「司馬先生は 自分の作品のドラマは見なかった」
と語ってくれたのは 北山章之助さん
北山さんはNHKプロデューサー時代に
司馬遼太郎と深い交流がある
「司馬遼太郎と武士道」という講義を聴いた
司馬の作品に女性は余り登場しない 男の物語が多い
しかしテレビドラマ化するには若い女性タレントを
起用しないと視聴率が稼げない
そのために脚本家が女性の活躍場面を取り入れる
原作とはかけ離れていく
ドラマの許可をすればその時点で自分の作品ではなくなる
それを見るのがいやで 司馬遼太郎は自分の作品をドラマ化したものを見ないそうだ
司馬遼太郎は失われた武士道精神をなげきそれを文学を通じて主張してきた
しかし作品のなかには武士道という言葉は用いなかった それは
時代とともに言葉の意味が変わって行くからだという
司馬は今の世の中を予測していた 経済大国といわれ暮らしは豊かになった
しかしその代価として道徳心や道義心を失った それこそが日本人が祖先から
受け継いできた 貴重な遺産だった それがなくなってきたことを 危ぶみ恐れていた
また北山さんは冒頭 NHK職員が勤務時間に株取引をしたことに触れ
我々の後輩に対する教育が悪かった もっとも遺憾なことだとわびた
また今の政治家は 政治ビジネスになっていると批判した
「私に奉ぜず公に奉ずる」ような人物がいなくなったということだろう
司馬遼太郎の作品になるような政治家の出現を期待する