博客 金烏工房

中国史に関する書籍・映画・テレビ番組の感想などをつれづれに語るブログです。

『楚漢伝奇』その12(完)

2013年10月11日 | 中国歴史ドラマ
『楚漢伝奇』第75~最終80話まで見ました。

戚姫に対する不安と不満が渦巻く劉邦の幕下。以前に盧綰が戚姫に対して「如意を太子に立てようなんて下手なマネをしたら殺してやるからな!」と暴言を吐いたのが問題視され、劉邦直々に盧綰に対して棒打ちの刑を命じます。それを不満とした盧綰が楚に寝返りますが、実はこれ、劉邦と盧綰による芝居でした。こうして盧綰は言わば工作員として項羽の幕下に入り込み、漢との和平と、人質になっていた呂雉や劉太公の解放を実現。

漢楚の和平が成立し、彭城へと引き返そうとする楚軍の不意を打ち、漢軍が背後から襲撃。そして今まで日和見を決め込んでいた韓信・彭越もそれぞれ自軍を率いて劉邦のもとへと馳せ参じ、垓下の戦いへと突入するのでした……

というわけで、この後は虞姫の死、烏江での項羽の自刃と来て、最終話で韓信の没落や盧綰の匈奴亡命、劉邦の里帰りなどが超特急で語られます。しかし中盤までネタ振りをしておいて雍歯のその後がまったく触れられないのはどうかと思いましたが。ラストシーンは劉邦と雍歯の対話で締めると予想していたので、何だか肩すかしを食らったような気分です……

【総括】

新版『三国』に続く高希希監督による歴史大作の第二弾となった本作。「取り敢えずカタパルトで火球を飛ばしたりして派手にしときゃいいんだろう」な戦争シーンとか、投げっぱなしの伏線が多いとか批判点は多々あるのですが、半端な所から話を始めて半端な所で適当に締めた『三国』とは違い、順当な所で始まって順当な所でちゃんと締め、また『三国』のように「それ、演義や正史を参照したんじゃなく、脚本家がその場で適当に作ったのとちゃうん?」とツッコミを入れたくなるアレなエピソードもあんまり目に付かず、歴史ドラマとしてはまあまあ無難にまとまってるかなと思います。(『三国』の評価についてはこちらを参照)このあたりは歴史考証担当の王立群先生の力によるものかもしれませんが……
コメント (2)
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