博客 金烏工房

中国史に関する書籍・映画・テレビ番組の感想などをつれづれに語るブログです。

『精武風雲』

2010年12月26日 | 映画
『精武風雲』

かつて師匠霍元甲の仇である日本軍の重鎮力石剛を倒してお尋ね者となった陳真(お馴染みドニー・イェン(甄子丹)が演じてます)は、第一次世界大戦が勃発すると、連合国軍兵士としてフランスへと出征。そして大戦後は戦死した戦友の名を貰い受け、斉天元として上海へと舞い戻り、かつての戦友たちや巡捕の黄昊龍と連携して抗日運動に邁進しておりました。

で、1925年、陳真は上海の大物劉禹天(アンソニー・ウォン(黄秋生))が経営する高級クラブ・カサブランカで雇われ、日本軍に対する諜報活動を行うことになりますが、カサブランカの売れっ子歌手KIKI(スー・チー(舒淇))は日本軍の雇われスパイのようで、お互いに身元の探り合いをすることに。

一方、日本軍大佐力石猛(力石剛の息子)は上海の抗日運動家抹殺計画を決行。陳真は正体を悟られぬよう「天山黒侠」に扮して計画を妨害しようとしますが……

ということで冬のドニーさん主演映画第2弾です。『ドラゴン怒りの鉄拳』の続編っぽい設定で、倉田保昭が霍元甲の仇であった力石剛の役でちょっとだけ出演してます。「力石」という姓は『あしたのジョー』から取ったんでしょうか(^^;)

しかし同じドニーさん主演映画とは言っても、先日見た『葉問2』と比べるとノリが違いすぎます。第一次大戦の英雄となる陳真。仮面で顔を隠して正義のヒーローの如く活躍する陳真…… ドニーさん、マジで調子に乗りすぎですよ!とツッコマざるを得ない(^^;) しかし調子に乗った時のドニーさんはいい顔してますねw

ヒロインのスー・チーは日本語が流暢に話せないとまずい役柄なのですが、聞いてて気の毒になるぐらい片言です。ボス役の力石猛なんかは日本人の俳優が演じていて、当然ちゃんとした日本語を喋っているだけに、余計に更に下手くそさが際立ってます。思い切って日本語を喋るシーンだけ吹き替えにした方が良かった気がするのですが……
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『葉問2 宗師伝奇』

2010年12月24日 | 映画
『葉問2 宗師伝奇』

ドニー・イェン(甄子丹)主演『葉問』の続編。前作のラストで故郷仏山から香港へと逃れた葉問一家。早速ビルの屋上で道場を開館するものの、なかなか入門希望者が現れずに生活が困窮したり、やっと弟子が入ってきたと思ったら、一番弟子の黄梁(黄暁明が演じてます。)が洪拳など他流派とトラブルを起こしたり、おまけに香港武術界のボス洪震南(お馴染みサモ・ハンが演じてます。)から「道場を開設したかったら毎月100元みかじめ料を払いな!」と言われてキッパリ断ったら、洪震南の門弟たちに嫌がらせされた挙げ句にブタ箱行きとなったりと、散々な目に……

前作では葉問がお金持ちで、きれいな奥さんやかわいい子供とともに洒落た洋館で暮らしているというツッコミ甲斐のある設定になっていましたが、「ドニーさん、調子に乗りすぎですよ!」とツッコまれたのか、葉問一家が貧乏生活をしている様子が若干挿入されております(^^;)

しかしそんな洪震南も次第に葉問を認めるようになり、ある日葉問とその門下生たちに中国人武術家とイギリス人ボクサーとの合同リングショーのチケットを手渡します。葉問たちがショーに行ってみると、洪震南がイギリス人のお偉いさんにいいようにあしらわれている姿が…… イギリス人にとってみれば、洪拳の大家洪震南すらザコにすぎなかったのであります(;´д⊂)

しかしその洪震南もボクサーのミスター・ツイスターが武術家たちを愚弄するのに絶えきれず、彼に勝負を挑むものの敗死。洪震南の葬儀で葉問は中国武術界の誇りを取り戻すべく、ミスター・ツイスターへの挑戦を決意するのであった!

