博客 金烏工房

中国史に関する書籍・映画・テレビ番組の感想などをつれづれに語るブログです。

『大江大河』その8(完)

2019年03月10日 | 中国近現代ドラマ
『大江大河』第43~最終47話まで見ました。

小雷家では糞尿で汚染された養豚場からの排水が下流の村で中毒を引き起こしたということで大きな騒ぎが持ち上がります。環境保護に目を向けて排水設備をちゃんと整備しろという宋運輝の警告がここで生きてくるのか……と思いきや、韋春紅に絡んで雷東宝にぶん殴られた冠亜グループの総帥の韓が一枚噛んでいることが判明。

責任を感じた韋春紅は小雷家の豚肉を大量に買い入れ、東宝とマスコミを自分の食堂に招いて風評被害の払拭に協力します。「おっ、春紅飯店盛況じゃん!」と思ったら、客はすべてサクラとして仕込んだ彼女の親戚縁者で代金は当然奢り。現実には小雷家産の豚肉を仕入れてから客が寄りつかなくなったという悲しい事実が明らかに…… 東宝はその晩酔った勢いで韋春紅と男女の関係になってしまったかもしれないと思い悩みます。電話で相談された小輝は「姉が亡くなってもう五年も経つんだから、大哥の誠意はわかっている。」と慰めますが、以後韋春紅とはあくまで友人として接することに。


そしてその小輝はとある人物と接触。というわけでオレたちの大尋が帰ってキターーーー!!5年ぶりにシャバに戻ってきた尋建祥の仕事探しのために楊巡を紹介します。そして彼と入れ替わるように虞山卿が汚職を摘発されて金州を追われることに。小輝は大尋を出迎えた時と同様に作業服と自転車で三叔を見送ります。

楊巡は雷東宝の協力を得て自分が店を出している電器市場全体を買い取ろうとしますが、楊巡の恋人戴嬌鳳を奪った金持ちの若旦那趙小波が市場を買い取ろうとしているのに張り合っているのを察し、難色を示します。しかし最後には楊巡の熱意に感じ入り、資金や手続きを援助してやることに。その雷東宝自身も、妻の宋運萍の死の遠因となった因縁の江陽電線工場の買収に成功し、設備と人員を接収。

小輝は副工場長の閔忠生のもとで工場の技術改革に励み、技師長への昇格を打診されます。しかしその閔が水書記を退職に追い込み、自らが工場長兼党委書記となることを知ると、憤激して敢えて国家から打診されていた東海化工への異動を受け入れ、現地で工場設立準備に従事することを決意。相変わらず夜の図書館で調べ物に励む水書記に別れを告げ、自動車で現地に向かいます。

【総括】
ということで反革命家庭の出身でありながら大学への進学を勝ち取り、誠実でまじめな人柄と知識でもって大都市の化学工場で出世を重ねる宋運輝、貧村の書記として郷鎮企業を立ち上げ、村の経済発展のために邁進する豪放磊落な雷東宝、そして地位も教育もないがマントウ売りから個人経営の卸売業に転じた口八丁手八丁の楊巡と、立場も性格も異なる3人の人物を通して、文革が終わって間もない1978年から改革開放まっただ中の1988年までの10年間を駆け抜けました。

当時の社会風俗や世相なんかもさりげなく織り込まれていて、現代史物としても充分に楽しめます。たとえばコーラひとつをとっても、小輝が学生時代に梁思申のアメリカ土産ということで珍しそうに飲んでいたのが、それから10年も経たないうちに場末の春紅飯店で気軽に飲めるようになっているさまが描かれています。農村の乗り物も自転車や農耕用トラクターからバイクや自動車に様変わりしています。

大河川の激流をイメージしたタイトルのごとく、大河ドラマと呼ぶにふさわしい作品となっています。(そう言えば本作の尺は日本の大河ドラマと同じく47話×45分です)好評につき第二部の制作も進行中ということで最終話には第二部の予告編が付いているのですが……


人民日報好きすぎやろ (^_^;) 大学進学から始まりこれまで中央の政策方針を足がかりにして危機や難局を乗り越えてきた小輝ですが、第二部ではどうなるのでしょうか?
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする