の太宗に領地の割譲を要求しました。太宗皇帝は大いに怒り、自ら馬を駆って親征し、邠陽で包囲された恥辱を晴らそうとしました。大臣たちが一生懸命に諫止したので、太宗はようやく怒りを収め、潘仁美に兵を率いて遼を討伐に赴かせることにしました。
潘仁美の軍事的手腕は平々凡々であるものの、太宗が大将をあてがってくれる様子も無く、心の中は不安でいっぱいでしたが、その時妙案が浮かび、楊継業を呼び寄せて先鋒とするよう太宗に求め、太宗は承諾しました。潘仁美はこれは死んだ息子の潘虎の仇を討ついい機会だと思うと、喜ばずにはいられません。
佘太君はこのことを知ると、これが潘仁美の仕掛けた罠であると察知し、にわかに居ても立ってもいられなくなります。六郎の嫁の柴郡主は義母が気をもんでいるのを見ると、彼女を連れて太宗皇帝に謁見に行き、言いました。「どうか徳望の高い大臣にお義父さまを守らせてくださいませ。」太宗は承諾し、呼延賛を監軍に任命して、楊継業とともに出征させるとともに、楊継業には先に雄州に赴かせて兵馬を徴集させることにしました。
宋・遼両軍が黄龍隘で布陣すると、呼延賛は先陣を切り、陣営を飛び出し、激しく罵倒して言うには、「遼の将兵よ、よく聞け!命が惜しければさっさと退却するのだ。さもないと生きては帰れないぞ!」遼将の蕭撻覧が刀を突き出して遼の陣営を飛び出すと、両人が砂塵の舞い上がるほど激しく打ち合いましたが、八十合あまり打ち合っても勝負が着きません。突然、耶律斜軫が兵を率いて側面から突撃してきましたので、呼延賛は前後に敵に挟まれることになってしまいました。
まさに危機一髪という時、東の方で天を揺るがすような怒声が響きました。楊継業が援軍を率いてやって来たのです。呼延賛は大喜びし、二人の猛将は力を合わせて包囲を突破し、あっという間に遼軍をこてんぱんに倒してしまいました。楊継業と呼延賛は兵を率いて意気揚々と軍営に戻ります。
潘仁美はもともとまず呼延賛を始末してから楊継業を罪に落とそうと思っていたのですが、思いがけず思惑が外れてしまいました。潘仁美は思わず怒りの炎が噴き出て、怒鳴りつけて言いますには、「兵を救うは火より救うが如しと言うが、お前は先鋒の身でありながら、どうして戦機を誤ったのだ?」楊継業は弁解して言いました。「陛下が私を雄州に派遣して兵馬を徴集させておりましたので、駆けつけるのが遅れたのでございます。」
潘仁美がどうして彼の弁解を聞き入れたりするものでしょうか。高らかに罵って言いますには、「お前は軍令を遅延させておきながら、更に陛下を持ち出して言い逃れしようとは。」彼は左右の者に命令を出しました。「誰かある、こいつを引きずり出して斬ってしまえ!」兵士が駆けつけて楊継業を轅門へと連行します。
遼兵が邠陽で宋軍を大敗させた後、蕭太后は気分が晴れ晴れとし、口を開いたかと思うと、なんと宋の太宗に領地の割譲を要求しました。太宗皇帝は大いに怒り、自ら馬を駆って親征し、邠陽で包囲された恥辱を晴らそうとしました。大臣たちが一生懸命に諫止したので、太宗はようやく怒りを収め、潘仁美に兵を率いて遼を討伐に赴かせることにしました。
潘仁美の軍事的手腕は平々凡々であるものの、太宗が大将をあてがってくれる様子も無く、心の中は不安でいっぱいでしたが、その時妙案が浮かび、楊継業を呼び寄せて先鋒とするよう太宗に求め、太宗は承諾しました。潘仁美はこれは死んだ息子の潘虎の仇を討ついい機会だと思うと、喜ばずにはいられません。
佘太君はこのことを知ると、これが潘仁美の仕掛けた罠であると察知し、にわかに居ても立ってもいられなくなります。六郎の嫁の柴郡主は義母が気をもんでいるのを見ると、彼女を連れて太宗皇帝に謁見に行き、言いました。「どうか徳望の高い大臣にお義父さまを守らせてくださいませ。」太宗は承諾し、呼延賛を監軍に任命して、楊継業とともに出征させるとともに、楊継業には先に雄州に赴かせて兵馬を徴集させることにしました。
宋・遼両軍が黄龍隘で布陣すると、呼延賛は先陣を切り、陣営を飛び出し、激しく罵倒して言うには、「遼の将兵よ、よく聞け!命が惜しければさっさと退却するのだ。さもないと生きては帰れないぞ!」遼将の蕭撻覧が刀を突き出して遼の陣営を飛び出すと、両人が砂塵の舞い上がるほど激しく打ち合いましたが、八十合あまり打ち合っても勝負が着きません。突然、耶律斜軫が兵を率いて側面から突撃してきましたので、呼延賛は前後に敵に挟まれることになってしまいました。
まさに危機一髪という時、東の方で天を揺るがすような怒声が響きました。楊継業が援軍を率いてやって来たのです。呼延賛は大喜びし、二人の猛将は力を合わせて包囲を突破し、あっという間に遼軍をこてんぱんに倒してしまいました。楊継業と呼延賛は兵を率いて意気揚々と軍営に戻ります。
潘仁美はもともとまず呼延賛を始末してから楊継業を罪に落とそうと思っていたのですが、思いがけず思惑が外れてしまいました。潘仁美は思わず怒りの炎が噴き出て、怒鳴りつけて言いますには、「兵を救うは火より救うが如しと言うが、お前は先鋒の身でありながら、どうして戦機を誤ったのだ?」楊継業は弁解して言いました。「陛下が私を雄州に派遣して兵馬を徴集させておりましたので、駆けつけるのが遅れたのでございます。」
潘仁美がどうして彼の弁解を聞き入れたりするものでしょうか。高らかに罵って言いますには、「お前は軍令を遅延させておきながら、更に陛下を持ち出して言い逃れしようとは。」彼は左右の者に命令を出しました。「誰かある、こいつを引きずり出して斬ってしまえ!」兵士が駆けつけて楊継業を轅門へと連行します。
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