……という筋ですが、前作に引き続いて中国人の民族としてのを誇り強調した内容に…… 香港在住のイギリス人が中国人をバカにして云々という展開はドラマの『李小龍伝奇』にもありましたが、当時ホントにそういう状況があちこちで見られたんでしょうか?
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『狄仁傑之通天帝国』

2010年12月14日 | 映画
『狄仁傑之通天帝国』

則天武后は皇帝への即位式を間近に控え、自らを模した巨大な仏像を皇宮の附近に建設させていたが、その仏像の建設責任者が相次いで発火して焼死するという事件に見舞われていた。謎の国師の進言により、彼女は自らの即位に反対して天牢に幽閉されていた狄仁傑に事件の解決を委ねることに。狄仁傑は則天武后の寵臣上官静児・裴東来とともに調査を開始するが……

ということで、徐克(ツイ・ハーク)が監督、狄仁傑役に劉徳華(アンディ・ラウ)、則天武后役に劉嘉玲(カリーナ・ラウ)、上官静児に李氷氷をキャスティングした本作。日本ではロバート・ファン・ヒューリックの『ディー判事』シリーズの映画版を期待した向きが多かったようですが、蓋を開けてみると、中国の人気ドラマシリーズ『神探狄仁傑』の映画版といった方がふさわしい作品に仕上がってました(^^;)

ドラマの方は狄仁傑が派手なアクションをするわけではありませんし、映像自体は映画の方が豪華なんですが、夜の場面が多かったり、ストーリー展開がトンデモチックで怪奇ミステリー調だったりと、雰囲気やノリが結構似通っているんですね。私が想像するに、ツイ・ハークはドラマの方を見て映画版の制作を思い立ったんじゃないかと…… 

今の中国人は、狄仁傑と言えば『神探狄仁傑』をイメージするでしょうし、そう言う意味では観客の期待に応え得る作品に仕上がっていると言えるかもしれません(^^;)
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『大兵小将』

2010年09月23日 | 映画
『大兵小将』

時は紀元前227年、秦の始皇帝による統一前夜。梁軍の攻撃により全滅した衛軍ですが、その中で王力宏(ワン・リーホン)演じる将軍1人が生き残り、ジャッキー演じる梁の兵士に生け捕りされるハメに。王力宏は捕虜として梁国まで連行されることになりますが、そこへ王力宏の命を狙う衛の公子や蛮族の楼煩が絡んできて……

ということで人質を連れ帰ろうとするジャッキーと、脱走をはかる王力宏が仲良く喧嘩しながら珍道中を繰り広げるという展開は期待通りですが、ラストシーンはいまいち……ジャッキーが王力宏をかばって死に、自らの夢を彼に託すというベタな展開の方が良かったなと…… 

主題歌の「油菜花」はなかなか良かったです。この作品、『ラストソルジャー』の題名で日本でも公開されるということですが、この主題歌が『SPIRIT』の時のように変な邦楽に変更されないことを祈っておきます。
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『越光宝盒』

2010年09月12日 | 映画
『越光宝盒』

今年の香港正月映画ですが、何か色々とハジけているらしいという噂を聞いて鑑賞。

しがない山賊の清一色は、うっかり伝説の紫青宝剣を鞘から抜いたがために孫儷演じる玟瑰仙子から意中の人と見なされてしまいます。「えっ、なにそれこわい」と思った清一色は彼女から逃れるために月光宝盒で『レッドクリフ』の時代にタイムスリップ。長坂坡の趙雲となって阿斗を助け出しますが、劉備夫人から色魔扱いされたあげく、(彼女は清一色から貞操を守るために井戸に飛び込んで自害……)うっかり間違って曹操の陣営に飛び込んでしまい……

