万城目学『プリンセス・トヨトミ』(文春文庫、2011年4月)
会計調査院の調査官松平・旭ゲーンズブール・鳥居の3人は出張で大阪へと赴くが、社団法人OJOの調査がきっかけで「大阪国」の存在を知ることとなる。大阪国に秘められた400年の歴史とは?真の大阪城とは?OJOへの巨額の補助金の用途とは?謎のスパコンに託された使命とは?大阪国が守るべき「王女」の正体とは?そして大阪国が存亡の危機に立たされた時、大阪の機能が全停止する……
万城目氏はこれまで『鴨川ホルモー』や『鹿男あをによし』などで、京都や奈良といった関西の各地域を舞台に「んなアホな」と思わずツッコミたくなるような話を書いてきたわけですが、今回の作品は「んなアホな」の内容がこれまでの作品と比べて真に迫っているというか、現実味があるというか、うっかり大阪人なら誰でもするような妄想、もとい夢と希望を直撃してしまったというか……
大阪人なら誰でも持つような夢や希望というのは、要するに大阪の日本国からの独立ですね。橋下知事の大阪都構想などという、冷静に考えたらアホみたいな話が大まじめに議論されるのも、大阪人が潜在的にこういう願望を持っているからではないかと思うのですが、ともあれ活字媒体でこのテーマに真正面から取り組んだ万城目学はとても偉いと思います。
この大阪国の異様さに比べたら、主人公の真田大輔君(中二男子)が性自認の不一致に悩んでセーラー服で学校に行こうとすることなど、大変ささいな問題に思えてきます。何で主人公にこんな設定を……とも思いましたが、あるいはこれが狙いだったのでしょうか?
会計調査院の調査官松平・旭ゲーンズブール・鳥居の3人は出張で大阪へと赴くが、社団法人OJOの調査がきっかけで「大阪国」の存在を知ることとなる。大阪国に秘められた400年の歴史とは?真の大阪城とは?OJOへの巨額の補助金の用途とは?謎のスパコンに託された使命とは?大阪国が守るべき「王女」の正体とは?そして大阪国が存亡の危機に立たされた時、大阪の機能が全停止する……
万城目氏はこれまで『鴨川ホルモー』や『鹿男あをによし』などで、京都や奈良といった関西の各地域を舞台に「んなアホな」と思わずツッコミたくなるような話を書いてきたわけですが、今回の作品は「んなアホな」の内容がこれまでの作品と比べて真に迫っているというか、現実味があるというか、うっかり大阪人なら誰でもするような妄想、もとい夢と希望を直撃してしまったというか……
大阪人なら誰でも持つような夢や希望というのは、要するに大阪の日本国からの独立ですね。橋下知事の大阪都構想などという、冷静に考えたらアホみたいな話が大まじめに議論されるのも、大阪人が潜在的にこういう願望を持っているからではないかと思うのですが、ともあれ活字媒体でこのテーマに真正面から取り組んだ万城目学はとても偉いと思います。
この大阪国の異様さに比べたら、主人公の真田大輔君(中二男子)が性自認の不一致に悩んでセーラー服で学校に行こうとすることなど、大変ささいな問題に思えてきます。何で主人公にこんな設定を……とも思いましたが、あるいはこれが狙いだったのでしょうか?