……と、あらすじ書いてるだけでもムチャクチャですな(^^;) 基本は『チャイニーズ・オデッセイ』+『レッドクリフ』+『カンフーハッスル』のパロディなんですが、(タイトルの『越光宝盒』も『チャイニーズ・オデッセイ』の原題の一部『月光宝盒』のもじり。)そこに『LOVERS』やら『PROMISE』、はたまた『タイタニック』や北京オリンピックの開会式など、様々な要素が盛り込まれるわけです。

「こんな映画作ったの誰やねんw」と確認したら、『大英雄』の劉鎮偉(ジェフ・ラウ)でした。15年前から映画の雰囲気が変わっておらず、「時代は移り変わっても変わらない物があるんだ!」というメッセージを感じました(^^;) 孫儷も『新上海灘』の時より何だか生き生きしていますねえ。

しかしかつてはこの手のパロディは周星馳の十八番でしたが、今やその周星馳作品がパロディの対象となるんですね。というか、周星馳の養女の徐嬌(『ミラクル7号』で主役を演じてた子)が「お父さんは今アメリカで仕事をしているから来れないんだ」というセリフを発していたりして、作品のみならず周星馳自身がパロディの対象となってますが……
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『孔子』

2010年05月20日 | 映画
周潤発(チョウ・ユンファ)が主演、『雍正王朝』・『漢武大帝』などで知られる胡玟が監督ということで注目された本作。『レッドクリフ』の出演を蹴ってこっちを選んだ周潤発の心意気を見てやるぜ!ということで鑑賞。

で、内容ですが、『論語』などに見える孔子様のお言葉やエピソードを散りばめただけの環境ビデオでした\(^o^)/ 

まあ、孔子に息子だけではなく娘がいたり、嫁さんに逃げられてなかったり、孔子が夾谷の会とかで諸葛孔明ばりの計略を用いたり、顏回が何だかよく分からない死に方をしたり(孔子様御一行が凍結した湖面を車馬で渡っている時に氷が割れて孔子様のお言葉を記した竹簡が水没し、その竹簡をすくい上げるために顏回が湖に潜って凍死……)と、多少オリジナル要素も盛り込まれてはいるんですけどね。

日本人の孔子物だと孔子のライバル的存在として陽虎がクローズアップされるというパターンが多いのですが、本作では陽虎は名前のみの登場。替わりに季孫斯(季桓子)がなぜかライバルとしての役割を担うことに……

周迅(ジョウ・シュン)演じる南子は、従来言われているような妖艶な女性ではな、普通に頭のいい女性として描かれており、それに周迅の雰囲気や演技がぴったりハマっていたと思います。
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『錦衣衛』

2010年05月16日 | 映画
時は明代。錦衣衛の頭目として黙々と任務に励んでいた青龍ですが、慶親王の皇位簒奪計画に巻き込まれ、一転して朝廷から追われる身に。正義鏢局の喬花とともに雁門関へと逃れるものの、既に慶親王の義女脱脱が待ち構えており……

というわけで、甄子丹(ドニー・イェン)主演の旧正月映画です。雁門関が主な舞台となっているので、チャイニーズ・ウェスタンということでいいんでしょうか。この前見た『十月囲城』とは違い、たっぷりアクションが堪能できます。しかし慶親王役にサモ・ハンをキャスティングしているのにアクションシーンがありません…… あと、脱脱(トクト)は女性の名前じゃないと思います(-_-;)
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『十月囲城』

2010年05月01日 | 映画
1906年10月、東京で中国同盟会を結成した孫文は革命派の代表たちと会見するため、香港へと赴くことに。それを知った清朝の軍人閻孝国は、孫文を暗殺するべく着々と準備を進めます。一方、革命派の人士と親しい大商人李玉堂は、有志を募って孫文を護衛させることに。朝廷側と革命派の思惑が交錯する中、いよいよ孫文が到来し……

ということで、この間上海新天地で買って来た『十月囲城』を鑑賞。一芸に秀でた奴らが武功とギミックを駆使して圧倒的に不利な状況を克服し、孫文を守り抜くという展開を期待していたら、どうもそういう話じゃない…… 孫文の(正確には孫文の影武者の)護衛がみんなカンフーマスターで、ひたすら武功と根性で朝廷側の襲撃から仲間たちを守り、死んでいくという展開が続きます。ここらへんはあともう一ひねりも二ひねりも欲しかったところです。

『ウォーロード』(原題『投名状』)の監督陳可辛(ピーター・チャン)がプロデューサーをつとめていますが、『ウォーロード』の方が出来が良かったなあと……

あと、我らがアニキ胡軍が今回はラスボスの閻孝国を演じてますが、この人、眉毛を剃ると悪役に見えますなあ(^^;)
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アベル・ガンス監督『ナポレオン』

2010年01月02日 | 映画
年末からちょびちょび見ていたアベル・ガンス監督『ナポレオン』ですが、ようやく見終わりました!

この作品は1927年にサイレント映画として上映されたものを、1981年にフランシス・コッポラが父カーマイン作曲による演奏付きで再上映したもの。劇中で『ラ・マルセイエーズ』が流れる場面ではBGMでもちゃんと『ラ・マルセイエーズ』が流れます。

物語の方はブーリエンヌ幼年学校時代からイタリア遠征までを扱っています。幼年学校の地理の授業でセントヘレナ島を「忘れられた島」として紹介されるという死亡フラグまで用意しておきながら、それが生かされなかったのが残念です(^^;)

で、気になるのがこの映画のロベスピエール。事前の噂通り、黒い丸眼鏡をかけてます。(外している時の方が多いですけど……)あと、服装も長谷川哲也『ナポレオン 獅子の時代』のロベスピエールと同じような感じです。これはもう、長谷川版ロベスピエールのルーツはこの映画にありと見て間違いないでしょう。ちなみにサン・ジュストは監督のアベル・ガンス自身が演じてます。昔から出たがりの監督はいたんですね。

印象に残ったのがイタリア遠征前にナポレオンがダントンら革命の英雄たちの亡霊と会話するシーン。ここで彼は革命を継承し、ヨーロッパを一つの民、一つの共和国とすることを誓うのですが、これが現在のEUのようなものを想像させるという点ですね。もちろん現在と1927年当時では「ヨーロッパを一つの民、一つの共和国とする」ことの意味は違ったはずですが、これが指しているのは時代が近いヒトラーの第三帝国のようなものではなく、EUのようなものの方がしっくりくる気がします。

まあ、現実にはその後フランスはナポレオンを皇帝とする帝国となり、征服された諸国もナポレオンの一族を王として迎え入れるハメになるわけですが……
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『機器侠』

2009年11月15日 | 映画
『機器侠』

劉鎮偉(ジェフ・ラウ)監督作品。舞台は2046年の中国。片田舎で警察官を務める徐大春(胡軍)のもとに突然ロボット警官のK1(方力申)が配属されることに。自分以上に仕事が出来るうえ、部下で片思いの相手素梅(孫儷)の心をつかんだとあって、K1に対して冷静になれない徐大春。しかしK1は人間と恋愛関係になることを禁じられており……

中盤ではこの徐大春とK1がタッグを組み、人間に対して反旗を翻したロボット警官K88(呉京)と戦うことに。ラスボスとの戦いを中盤に持ってきてこの後どうするつもりなのかと思いきや、本当の戦いはここからなのでありました。

以下の展開はネタバレ防止につき省略。ごくごく大雑把にまとめると「強敵」と書いて「とも」と読むとか、要するにそういう展開です(^^;) しかし終盤の一連のバトルは人を笑い死にさせたいのかと…… お陰様で久々に壮大なスケールのバカ映画を見たなという満足感に浸ることができました。これは日本で公開されてもいいレベルだと思います。

あと、ロボット警官の研究所で梁山伯と祝英台の話をイメージしたと思われるステンドグラスが出て来るのですが、これが象徴しているのはK1の素梅に対する愛……ではなく、ひょっとしてK1の徐大春への愛?と思ってしまったのは、私の目が腐ってるからでしょうか(^^;)
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